現実逃避

現実逃避 - hatena

「かぐや様は告らせたい」や「メダリスト」の感想を書いている漫画感想ブログ

『メダリスト』 つるまいかだ先生 Score31 「魔法使い」 感想 : いのり,覚悟の扉を開く..! の巻

 

さてと。1/25発売・月刊アフタヌーン2023年3月号,「メダリスト」Score31 魔法使いの感想です。

 

 

大蜘蛛蘭って名前,なんか似たような名前があったな...って思っていたのですが,「ワンピース」の大渦蜘蛛スクアードだ。いや,どうでもいいことですけれど。

 

 

そんなわけで全日本ノービスAは第2グループが出走。これまで続々登場って感じで匂わせられてきた全国の強豪フィギュアスケーターたちが続々登場する本命グループです。

 

冒頭に与太話をいれた大蜘蛛蘭さんもその中の一人。去年の全日本ノービスAの銀メダリストにして日本代表選手。なるほど,蓮華茶FSCのヘッドコーチ・亀金谷澄覚さんが警戒するだけのスペックです。加えて地元No.1ガールの小雀白花さん,蓮華茶のNo.2子出藤絋さんと100点越えが出ずっぱり。なんだこのインフレグループ。

 

 

とはいえ,地元No.1女子の小雀白花さんもまさかのナレ結果だし,以外にかわいい横顔を見せてくれた子出藤三姉妹の長女・子出藤環さんナレ結果と,この辺はですね...案外,さくっといっちゃいましたね。みんな100点越えとかいう化け物揃いなんですけれどね。

 

 

そんな中,一人頭を抜けたのが中部ブロック予選でいのりさんと勝ち負けやった八木夕凪さんですよ。日本で狼嵜さんと八木さんしか出来ないトリプルルッツトリプルループ。中部ブロック予選ではこれに挑戦して成功したものの「まとめる力」は発揮できなかっただけに,今回はそれを含めてノーミスで滑りきるあたり彼女の成長も感じます。

 

そんな夕凪に光が「すごい綺麗だった」と素直に声掛けをし,それに対してわだかたまり無くお礼と光への激励を返せるようになったのも彼女の成長ですよね。もともと光側は何とも思っていなかったでしょうけれど,No.2から引きずり降ろされた彼女にとってはぎこちなさがありましたからね。それを解消できたのは大きな成長だと思います。

 

 

そんな夕凪の全力構成に笑みを浮かべる鴗鳥慎一郎コーチ。なんといっても彼女は彼の一番弟子であり,かつ仮面コーチとなっている光とは異なり彼の実質的な代表弟子ですからね。結果を伴って嬉しいのは言うまでもない。

 

と同時に,105.43点で2位につけたときの何とも言えない無表情な顔もまた彼の内心の葛藤が伺えます。2位は彼にとっての最高位,決して超えることができなかった夜鷹純という壁を想起させる順位です。鴗鳥コーチこそ金を誰よりも取りたいに違いない。2位で喜べないそんな彼の表情は「このまま八木夕凪を永遠の銀メダリストにするわけにはいかない」という熱い闘志を感じます。

 

それは鹿本すず蓮華茶FSCの面々にとっても一緒で,八木さんに抜かれなかったことに安堵する姿はここまで銀メダリストとして後塵を拝してきた歴史を感じます。今度こそ,今回こそはセンターを...という熱い思いが伝わってくるわけですが...。

 

とはいえ今回のお話第31話「魔法使い」の主人公はこれまで孤高の女王として描かれてきた狼嵜光ちゃんであったことには間違いない。この決勝まで一度も描かれることがなかった女王の本気印のスケーティングこそ今回の真骨頂。比類なき魔法使いの弟子がどのように舞い,どのように降りたのかが描かれた,Score31 「魔法使い」の感想です。

 

 

コミックス 【最新刊12月22日発売!】

 

 

 

 

 

 

Score31 魔法使い

前回,役割分担をした司先生といのり。司は他の選手の滑りを見て作戦を練り,いのりは自分の番まで自らの力を高めるために集中してというオーソドックスな作戦です。実に正しい。

 

にも拘らずそうはどっこい問屋が卸さないところがメダリストなんだよなあ...。司先生,いのりともに「自らの覚悟」を試されるお話でした。

 

 

司先生はこの先の長く続くであろうコーチ人生の「越えなくてはならない壁」である夜鷹純との向かい合い方について。いのりはこの先長く続くであろうフィギュアスケート選手として「終生のライバル」となる狼嵜光ちゃんとの向かい合い方について。いずれもここで逃げたら永遠に超えることができない呪縛となったであろう局面で,二人が向かい合う決断をしたのがとっても良かったなと思います。

 

夜鷹純の振付師レオニード・ソロキンによる振付。引退まで負けなしの金メダリスト夜鷹純。かつて純が金メダリストとして重すぎて残酷な言葉をいのりに投げかけたとき,一生をかけて祈りのスケート人生まで背負っていく決心をした司先生はあれから全くぶれていないことが今回も証明されました。

 

言葉ではなく銀盤で。氷の上でそれぞれの教え子が全力を尽くして対峙する時,いのりがコーチとして金メダリストという魔法使いの弟子・狼嵜光に打ち勝つ選手であることを司先生は約束したわけで。

思いもよらぬレオニードとの出会い,純との電話ではありましたけれど,そこでの丁々発止はもういらんのですよね。今,それぞれの弟子たちが氷上のガチンコをやるわけですから。そんな覚悟決まっている司先生がめっちゃ格好良かったです。

 

 

そしていのりさんである。

先に決めた役割分担作戦はフィギュアスケートの戦い方としては実に正しいわけですけれど,だからと言っていのりさんは光ちゃんの滑りを見ないという選択肢はなかったわけですよね。

 

そりゃ当然である。

この先いのりさんがフィギュアスケートを続ける限り,光は常に同じ場に立つ。その光と勝ち負けをするために,自分と同じ場所で滑ることを期待してくれた光と銀板でともに舞い,降りて,勝ち負けをするために今日この全日本ノービス決勝に来ているわけです。もし,光と戦うために光の滑りを見ないのであれば,この先一生光のスケートを見ることができない。それはいのりにとって意味のあることであろうか。

 

否である。

いつかオリンピックで金メダリストになるためには絶対に越えなければならない選手,孤高の女王・狼嵜光が「自分の真のライバルとなりうる選手として見てくれた結束いのり」であり続けるためには彼女の滑りを見ないという選択肢はないし,その上で乗り越えなきゃいけないわけですよね。

 

もし今日,いのりさんが「見ない」という選択肢をしたらきっと一生彼女は光に勝てないままの銀メダリストで終わってしまっただろう。この先自分が光のライバルであり続けるために,光を超えて金メダリストとなる選手となるためにはこの段階で「引く」という選択肢はなかったというわけです。

 

 

うむ。こういうところだよな。いのりさんの凄いところは。何もできない子扱いだったことが信じられないくらいフィギュアスケートに関しては覚悟の決まり方も精神力も強靭なのである。胆力は間違いなく金メダリストである。その覚悟が決まったことを司先生も理解したからこそ,分担作戦はやめて...の光のスケーティングになったわけですが。

 

その光のスケーティングがどう描かれるのか,一ファンとしてやきもきしていたんですけれど凄かったですね。振付に則った華麗な指先,腕の運び方,エッジの傾斜....一つ一つの技術が高いことが言葉だけではなくつるまいかだ先生の繊細な絵で描かれていく。からーの,ファーストジャンプ...!

 

 

 

 

4回転トゥループ

 

やはり来たか...4回転。来るとは思っていました。いのりが4回転サルコウを飛ぶことが分かっていた。それこそが狼嵜光を結束いのりが越える可能性として現実的にあった方策だったからです。そしていのりは実際に公式練習で4回転サルコウが飛べることを証明した。

 

かつてすべての試合を金メダリストで終えた夜鷹純が,その弟子であり全ての試合で金メダリストをとることを約束した狼嵜光が銀に滑り落ちる可能性を排除しないまま全日本に来るわけがなかったんだよね。

 

これはある意味,夜鷹純が司といのりが「自分たちを脅かしうる可能性」として認識したことも意味する。万が一を考えて,だったのかもしれないけれどきちんと対策をとってきた。いのりたちには厳しい状況になりましたけれど,ある意味明浦路司をコーチとしてのライバルとしてきちんと認めている証拠でもあるわけで。これは熱くなってきましたよ!

 

 

この先,光には3回転アクセルがある。トリプルルッツトリプルループもある。光の持ち駒は明らかに結束いのりを上回り,個々の技術においても抜きんでた金メダリストの動きをしている。当然ノーミス構成でしょう。

 

かくして銀盤の氷上支配戦闘機は舞い降りた。これに対するいのりと司のモチベーションは。具体的な対策は。めっちゃ先々気になるScore31「魔法使い」でした。

 

 

今後の展開予想という名の与太

とまあ強烈な女王の舞を見せられたわけですけれど,さてどうなんかな。単純に4回転トゥループより4回転サルコウの方が点が高いですが,それ以外の差が大きすぎる。これをどうするかですね。

 

考えうるのはいのりさんがトリプルルッツトリプルループを飛ぶ可能性です。もともとハーネスで習得していた技術なので,イップスの原因が取れた以上この構成ができるように練習してきた可能性はある。

 

あとは問題はアクセル。前回の鹿本さんのお話でも取り上げられていましたけれど,アクセルがダブルとトリプルでは全然違います。4回転サルコウが飛べるから3回転半のアクセルが飛べるわけじゃない。この部分はどうしようもないディスアドバンテージなだけに,ここで光に届かない可能性もなくもないですね。いのりさんについてはそんな感じ。

 

 

あと,第2グループではこの後に亜昼美玖ちゃんが出るんですよね。光のあとに滑る彼女がどうすべるかも注目です。彼女は勝ち負けを第一にしていないじゃないですか。光のスケーティングを見ていのりが動揺したとしても,美玖ちゃんの「自分は自分のベストを尽くす」落ち着いた滑りを見たらもしかしたら落ち着きをどり戻せるのかなって。

そんな美玖ちゃんが光に届かないまでも鹿本すずちゃんを超え得るのかってのも一つ注目です。

 

あとは前回も書いたけれど第6グループに伏兵が来るのかってところですかね。ここで無風だとさすがに第6グループはなんなんだってことにもなるので。いのりと光の勝ち負けとは別に,新たなるライバルの登場にも期待したい。

 

そんなわけで,今回の感想は感想はまる

 

 

 

【まとめ】現時点で判明している全日本選手権結果

 

見出しは以下の通り

ランキング・選手名・地区予選点数・クラブ・指導者・(他のコーチ)

  1. 鹿本すず110.55点・蓮華茶FSC  ・亀金谷澄覚 (蛇崩 遊大,伊文里青紫,家森朝緑)
  2. 八木夕凪 105.43点 ・ 名港ウインドFSC鴗鳥慎一郎 ・(雉多輝也)
  3. 小雀白花102.44点・ やまびこFSCコーチ ・ 日瀧常
  4. 大蜘蛛蘭102.03点・ 福岡パークFSC布袋野蕨一 ・ (布袋野兎太)
  5. 子出藤絋101.10点 ・ 蓮華茶FSC亀金谷澄覚 ・ (蛇崩 遊大,伊文里青紫 ,家森朝緑)
  • 平新谷萌栄N/A ・ 東京スターフォックスFSC ライリー・フォックス
  • 九猪桃子85.88点・仙台スクエアFSC西貒郡志
  • 申川りんな80.07点 ・ 名港ウインドFSC鴗鳥慎一郎 ・(雉多輝也)
  • 釈取 ・ 79.55点

 

 

 

【参考】全日本選手権出場選手地区予選ランキング

 

見出しは以下の通り

ランキング・選手名・地区予選点数・クラブ・指導者・(他のコーチ)

 

  • WD・狼嵜光101.16点・名港ウインドFSC夜鷹 純 (鴗鳥慎一郎,雉多輝也)
  1. 鹿本すず101.23点・蓮華茶FSC  ・亀金谷澄覚 (蛇崩 遊大,伊文里青紫,家森朝緑)
  2. 亜昼美玖91.10点  ・ NSUプラントFSC  ・ 鴨川洸平 (白鳥ジュナ)
  3. 胡荒亜子90.44点 ・ 東京スターフォックスFSC ライリー・フォックス
  4. 子出藤絋89.50点 ・ 蓮華茶FSC亀金谷澄覚 ・ (蛇崩 遊大,伊文里青紫 ,家森朝緑)
  5. 小雀白花 ・N/A・ やまびこFSCコーチ ・ 日瀧常
  6. 大蜘蛛蘭 ・N/A・ 福岡パークFSC布袋野蕨一 ・ (布袋野兎太)
  7. 鉱森神楽 ・N/A
  8. 蝉丸ひまり86.00点 ・ 荒川グローGSC ・ 蜻堂緋沙子
  9. 百瀬繭香 ・ N/A
  10. 雨宮蛍 ・N/A
  11. 浅利伽奈 ・N/A
  12. 子出藤環 ・ N/A ・ 蓮華茶FSC亀金谷澄覚 ・ (蛇崩 遊大,伊文里青紫 ,家森朝緑)
  13. 結束いのり81.20点 ・ ルクス東山 ・ 明浦路司 ・(高峰 瞳 )
  14. 八木夕凪 80.02点 ・ 名港ウインドFSC鴗鳥慎一郎 ・(雉多輝也)
  15. 大和絵80.01点 ・ 蓮華茶FSC蛇崩 遊大 ・ (亀金谷澄覚,伊文里青紫 ,家森朝緑) ・*予選落ち
  16. 九猪桃子78.20点 ・ 仙台スクエアFSC西まみ郡志
  17. 美波鮎 ・N/A  

 

【その他の出場選手】

  • 炉場愛花72.62点 ・ 愛西ライドFSC 五里誠二 ・ (王仁敦士)
  • 古部多まいん71.220点 ・ 名城クラウンFSC 竜宮アキラ ・ (千羽倫太郎)
  • 申川りんな70.04点 ・ 名港ウインドFSC鴗鳥慎一郎 ・(雉多輝也)

 

【出てくる可能性がある選手】

  • 小熊 梨月 ・ 岡山ティナFSC梟木豊 ・ (目白理世)
  • 鬼寅 カンナ ・ 福岡パークFSC布袋野蕨一 ・ (布袋野兎太)
  • 黒澤 美豹 ・ スター広島FSC岡山ティナFSC  ・ (伊太刀小五郎)
  • 獅子堂 星羅・ スター広島FSC岡山ティナFSC  ・ (伊太刀小五郎)

 

 

現実逃避のご案内

Google検索で記事が出なくなったら、検索語に「現実逃避」を付け足すと見つかりやすいです。

 

 

 

   

 

最新コミックス

 


*画像引用は行っておりません。文章は個人の感想です。

 

 

『メダリスト』 つるまいかだ先生 Score30 「浅い動機」 感想 : 残るはこの鹿本すずただ一人か...だが,頂点は常に一人...! の巻

 

さてと。本日発売・月刊アフタヌーン2023年2月号,「メダリスト」Score30 浅い動機の感想です。

 

 

僕はコミックDaysで作品単位で購読しているんですけれど,本当,昔と違って漫画を読む環境はめっちゃよくなりましたね。自宅の布団に居ながら午前0時には最新話を買って読める。いい時代になったものだ。願わくば「メダリスト」がめっちゃ盛り上がって大勢の方に読んでほしい。

 

 

さて前回は「公式練習」で4回転サルコウを一発かましてライバルに宣戦布告した結束いのりさん。ここで先制パンチをかますことでライバルたちの作戦変更によるリスク高を狙う作戦であったかと思うのですが,今回はそのライバルたちのターンです。

 

 

いや,本当に「にわか」のフィギュアスケート漫画読みなもんでアレなんですけれど,前回も書いたようにフィギュアスケート総力戦なんだと思いますね。技術と構成だけじゃなく,手札をいかに切るかという作戦の妙,競技順序やライバルたちの得点をみながらの駆け引きなど必ずしも実力だけは無い,幸運も含めたバトルである。

 

 

で,全日本ノービスAでは第5グループに属するいのりさんは今回も後攻。ここまで名前が挙がってきたライバルたちの競技が終わってからの後攻めである。そこでライバルたちの演技を見て研究するかどうかといった要素も絡んできて,今回も駆け引きがめっちゃ面白かったです。

 

「4回転サルコウを降りられる」ことを実地で見せた結果,噂以上にマークされることになっている点も前回のブロック予選との大きな違いですね。あの時はほぼノーマークで「完成度勝負」で勝利ももぎ取ったわけですけれど,今回は結束いのりが4回転を降りたとしての想定点を基に駆け引きがなされるわけで。

 

そんな駆け引きの結果,ライバルたちの競技をみて前回とは違う精神状態に置かれたいのりさん,それに対してライバルの競技を敢えていのりに見せず役割分担を提案した司先生。ここまではいい感じですよね。鹿本すずちゃんに助けられた面もありますけれど,いのりさんのメンタルは回復したし,これまでいのりにはほぼ空気だった瞳先生のDEBANもあったし。

 

 

心配なのは明浦路司先生の方かな。

ここで気になるのは「経験の差」です。経験の差は他者の経験や事前準備で補うことができる。前回感想でそのように主張したわけですけれど,実際に全日本選手権を「勝利」で終わった経験が明浦路先生には無い。ライバルたちの演技を見た上で,いのりさんにとっての最善構成を考えられるのか。そこもめっちゃ気になります。

 

第1グループの最後に優勝の基準点を作り出した鹿本すずちゃん。長野合宿でシードを得た全国の強豪たち,新潟のダークホース亜昼美玖ちゃん,そして圧倒的女王として君臨する狼嵜光ちゃん。第2グループの演技を見た後で,果たして司先生は冷静に最善手を考えられるだろうか。

 

 

例えばライリー・フォックスの愛弟子の一人,平新谷萌栄ちゃんがいのりの4回転サルコウを見よう見まねで真似ようとした時,めっちゃ動揺していたよね

 

手札を晒すということは手札を読んで対抗される可能性もあるということである。直前に申し出てやらせてみるコーチとしての胆力もさることながら,こうして司先生といのりの動揺を図るあたり策士でもある。

スターフォックスSFCのエースは「胡荒亜子」でしょうから,うがった見方をすれば平新谷萌栄ちゃんを使って胡荒亜子のライバルとなり得るいのりの動揺を誘った可能性すらある。

 

これがフィギュアカードバトル総力戦..!って感じで面白いんですけれど,前回のブロック予選では無かった「明浦路司先生に対するプレッシャー」がどう左右するのか,気になりますね。

 

そこが今回の一つの肝のような気がしますね。今回の全日本選手権が司先生にとっても一つの壁,コーチとしての壁を破ることができるかというのが今後のいのり・司コンビの未来を占う気がしてならないのですが...

 

とまあ,諸々先走りましたが,今回は近畿ブロック最強を誇る鹿本すずちゃんのターンが凄かった,Score30 「浅い動機」の感想です。

 

 

コミックス 【最新刊12月22日発売!】

 

 

 

 

 

 

Score30 浅い動機

それにしても毎回1番滑走の申川りんなさんは面白いな。TSSアナウンス表示だけでおわってますけれど,80.07点も取っている。彼女もまたブロック予選から10点上積みしてきたわけで,第1滑走のプレッシャーも何とやら,この子の胆力も応援してあげたいですね。可愛いし

 

しかし「可愛さ」を尺度としたら全てを自分の可愛らしさで回す女,鹿本すずちゃんにおいて右に出るものはあるまい。今回の主役は彼女である。これまでノービスBで2回銀メダリストで終わっているすずちゃん。限りなく狼嵜光に近い存在ながら超えることができないその姿は現代の鴗鳥慎一郎かといったお立場です。

 

しかしである。

彼女の凄いと思うところはその勝利(センター)への執着ですよね。彼女にとっての全ては「表彰台の真ん中でピースする」ことである。実に浅い動機...そんなことで厳しい練習や敗北の苦しみに耐えられるんか?って思うところでありますが,彼女にとって「大舞台で金メダリストになり真ん中に立つこと」は「可愛い」を価値観とする彼女にとっての全てなんですよね。

 

一つ間違えると「舐めてんのかい?それとも...すっごく舐めてんのかい?」ってヒソカ・モーロウに切り刻まれそうですけれど,いやいやどうしてよ。言っていることは「常にフィギュアスケートで金メダリストを目指している」ってことだからね。それは重要ですよ。

 

恐らくフィギュアスケートをやってきて金メダリストを目指さない者の方が少ないと思います。亜昼美玖ちゃんみたいなスケートをもう少し続けるために上位入賞を目指す...なんてのは例外なわけで。全ての大会で金を獲るつもりの狼嵜光ちゃん。その光に挑戦する結束いのりをはじめ,銀メダリストの弟子・八木夕凪などすべてが金色のメダルを目指して頑張っている。

 

そんな中,彼女が特筆して凄いのは「実際に金を取れる可能性のある実力を持ち,かつ結果を出している」という点なんですよね。パフォーマンス,ジャンプ,スケーティングの全てにバランスよく高水準というのは,いのりさんが前回やった「完成度の高さ」を期待できる選手であるということですし,実際にトリプルアクセルを含めた構成で完走しきれるその実力は「金に近き者」であることに違いない。ただ,

 

フィギュアスケート美少女真剣バトルは技術のみで決まらず。

また運のみで決まらず。

ただ,結果のみが真実!

 

な競技であるゆえに,最後に必要なのは結果につなげられるだけの技術・作戦・幸運,そして勝利への執着心が必要となる。その点,彼女にはそのすべてが備わっているんですよね。

 

だから成功率の低かったトリプルアクセルを構成に入れても降りられる。

転倒無しで完走しきるだけの実力もある。

 

「本番強さ」と明浦路司先生は言っていたけれど,やはりこれは鹿本すずさんの持つ技術・勝利への執着心の賜物だし,それを支えたコーチの作戦だし,その二つが合わさって起きた3回転アクセルの奇跡という幸運によるものなんだと思いますね。

 

一見,浅い動機に見えたものの中にある「金メダリストを獲る」という圧倒的執着心。そんな彼女が描かれた Score 30 だったと思います。

 

 

というわけで,今後の展開予想(与太話)

 

というわけで,鹿本すずちゃんのTSSは110.55点でした。やはり予選から10点底上げしてきましたね。結束いのりちゃんが「進化する魔人」と言ってもいいくらいの急成長を遂げてきたのと同様に,ライバルたちもわずかな期間で10点底上げしているわけだ。

 

当然,司先生は光ちゃんが底上げしてくることを念頭に今回の構成を考えてあると思うんだけれど,4回転サルコウを加えたとして110点台を越えられるのか。恐らく光は110点台後半以上を出してくると思いますが,そうなるとブロック予選からプラス35点以上の上積みがいのりさんには必要です。

 

普通に考えれば無理である。4回転サルコウを単独ジャンプで構成するのではなく,連続ジャンプの中に組み込めばまた違うかもしれませんが,そこまで難易度を高めるのはさすがに厳しすぎる。この辺,コーチとしての明浦路司先生の実力といのりさんの総合力が求められます。

 

 

さらに言えば,ここから強豪揃いの第2グループの演技である。

鹿本すずさんの110.55点が一つの「メダルの壁」として設けられた以上,ここを上回る演技が出てくるかどうかがポイントでしょう。現時点で金メダルを目指す鹿本さんの点数を上回る可能性があるのは当然のごとく女帝・狼嵜光。あとは3位以内をめざす亜昼美玖ちゃんか。彼らの競技が終わった後にいのりさんの出番がある。

 

狼嵜さんについては,安定の3回転アクセルからさらに上積みがあるのかどうかってところですよね。単独ジャンプの難易度としてはこれ以上は4回転しかないんですけれど,光ちゃんも4回転が飛べるのか...てのがポイントの一つ。もう一つのポイントは夜鷹純の知識・技能・経験を吸収してきたことによる総合力の向上といったところでしょうか。

 

亜昼さんについては,すでに示されているポテンシャルの高さに加えて完成度をどこまで高めて来ているかですよね。予選で90点台だった彼女は当然「まとめる力」で攻めてくると思いますが,基礎技術も高まっているかもしれませんし。4回転は諦めていましたが,3回転アクセルが飛べないとは言っていない。この辺も興味津々であるとともに,いのりさんにとってどれだけ高い壁になるのか気になります。

 

 

そして今回もう一つ気になるのは,いのりさんが「第5グループ」であるということですよ。「第6グループ」の演技が丸々残っている。仮に4回転サルコウを成功させ,狼嵜光ちゃんと勝ち負けができたとしても「第6グループ」から伏兵が出てくる可能性はないか。中部予選ブロックでいのりがノーマークだったように,突如成長する選手が出てくる可能性にも注目です。

 

そんなわけで,今回の感想は感想はまる

 

 

 

【まとめ】現時点で判明している全日本選手権結果

 

見出しは以下の通り

ランキング・選手名・地区予選点数・クラブ・指導者・(他のコーチ)

  1. 鹿本すず110.55点・蓮華茶FSC  ・亀金谷澄覚 (蛇崩 遊大,伊文里青紫,家森朝緑)
  • 平新谷萌栄N/A ・ 東京スターフォックスFSC ライリー・フォックス
  • 九猪桃子85.88点・仙台スクエアFSC西貒郡志
  • 申川りんな80.07点 ・ 名港ウインドFSC鴗鳥慎一郎 ・(雉多輝也)
  • 釈取 ・ 79.55点

 

 

 

【参考】全日本選手権出場選手地区予選ランキング

 

見出しは以下の通り

ランキング・選手名・地区予選点数・クラブ・指導者・(他のコーチ)

 

  • WD・狼嵜光101.16点・名港ウインドFSC夜鷹 純 (鴗鳥慎一郎,雉多輝也)
  1. 鹿本すず101.23点・蓮華茶FSC  ・亀金谷澄覚 (蛇崩 遊大,伊文里青紫,家森朝緑)
  2. 亜昼美玖91.10点  ・ NSUプラントFSC  ・ 鴨川洸平 (白鳥ジュナ)
  3. 胡荒亜子90.44点 ・ 東京スターフォックスFSC ライリー・フォックス
  4. 子出藤絋89.50点 ・ 蓮華茶FSC亀金谷澄覚 ・ (蛇崩 遊大,伊文里青紫 ,家森朝緑)
  5. 小雀白花 ・N/A・ やまびこFSCコーチ ・ 日瀧常
  6. 大蜘蛛蘭 ・N/A・ 福岡パークFSC布袋野蕨一 ・ (布袋野兎太)
  7. 鉱森神楽 ・N/A
  8. 蝉丸ひまり86.00点 ・ 荒川グローGSC ・ 蜻堂緋沙子
  9. 百瀬繭香 ・ N/A
  10. 雨宮蛍 ・N/A
  11. 浅利伽奈 ・N/A
  12. 子出藤環 ・ N/A ・ 蓮華茶FSC亀金谷澄覚 ・ (蛇崩 遊大,伊文里青紫 ,家森朝緑)
  13. 結束いのり81.20点 ・ ルクス東山 ・ 明浦路司 ・(高峰 瞳 )
  14. 八木夕凪 80.02点 ・ 名港ウインドFSC鴗鳥慎一郎 ・(雉多輝也)
  15. 大和絵80.01点 ・ 蓮華茶FSC蛇崩 遊大 ・ (亀金谷澄覚,伊文里青紫 ,家森朝緑) ・*予選落ち
  16. 九猪桃子78.20点 ・ 仙台スクエアFSC西まみ郡志
  17. 美波鮎 ・N/A  

 

【その他の出場選手】

  • 炉場愛花72.62点 ・ 愛西ライドFSC 五里誠二 ・ (王仁敦士)
  • 古部多まいん71.220点 ・ 名城クラウンFSC 竜宮アキラ ・ (千羽倫太郎)
  • 申川りんな70.04点 ・ 名港ウインドFSC鴗鳥慎一郎 ・(雉多輝也)

 

【出てくる可能性がある選手】

  • 小熊 梨月 ・ 岡山ティナFSC梟木豊 ・ (目白理世)
  • 鬼寅 カンナ ・ 福岡パークFSC布袋野蕨一 ・ (布袋野兎太)
  • 黒澤 美豹 ・ スター広島FSC岡山ティナFSC  ・ (伊太刀小五郎)
  • 獅子堂 星羅・ スター広島FSC岡山ティナFSC  ・ (伊太刀小五郎)

 

 

現実逃避のご案内

Google検索で記事が出なくなったら、検索語に「現実逃避」を付け足すと見つかりやすいです。

 

 

 

   

 

最新コミックス

 


*画像引用は行っておりません。文章は個人の感想です。

 

 

『メダリスト』 つるまいかだ先生 Score29 公式練習 感想 : 例え経験を持たなくても...! の巻

 

さてと。今さら感がありますが「メダリスト」Score29 公式練習の感想です。

 

 

いま最も熱い氷上の物語を描く漫画・メダリスト。めっちゃ面白いので次に来るマンガ大賞を機会にどんどんファンが増えてほしいところですね。個人的にはめっちゃアニメ映えする作品だと思うので,いつかアニメ化してほしいと願っていたり。

 

さて前回は「全日本」の舞台でついに邂逅した結束いのりちゃん狼嵜光ちゃん。出会ったのは1年前ですが,こうしてみると面白い出会いと巡り合わせの二人です。

 

狼嵜さんがいのりちゃんと友達になれたのは「最初にいのりが光ちゃんのことを特別視しなかったから」であり,それがきっかけで一緒に滑る機会ができた。そこで見出した「結束いのり」の可能性に対して,ここまで光ちゃんはめっちゃ期待し楽しみにしていたんですよね。

 

光ちゃんにとってはスケートは全てであり現状ライバル不在と言っていいほどの孤高の存在です。そうなるように夜鷹純コーチに指導されているからですけれど,言い換えれば「ライバルの不在」ということでもある。ともに高め合い,競い合う相手としてこれまで出会ってきた選手は既に「過去のもの」なのでしょう。

 

そうした中めぐりあえた結束さんは,初級の段階で類まれな可能性を見出せるほどの「何か」があったんですよね。追い抜いてきた存在ではなく,自分を追い抜き脅かす可能性のある存在。そんな存在だからこそ「全日本で相まみえる」ことを願ってきたのでしょうから,こうやって実際に1年足らずでこの舞台までやってきたいのりさんにはめっちゃ期待していると思うんですよね。

 

そんないのりちゃんの武器は言うまでも無く「練習では降りている」4回転サルコウである。今回はそんな4回転を巡るお話だったわけですが,そんな第29話の感想です。

 

 

 

コミックス 【既刊・新刊】

 

 

 

 

 

 

 

Score29 公式練習

今回の「公式練習」を読んでつくづく思うのは,フィギュアスケートって本当に「総力戦」なんだなってことですね。氷上スポーツである以上,個々の技能を磨くのは当然のことながら,氷の上という何の確実性もない運も実力もある世界の中で「どう演技を構成するか」という駆け引きも勝負を左右する要素となっている。

 

そんな順番付けを行う競技の中で,選手の技能,体調,周囲との比較,駆け引き,そういった要素全てが絡み合う様が面白いのは中部ブロック選でも十分味わえたんですけれど,こうして全日本まで来てみると公式練習の中にもそんな駆け引きがあって面白んだな。

 

特に今回いのりさんは注目の選手である。

予選スコアは81.20点の13位,長野合宿にも参加できていない。にもかかわらず1年足らずでノービスAの前日本の舞台に立ち,(現時点において)狼嵜光ちゃんトリプルアクセルをも超える4回転サルコウを降りている選手だからである。

 

 

4回転を降りられれば狼嵜選手の101.16点(名港杯)を超える点が出せる。明浦路司先生の目論見もそうですし,ライバルたちもそう想定しています。だからこそ「光ちゃんに勝てる選手なのではないか」という期待と,「本当に試合で4回転を降りられるのか」という好奇心・羨望・失敗を期待する悪意が入り乱れた眼差しを受けることになるのである。

 

このように,今回のお話では「女子フィギュアスケート」における4回転の持つ意味が嫌というほど強調されていて,一つの主題になっていましたね。それだけ難易度が高く,練習で降りることができても試合では成功することが難しいジャンプであると同時に,4回転に挑戦する者に対する特別視とプレッシャーがとんでもないことが描かれているわけです。

 

 

一瞬その重みに押しつぶされてしまいそうな描写からの「いのりさんの覚悟の決まった顔」と「予想通りだったね」と会話する司先生の描写がね...とってもいいんだ。

 

司先生は夜鷹純との会話の中で「世界一の金メダルを取ったものとそうではない者の差」を強調されている。それに対してそれを否定するだけの結果を出すことを求められている。コーチとして,まだ成長過程のいのりさんが本当に狼嵜光を上回るだけの武器と構成を作り出すことを求められている。

 

この

「予想通りだったね」

「はい」「覚悟していた通りです」

 

というのはそうした「持たざる者」が他者の過去の経験からどういうことが起きるのか想定し,事前準備してきた証なんだよね。司先生はフィギュアどころかアイスダンスの全日本ですら金メダルは取れていないし,いのりさんも全日本で飛ぶのは初めてである。未経験街道まっしぐらである。

経験が無いからこそ他者の経験から学習できる。対策も取れる。何が起こるか予測して事前に心構えを決めさせておく辺り,コーチとしての明浦路司先生がすごいことを証明しているんだよなあ...。

 

 

先制パンチの持つ意味

このプレッシャーは狼嵜選手がいつも受けている者である。圧倒的強者に対する期待と羨望,嫉妬。そういったものを受けながら彼女は軽々と飛び軽々と降りる。そうやってここまですべての大会で金メダルをとってきた。

 

もしいのりさんが狼嵜光を上回る選手であることを実証するのなら,同じ状況を乗り越えて金色のメダルを獲らなきゃいけない。その精神状態までいのりさんをもっていく司先生マジカッケー□×(死角なし)なわけですよ。

 

これはリハーサルで本番じゃない

 

練習で降りても本番で降りられなければ得点にはなりません。そんなことは嫌というほどわかっている。名城クラウンFSCヘッドコーチの竜宮アキラが懸念するように,練習で降りても試合では一度も降りられなかった選手もいる。

 

にもかかわらず,いのりさんは公式練習で4回転サルコウを飛び,氷に降りた。

 

これには大きな意味がある。

一つは結束いのり選手の構成とその予想点数が「高く」なったこと。結果,メダリストを目指す選手たちは否が応でも難易度の高いチャレンジングな構成を強いられることになる。

 

練習で失敗する選手がいたように,当日の体調や環境によって全力を出し切れない選手もいる。そういった中でライバルに難易度の高い構成を組ませることは諸刃の剣である。相手の失敗を誘えると同時に,成功すればライバルの得点を引き上げる効果もあるからである。

 

にもかかわらずいのりさんが4回転サルコウを降りて見せたのは,相手のミスを誘うと同時に,「敵はただ一人」と実力で相手をねじ伏せる金メダリストを目指す者としての気概の表われなのでしょう。

 

たぶん司先生の意図としては「相手のミスを誘う」が狙いだったのだと思いますけれど,これがどうでるか。特に気になるのはライバル・狼嵜光選手の構成ですよ。

 

 

全ての大会で金メダルを取ってきた夜鷹純に「いのりさんが4回転サルコウを降りている」という前情報は入っていた以上,当然それを上回る「策」を持ってきたはずなんですよね。その秘密が何なのか。光ちゃんの公式練習が描かれていないだけに分かりませんけれど。まとめる力でくるのか。さらなる技のバージョンアップが...例えば「4回転トウループ」などの取得があるのか。気になりますね。

 

そもそも「4回転サルコウならば101.16は越えられる」という見立て自体が危うくもあるんですよね。いのりさんが爆速で初級から4回転サルコウを降りるところまで来たのと同様に,相手だって当然成長しているはずなんですよ。

 

 

例えばこの後すべる鹿本すずさんの近畿ブロックの予選得点は101.23点。かつて敗れた光ちゃんの名港杯を上回ります。みんな成長しているんです。当然光ちゃんも上積みがあるはずです。本戦でみせる得点は101.16点をはるかに超える構成でしょう。

 

 

その時,いのりさんの構成は光ちゃんを越えられるものとなっているのか。司先生がどのような対策を想定しているのか。仮に4回転を降りたとして,この短期間でまとめる力まで高めることができているのか。色々心配やら期待やらあるところですが,本番が楽しみになってきましたね。

 

というわけで今回の漫画メダリスト Score 29 感想はまる

 

 

余談:

そもそも試合で4回転降りられるのかという点も重要なのですが,この点は五分五分だと思っています。実際の女子フィギュアにおいても島田真央選手が4回転を試合で降りていますし,漫画内で成功描写を描いても「荒唐無稽」にはならないでしょう。

 

4回転降りて金メダルを取らせるのが司先生の今回の仕事であり,竜宮アキラコーチのように試合での成功を祈る描写もあり...。そんなことを考えると「成功してほしい」とは思います。一方で司先生の意気込みがアイスダンスで失敗した時と被るのも気になります。

成功してもしなくても漫画的にはどちらもあり得るのかな....と現段階では思っています。

 

 

 

【参考】全日本選手権出場選手地区予選ランキング

 

見出しは以下の通り

ランキング・選手名・地区予選点数・クラブ・指導者・(他のコーチ)

 

  • WD・狼嵜光101.16点・名港ウインドFSC夜鷹 純 (鴗鳥慎一郎,雉多輝也)
  1. 鹿本すず101.23点・蓮華茶FSC  ・亀金谷澄覚 (蛇崩 遊大,伊文里青紫,家森朝緑)
  2. 亜昼美玖91.10点  ・ NSUプラントFSC  ・ 鴨川洸平 (白鳥ジュナ)
  3. 胡荒亜子90.44点 ・ 東京スターフォックスFSC ライリー・フォックス
  4. 子出藤絋89.50点 ・ 蓮華茶FSC亀金谷澄覚 ・ (蛇崩 遊大,伊文里青紫 ,家森朝緑)
  5. 小雀白花 ・N/A・ やまびこFSCコーチ ・ 日瀧常
  6. 大蜘蛛蘭 ・N/A・ 福岡パークFSC布袋野蕨一 ・ (布袋野兎太)
  7. 鉱森神楽 ・N/A
  8. 蝉丸ひまり86.00点 ・ 荒川グローGSC ・ 蜻堂緋沙子
  9. 百瀬繭香 ・ N/A
  10. 雨宮蛍 ・N/A
  11. 浅利伽奈 ・N/A
  12. 子出藤環 ・ N/A ・ 蓮華茶FSC亀金谷澄覚 ・ (蛇崩 遊大,伊文里青紫 ,家森朝緑)
  13. 結束いのり81.20点 ・ ルクス東山 ・ 明浦路司 ・(高峰 瞳 )
  14. 八木夕凪 80.02点 ・ 名港ウインドFSC鴗鳥慎一郎 ・(雉多輝也)
  15. 大和絵80.01点 ・ 蓮華茶FSC蛇崩 遊大 ・ (亀金谷澄覚,伊文里青紫 ,家森朝緑) ・*予選落ち
  16. 九猪桃子78.20点 ・ 仙台スクエアFSC西まみ郡志
  17. 美波鮎 ・N/A  

 

【その他の出場選手】

  • 炉場愛花72.62点 ・ 愛西ライドFSC 五里誠二 ・ (王仁敦士)
  • 古部多まいん71.220点 ・ 名城クラウンFSC 竜宮アキラ ・ (千羽倫太郎)
  • 申川りんな70.04点 ・ 名港ウインドFSC鴗鳥慎一郎 ・(雉多輝也)

 

【出てくる可能性がある選手】

  • 小熊 梨月 ・ 岡山ティナFSC梟木豊 ・ (目白理世)
  • 鬼寅 カンナ ・ 福岡パークFSC布袋野蕨一 ・ (布袋野兎太)
  • 黒澤 美豹 ・ スター広島FSC岡山ティナFSC  ・ (伊太刀小五郎)
  • 獅子堂 星羅・ スター広島FSC岡山ティナFSC  ・ (伊太刀小五郎)

 

 

現実逃避のご案内

Google検索で記事が出なくなったら、検索語に「現実逃避」を付け足すと見つかりやすいです。

 

 

 

   

 

最新コミックス

 


*画像引用は行っておりません。文章は個人の感想です。

 

 

『戦隊大失格』 第77話 迷路 感想 : アニメ化記念! 僕が「戦隊大失格」を楽しんでいるポイント!...の巻

 

春場ねぎ先生の『戦隊大失格』がアニメ化するそうで。おめでとうございます。

 

 

戦隊大失格は第1話から追い続けている作品なのでこれは目出度いですね。ねぎ先生というとやはり「五等分の花嫁」の印象がとても強いでしょうけれど,ところがどっこいこちらの作品も面白いと僕は思っていますよ。賛同者がどのくらいいるのか分かりませんが。

 

 

というわけで,せっかくのアニメ化ですので久々に感想がてら僕なりの「戦隊大失格」の楽しいポイントを紹介していきたいと思います。アニメ化で急にぐぐってみた貴方の一助になれば幸いです。

 

 

 

 

コミックス 【近刊】

 

 

 

 

 

 

 

1.主人公は「怪人」であり,名も無き「一戦闘員」である

 

 まずはじめに,この物語の主人公はいわゆる怪人側にあるということです。

 

「戦隊」大失格というタイトルから,所謂ニチアサの戦隊ものをイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。確かに戦隊もののフォーマットに沿った5色の「戦隊」はいますし,戦隊と争う組織グループとしての「怪人」もいます。そうしたニチアサヒーローものの世界観として「敵幹部」「戦闘員」のフォーマットは踏まえていますが,あくまで主人公は名前も無い一人の「戦闘員」です。ネームド幹部ですらない。

 

 

そう,つまり本作は

 

  1. 戦隊の世界観を「怪人側」から見てみたらという視点に立ち
  2. 主人公をいわゆるやられ役の名も無き「一戦闘員」に置いている

 

のが特徴なのです。

 

ですからニチアサヒーローものの戦隊ものとは全く異なります。戦隊側にも怪人側にも開示されていないさまざまな背景があり,いわゆる戦隊ものにありがちな勧善懲悪のコメディドラマはそこにありません

 

視点が「怪人」,それもいわゆるやられ役の有象無象の大量生産「戦闘員」にあるからこその物語展開がそこにはあります。この独特の世界観を前提に読むのが「ポイントその1」です。

 

 

2.もしも悪の組織が下っ端(戦闘員)だけだったら

 

この世界においては(初期設定において)世界征服を企んだ悪の組織の幹部は正義の戦隊によって淘汰され,残るのは幹部ですらない戦闘員のみという状況になっています。戦隊側は「存在する理由」を残すため,残された戦闘員は「生き残るため」に契約を結び,毎週日曜日に出来レースを演出することで共存しているのです。

 

共存と言えば聞こえがいいですが,実際に行われているのは正義のヒーロー役の戦隊によって強制的に演出される「疑似戦闘(出来レース)」です。戦闘員たちは今は亡き?幹部によってつくられた貧弱貧弱ゥ!な身体しかもたないけれども不死の存在なので,永遠にこの茶番に突き合うしかありません。ぶっちゃけこれは戦隊側による搾取にしかみえない。(そういう描写は戦隊ものが好きな人には面白くないかもしれません)

 

 

そんな一方的搾取に近い状態にあるなかで,いつしか抵抗することも世界征服する夢も諦めてルーチンワークのようにニチアサ決戦を演じてきた戦闘員たちの中で,ただ一人「意識を変えた存在」だったのが本作の主人公「戦闘員D」なわけであります。

 

彼もまた,幹部によって無から作られた大量生産品,一戦闘員に過ぎません。

戦隊の構成員だったら平役の存在ですらサクッと倒せるお気軽やられ役程度の能力しかありません。このあたりニチアサ戦隊の宿命とも言えますが,実際にヒーロー側は戦闘員を個々の存在として見ていませんし,視聴者側もそんな番組の絵面を構成する一部品ぐらいにしか思っていないわけです。そもそも脅威として描かれていない,それが戦隊ものにおける「戦闘員」です。

 

こうした戦隊のあるある的な世界観はそのままに,いつもやられっぱなしの戦闘員,戦隊から茶番に12年も強制的に付き合わされている戦闘員の立場から「反抗」ののろしを上げてみたらどうなるのか。

 

そんな無理難題に挑戦していく中で,主人公である戦闘員Dくんの葛藤と成長を描き続けていく。そんな下克上物語こそ本作のメインテーマとなるわけですが,そこを楽しめるかどうかが本作を楽しむポイントその2かなと思います。

 

 

3. 葛藤の中から生み出されるもの

 

状況は圧倒的に不利,知識も経験も能力も一戦闘員のDくんにはありません。彼にあるのは「世界征服してやる」という怪人としての矜持と「変身能力」です。

 

この変身能力を用いて人間に擬態し,戦隊に潜り込むという「腹破り作戦」を敢行するわけです。無論人間としての知識も無ければ経験もないDくんは毎日が命の綱渡りです。

半強制的に協力者となった戦隊側の反逆者・錫切さんや別の思惑でDと協力するおとになる戦隊側の平役・桜間のサポート?を受けることで次々の難題をクリアしていきます。こうした戦闘員Dの葛藤と成長していくところに下剋上もの」として見た物語の面白さがあります。

 

「変身能力」を用いて桜間と入れ替わる形で大戦隊に入隊し,ドラゴンキーパーの隙を伺いながら大戦隊の中で位置取りを作っていきながら不可能と思われた「一戦闘員が大戦隊を倒す」に向かって着々と進んでいきます。と同時に,彼の内面的な葛藤・成長もあるわけです。

 

  • 人間とはどんな生き物なのか
  • 人間として擬態してる自分と周囲の人間との関わり合いの中での大戦隊への「印象変化」
  • 自分にとっての「敵」は誰なのか
  • 自分は「何」がしたいのか

 

いつしか彼の中で大戦隊は本当に自分の敵なのか曖昧になります。ともに過ごした一人ひとりの人間を見た時に,必ずしも敵ではないのではないかとい想いが逡巡するようになったわけです。

 

一戦闘員としての自分と人間として擬態した大戦隊の一員としての自分。そんな迷いのなかで彼が何を見つけ出すのか。そこが本作を楽しむポイントその3なのかなと思います。

 

 

客観的視点で見れば構図は明らかで,今Dくんからみて人間の中には「敵」と呼べる存在もいれば「共存できるかもしれない」存在もいる。もちろんそれは今自分が人間として擬態しているから得られた感情であり,ひと度自分が怪人の姿に戻れば相手からは向けられることが無い関係性です。

それが前回の第76話「逆向きになっている」で描かれました。このタイトルはDが窮地を逃れる時の姿勢を表していますけれど,と同時に「怪人側であるにもかかわらず戦隊で一緒に過ごした仲間を敵として見られなくなっている」「戦隊は全てが悪い人間だけではなく共存できるのではないか」という本来の戦闘員の立場から見れば価値観が「逆になっている」ことも表しているわけです。

 

こうした描写が実に面白いというか秀逸だな~って僕は思うんですけれどね。この辺の葛藤の先に何があるのかなってのが一つポイントなんじゃないかなって思うので。

 

 

 

以上,僕が「戦隊大失格」を読む時のポイントでした。

ぶっちゃけ面白い・つまらないは人によってそれぞれです。面白いと思って読んでくれる人が増えればうれしいですし,つまらないと思っている方に無理の勧めるつもりもありません。それこそ作品に対するアウトプット(感想)なんて人それぞれですからね。

 

もし楽しめそうな方は是非第1話からお読みいただければ幸いです。

 

 

ここまでのお話は現在無料で公開されているそうです。

 

pocket.shonenmagazine.com

 

 

第77話 「迷路」 感想

で,今週のお話です。ここからは第77話の感想になるので,できれば先に第76話まで読んでほしいところです。

 

 

 

 

 

グリーンキーパーを倒すために尾行し,その居住地と家族を見付けるところまで来た前回。思わぬ形で「同期」の明間さんと浦部くんに出くわしてしまったために露わになったDの「迷い」,そこに暗殺相手の千歳ことグリーンキーパーが乱入ってところで引き。

 

で,今回もまた前回の「対」となる話で,戦闘員Dの揺れを大戦隊側がどうみているのかというお話なんですよね。大方の予想通り情報屋でもある千歳にはDが桜間に擬態している戦闘員であることがばれていました。その上でDの想いを探っていたわけですが,そんなDの葛藤に「落胆した」と千歳は言っていました。

 

 

これなー。そういう反応なんだ...ってやや意外だったですけれど,考えてみれば大戦隊側から見れば当然のことなんですよね。千歳(グリーンキーパー)とDの会話を引いてみましょう。

 

「お前は俺の敵だな!」とわざわざグリーンキーパーに念押しするあたり「敵なのか,敵じゃないのか」というDの葛藤がみてとれます。それはDが桜間に擬態して大戦隊の一員として過ごした日々から得た「仲間意識」もあれば,「赤刎のようにあくどいことをしているわけじゃない,倒すべき敵ではないのではないか?」という意識から生じたものですよね。

 

それに対して千歳はこう返すわけです。

 

おまえにとってはそうかもな

戦闘員は大戦隊の駒に過ぎない

 

Dが擬態桜間と戦闘員の二つの立場の狭間で葛藤する中で,目の前に立つ戦闘員Dに対してあくまで「戦闘員」として扱う千歳。この時点で立場のギャップがあるのですが,この答えは千歳としては当然です。

 

大戦隊は何らかの理由で...戦闘員との茶番を続ける必要があり,そのために演じてもらう存在でいてもらう。それだけの存在なわけです。敵としてすら認識されていない。ただ千歳はこれまでのDの言動やらから彼が何かを為し得ようとしている,そのために「敵」である大戦隊に潜入していることを理解している。だからこそ「おまえにとってはグリーンキーパーは敵なんだろう」といってのけているわけです。

 

 

と同時に「落胆した」とも言っています。

その理由は明快で,

 

己の敵かを相手に問う姿は実に無様だった

自分の敵ぐらい自分で決めろ

怪人ならとことん悪く自分本位であれ

 

という想いがあるからです。これ,面白いなと思いました。

 

千歳は「落胆した」としてその理由を述べましたよね。落胆というのは「相手に対して描けた期待値」とそれに対する現実ギャップから生じる言葉です。千歳はDに対してより高い「何か」を期待していたはずなんですよね。

 

そこには蔑みもなければ侮りもありません。Dを一人の存在として認識し,評価した存在として見ていたわけです。それはレッドキーパーから神具を奪い取った時の赤刎の怒りからも窺えますし,対峙する中でDを脅威に感じたブルーキーパーにも通じるものです。

 

つまり千歳はDを単なるやられ役の名も無き一戦闘員としてみていない。自分やその家族に脅威を与えうるなら敵としても認識するし,敵として自分を見ないのであればまた「別の関係性を築ける存在」として認識する可能性すらある。

 

 

だからこそ「敵か味方か」という二元論に陥ったDに対して落胆したのかもしれない。千歳がDに投げかける言葉は厳しいものばかりでしたけれど,それは最初に述べたように一戦闘員として扱うためだからではないからです。

 

もしDが自分や同期を「敵」として認識できないのであればお前にとっての「敵」は何なのか

 

そんな問いかけを通じてDが今抱える葛藤から「Dが本当に目指したいもの」を見つけ出してほしかったんだと思うんですよね。それは戦闘員と人間・大戦隊との共存なのか。Dが倒すべきと考える存在は何なのか,自分で答えを出してほしかったんだと思うんですよね。

 

一読者としての勝手な妄想としては,Dの目指すべきものは「共存」なんだろうなあと感じています。敵と味方という役割で二元化されるのではなく,共に相手を尊重し認め合い共存できること。双方が争うのではなく,世界を分かち合えること。そのあたりが最終的な落としどころというかDの目標となるのでしょう。

 

 

「正義と悪」と強制的な役割分担による「偽りの共生」ではなく,真の共生

 

 

実際にこれまでDは大戦隊にまぎれこみ,活動する中でそれを実現しつつあります。だからこそ戦闘員との新たな関係性を千歳も感じたのでしょうし,単純に敵か味方かに区分けしようとしたDにも落胆したのでしょう。厳しい言葉は気づきを促すものでもあったはずなのです。

 

 

とそこに,レッドキーパー・赤刎登場

言うこと成すこと相変わらずの粗暴者といいますか,クズ野郎の香りを漂わせていますが,この乱入は千歳とDの関係に大きく影響しそうですね。

 

赤刎乱入のせいで起きた森林火事の先には自分の大切な人が住む家があります。そのことはDも知っている。立場上怪人討伐のために振るわなきゃいけない千歳,恐らく居住地すら秘密にしている以上家族がいる事は赤刎にもばれてはいけないことなのでしょう。

 

そんな窮地に立たされたグリーンキーパー・千歳を救うのがDなのではないか。そこで千歳とDが奇妙な共存関係をつくるのではないか。

 

そんな物語の先々の楽しみを感じ取った,第77話でした。まる。

 

 

 

 

現実逃避のご案内

Google検索で記事が出なくなったら、検索語に「現実逃避」を付け足すと見つかりやすいです。

 

 

 

   

 

既刊コミックス

 

 


*画像引用は行っておりません。文章は個人の感想です。

 

 

『かぐや様は告らせたい』 最終話 グッバイ秀知院! 感想 : お可愛いこと...!永遠の秀知院の仲間たち!... の巻

さてと。『かぐや様は告らせたい』最終話の感想です。

 

最後はナンバリング(第271話)ではなく「最終話」。本当に物語の終わりなんだなと感じます。前回も少し書きましたが,本作品が始まって7年半。連載開始1年半ほどで後追いする形で書き始めた感想ですが,ついに最終話までお付き合いさせていただきました。

 

僕は「面白いラブコメがある」と気づいた人が増え始めた最初期の頃からの作品ファンと自負していますが,映画・アニメ・イベント・スピンオフ作品と非常にコンテンツが大きくなった中で映画を除いてほぼ「原作」の感想一本に特化してきました。そういう意味では「作品の熱狂的なファン」というわけではないでしょうし,僕自身コンテンツ全体を楽しめていないもどかしさはあります。

 

そういう意味では僕は「傍流」のファン...。

コミックスが1900万部売れている作品となった本作品読者の一人に過ぎないのです。

 

そんなちっぽけな1ファンではありますが,こうして6年間もテキスト感想を書き続けてこれたのは単に赤坂先生が描かれる作品の持つ魅力のおかげであります。「かぐや様は告らせたい」は間違いなく漫画・ラブコメの可能性を再認識させてくれた傑作でした。

 

その作品に対する最後の感想をアウトプットすることで作品と作者の赤坂先生への感謝の念を表すとともに,僕自身の漫画感想生活の一つの「区切り」としたいと思います。というわけで,かぐや様は告らせたい」最終話,感想です。

 

 

 

コミックス 【新刊】

 

 

 

 

 

 

天才たちの学び舎

時は流れて最終回は卒業式です。物語の終わりが「卒業」であることは以前より予告されていました。

 

もちろん白銀御行は飛び級スタンフォード大学に進学してしまっているので既に秀知院の学生ではない。故に学友の卒業式が終わるのを外から見守るという形に相成ったわけですが,そんな中,元学び舎の中に入り卒業式を眺めることを促す白銀父(結局名前は明らかになりませんでしたね)の姿がありました。

 

これね。自分の体験をちょっと思い出させられましたね。

とある私学の学校に通っていたんですけれど,転居によってやむなく途中で転校せざるを得なかったんですね。最終学年での転校だったので寂しかったわけですけれど,卒業シーズンになった時に「お別れ会に来ないか」と声掛けをいただいたのです。

 

完全に立場が白銀御行と被っていたんですけれど,旧知の友人たちが卒業証書を受け取るのを眺めつつ,最後は卒業写真にもなぜか一緒に入れてもらって,最後に会食して...みたいなことがありました。そのことを思い出してふと懐かしさのあまり涙が出そうになったり。

 

 

閑話休題

 

学び舎の中を一人歩く御行の目に映る学内を通じて,作中の色んな出来事を思い出させられましたね。

 

正面玄関前の庭でのかぐやさんと柏木さんの恋愛相談のこととか。期末テストの発表や生徒会長選挙の後のかぐやさんと御行のそれぞれの反応とか,もろもろ思い出しましたし。音楽室では藤原ママと御行会長が音痴をなくすために必死の特訓を行ったり。家庭科室では魚をさばけない白銀を藤原ママが指導したり。

 

屋上では寝そべりながら星を見つつ御行が浮いた言葉をかぐやに投げかけたり,ウルトラロマンティックな告白をしたり。美術室では芸術の授業選択の駆け引きや,御行とかぐやがお互いを描くために必死になっていたり。

 

そんな諸々の「作品のこれまでの思い出」に感情がぶわっと蘇ったりしてですね。ああ,滅茶苦茶コメディとして楽しかったな...とか,文化祭の告白とかあの時夢中になって読んで感想を書いたな...なんてことが思い起こされます。

 

こうした諸風景がそのまま作中の様々なエピソードを想起させることで,読者自身にもかぐや様は告らせたいという作品からの卒業」追体験させているわけですね。

 

 

天才たちの生徒会室

肝心の卒業式の様子ですが,大林先生(もうちょっと活躍の場があったらよかったですね)の計らいで御行も見ることができました。

 

中退した御行と無事卒業した恋人・四宮かぐや。本来は同じ壇上で同じように卒業証書を受け取ったであろう二人がこうして別々に卒業式を迎えているのも,白銀御行という男が先々の人生のためにとった「選択」の違いを強調させていますね。

 

この卒業式で印象的だったのはとにかく四宮かぐやの「笑顔」ですね。

入学当初,白銀と関わること自体を拒絶していた二人が,御行からの仕掛けによって相手を意識するようになり,いつしか勉学によって競い合うようになり,やがて男女の仲を意識するようになる。

 

その後の恋愛頭脳戦は言わずもがなですが,全てに絶望したような表情のない女の子だった四宮かぐやが,こうやって学業生活を振り返り生徒会の思い出を語る。その思い出がとても楽しかったこと,白銀会長をはじめとする生徒会の面々との日常が「笑っちゃうほど楽しかった」と。感慨深いじゃないですか。

 

かぐやは言います。

 

「人は楽しいと笑うんですよ」

「この世界でこの場所だけはいつだって笑っちゃう位楽しかった」

 

そんな風にかぐやを変えたのは御行と生徒会の面々たちなんですよね。

白銀御行に恋をして,相手に告らせようと恋愛頭脳戦(?)を繰り広げる。傍目には喜劇的な恋のやりとりも,藤原書記や石上,伊井野さんといった生徒会の仲間との楽しかったやりとりも,全部秀知院学園生徒会室で行われた。

 

かぐやのこの言葉こそ,「普通でありたい」と願い続けてきた,ごく普通の高校生の楽しかった高校生活を象徴していてですね。秀知院学園で過ごした日々がかぐやと御行(と周囲)を成長させたんだなと。その集大成としての卒業式なんだな,って思ったり。

 

そしてあれだけ口にすることを「敗北」と捉え,それを言わないために延々と繰り広げられた恋愛頭脳戦が何だったんだ...と思うくらい自然に「会長が一番好き」というセリフが滑らかに出てくること。ここにも四宮かぐやの成長と変化を見出すことができますね。

 

天才たちの卒業式

まあ今度はいかにして相手からプロポーズさせようか...などと思っているあたり,構図的には「相手に言わせたい」というのは演出として残りましたけれど。

 

さすがにお付き合いしていて40歳まで結婚しないのどうなの...とも個人的には思いますが,もはや二人には「相手に言わせなければいけない事情」なんて無くなっていますしね。もう自分自身を社会的側面で飾り立てたり,自分自身に嫌悪感を持つ事も無いわけですから...。愛されていることは人に自信を持たせる

 

 

そんなかぐやさんから御行への最後のサプライズ。「御行も共に卒業する」ことですね。

 

自分も経験したから分かるんですけれど,実際に卒業期間まで一緒に過ごさなかったにしてもこうしてともに学生生活を過ごした友人を祝福してくれる。これ,とっても嬉しいことなんですよ。

 

気分的には「もう自分はここに所属していない」という寂寥感,疎外感がある。一方で「かつてここで共に学友と過ごした」という帰属意識もある。このギャップはね,途方もなくあるんですよ。先に出て行ってしまった者としては。

 

それに対して「あなたもまた私たちと同じ仲間だよ」「一緒に卒業しよう」といってくれるのはね...本当に嬉しいんですよ。不覚にも涙ぐむ白銀御行の気持ちがよく分かるんですよ。

 

 

そんな白銀の姿を見ての懐かしの四宮かぐやさんの名台詞がですね。感慨深いですね。

 

「あらあら まぁまぁ」

「お可愛いこと」

 

恋愛頭脳戦が終わり,ついぞ見かけなかったこのセリフを最終回に持ってきてくれましたね。それはかつて白銀御行が想像した上から煽るようなかぐやではなく,満面の笑みを浮かべた四宮かぐやのセリフです。

 

きっとね。ここまでもずっと四宮さんは笑顔でこれを言っていたんだと思うんですよ。実際には。だって楽しいもんね。恋する相手を可愛らしいと思う瞬間なんて,顔がにやつかないわけないんですよ!

 

 

そんなかぐやの笑顔にいつものように引きつるでもなく,頬を染めて恥じらうあたりも二人の関係性の変化と成長を感じます。最後の恋愛頭脳戦は「四宮かぐやの勝利」ですけれど,本当はもうきっと勝敗なんてどうでもいいんだよね。今この瞬間,白銀御行と共に卒業するという本来は無かったはずの機会を実現させたのですから。

 

 

グッバイ秀知院!... グッバイ「かぐや様は告らせたい」!

というわけで物語はお終いです。

最後はいつものようにいつものメンバーでお別れです。道すがらの会話もまた,これまで彼らが歩んできた青春そのものを象徴するような内容で,離れても「何も変わっていないいつもの日常」を思い起こさせます。

 

実際にはこの先々の人生は別々のものとなります。かぐやもスタンフォードに進学し,藤原千花や早坂愛も別の道を歩みます。残された伊井野ミコ会長と石上優の物語も会長たちのこれからの生活とは別に進んでいきます。

 

しかし卒業とはそういうものです。

一つの区切り。ある出来事が一つ結実した「区切り」でもあり,別の道へのスタートでもある。

 

 

ここまでかぐや様は告らせたいというラブコメ作品を楽しんできました。

当時「ニセコイ」というラブコメ作品が終わり,毎週漫画感想を書くという生活から一区切りつけていた自分にとって「かぐや様は告らせたい」との出会いは衝撃的であり,ラブコメの新たな可能性を見出しました。

 

物語がどのように展開し,どのように楽しいエピソードが積み重ねられてきたのか,二人や周囲の恋路がどう展開してきたのか,そうした物語のプロセスも十二分に楽しめました。

 

 

しかし,それも今日で終わり。

 

すでに「ほぼ出来上がっているカップルもの」というジャンルは成熟し,ある種飽和状態となっています。メジャー作品では「からかい上手の高木さん」に始まり,この「かぐや様は告らせたい」がこのジャンルを確立させたのは事実ですが,ジャンルとして見たらもはやどこかで見た手法という風景になりつつあります。

 

ブコメに一つの時代を築いだ本作が終わってしまうの非常に残念であり,寂しくもあるのですが,これもまた読者にとっての「作品からの卒業」でもあるんですよね。そして卒業とは「終わり」ではなく新しい人生のスタートでもあるわけです。

 

 

作者の赤坂アカ先生におかれましては,7年半もの間の長期連載お疲れさまでした。一ファンとして本作を通じてとても楽しめたこと,ラブコメというジャンルに新しい可能性を感じさせてくれたことに心から感謝申し上げます

 

本作品は一先ず終了ということになろうかと思いますが,まだまだ漫画家としてお若くその才能を発揮する機会はあると思います。新たな漫画家人生のスタートとして,並行して連載されている「推しの子」,そして大上貴子先生と作られるであろう新作に期待しております。

 

 

そして漫画感想ブログを続けてきた自分にとっても「かぐや様は告らせたい」感想は終わりです。「作品からの卒業」と相成るわけですが,寂しくもあります。

 

と同時に,今後出てくるであろう素晴らしい漫画,ラブコメとの出会いも当然拓けているわけです。そういう意味では新たな作品との出会いを待つ「再スタート」としての作品からの卒業ということにもなりましょう。いまはまだ見ぬ素晴らしい作品とのめぐり逢いを楽しみにしています。

 

 

最後に,これまで拙い感想を毎週読みに来てくれた皆さまに感謝申し上げます。

 

感想として必ずしも十分ではなかった部分も多々あったと思います。たくさんいただいたコメントにも反応できないこともあり,申し訳なく思っています。このブログはあくまで一個人の漫画感想を綴る場所であり,作品ファンとしての想いをつらつらと書き連ねるだけのものでしたが,ここまで続けられてきたのは「かぐや様は告らせたい」という作品の魅力と感想を読んでくださった皆さんのおかげです。

 

ありがとうございました。

 

 

というわけで「かぐや様は告らせたい」最終回の感想はまる

 

 

追伸:「かぐや様を語りたい」のG3井田先生も4年間お疲れさまでした。本編最終話に合わせたお話,素晴らしかったです。

 

 

追記;赤坂先生から連載が終わってのコメントがTwitterで出ました。作画あり漫画家としては引退だそうですが,その才能を様々な分野で活かしてほしいです。今後の活躍をますますお祈りしております。

 

【出典】赤坂アカ https://twitter.com/akasaka_aka/status/1587986787569651712

 

現実逃避のご案内

Google検索で記事が出なくなったら、検索語に「現実逃避」を付け足すと見つかりやすいです。

 

 

 

   

 

最新コミックス【デジタル版】

 


*画像引用は行っておりません。文章は個人の感想です。