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『五等分の花嫁』 感想 『鬼滅の刃』感想

『五等分の花嫁』 第87話 私と姉妹① 感想

さてと。五等分の花嫁 87話 の感想(ごと嫁 感想)です。

 

壮絶な姉妹戦争の果てに明らかになった事実。それは風太郎が「5年前に京都で出会った女の子」,はじまりの女の子は中野四葉さんだったということ。

 

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5年前の京都で出会った女の子であるにも関わらず...

まあ,これについてはいろんな方が論理的演繹によって解にたどり着いていたのかなと思います。弊ブログも「京都の子=四葉」に相違あるまいと予測しておりましたし。

しかしそうなると気になるのは四葉の心理ですよ。彼女が自分の本当の気持ちを「ひた隠し」にしようとする背景ですよ。

 

 

「5年前に京都で出会った女の子」は風太郎にとって自分を変えることができた感謝と憧れの象徴です。感謝と憧れを抱かれることが恋愛的に意味を持つかと言うとなんともいえないところがあるのですが,少なくとも「ポジティブな評価」であることには相違ない。肯定的評価は,相手に好きになってもらいたい時の大前提と言ってもよい。

 

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感謝と憧れ

これまでの四葉を見ていると,恋愛感情は否定しつつも奥底にある恋心が浮かび上がるシーンがあったのは周知のとおり。で,あるならばそのことを「武器」にアプローチしてもよさそうなものですが,それとは裏腹に四葉は自分を否定し,一歩後ろに下がり,他の姉妹の後押しをしようとしてきました。

 

彼女のそんな行動の理由とは。そこに至るまでに四葉風太郎と家族と築いてきたプロセスは。そんなことが明らかになりそうな,「5年前の京都/・修学旅行編」スタートであります。

   

 

 


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中野四葉は違いたい

というわけで時系列は5年前に遡る。

まだ5人娘が全く同じ容貌・全く同じ思考であったころの話。

 

そういえば,かつて二乃もそんなこと言っていましたっけ。5年前は全員が同じような姿かたちで考え方も能力も何もかも共通で,相手のことがまるで自分のことのように理解できたのだと。

 

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同一でなければならないのか?


 

そんなことを象徴するような「瓜の逸話」が印象的ですね。そこに中野四葉葛藤がある。

 

 

ふむ。

5人みな一緒であり,5人みな同じであること。他の姉妹たちがそれに疑問を持たず,そのことに対して「喜び」を感じている中で,四葉一人は違和感を感じていたというわけか...。なるほど。

 

無論,姉妹のことは好きである。5人一緒に健康でいつもそこに在ること自体が「幸せ」という母の言葉もある。そんな5人態勢の中で四葉はどこか窮屈そうに過ごしていたんだね...。5年前の京都修学旅行前のころには。

 

 

冒頭,5人姉妹でサッカーをしたエピソード。

そこには姿形もそっくりな5人の姿があります。そんな5人は今のみんなバラバラとなった五姉妹とは全く異なる世界。

  

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思考も同一だった時代

「二乃」が言いそうな言葉を「三玖」が言う。ある意味とっても新鮮ですが,「皆が似たような思考を持ち,相手の考え方が手に取るようにわかる」という,当時の様相を反映している一シーンかなと思ったり。

 

そんな中,一人「違い」に気づく四葉がそこに在る。

一人一人違っていてはいけないのだろうか。そんなアイデンティティの芽生えが最初に来たのは意外や意外,5姉妹で最もお子様に見える四葉だったというわけだ。

 

サッカーを通じて己の能力に気づく四葉。「みんなのお手本になれる」という肯定評価に嬉しそうな顔をしてみたり。そんな能力の違いの存在すら気づかない姉妹たちとの「違い」を感じ取ったり。

 

そんな違いに対して最初に気づいて,最初に戸惑いを感じた四葉だからこそ,逆もまた気づいてしまうわけだ。

 

自分は他の姉妹に比べて「できない」子なんじゃないか

 

 

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失敗する自分

母の退院祝いのプレゼントを買うために5人で集めたお小遣い。そんな大切なものをうっかりと無くしてしまったり。修学旅行で団体行動をとろうとしたら,うっかりはぐれてしまったり。

 

自分はうまくやれない。

他の姉妹ができることを,自分はうまくできない。

 

そんな「できないこと」について,他の姉妹は気づいていないし,フォローもしてくれる。同じようなプロセスで失敗をリカバリーしようとするあたり,自分もまた他の姉妹との同一性を保持していることを再確認する。

 

でもそれでも「違い」は純然とそこにある。四葉はきっと,そのことに気づかない他の姉妹とも,五人揃って同じようにあることを喜ぶ母に対して「違っちゃいけないのかな?」という疑問を抱いているわけだ...。なるほど。

 

 

それはもしかすると,ある種の「恐れ」なのかもしれないね。

やがて四葉が自覚することになる,5人で一番勉強ができない自分。そんな自分が4人の足を引っ張って落第してしまうわけですが,まだそんなに大きな差がなかったであろう5年前ですら,そんな差異に気づいてしまう。

 

他の姉妹と違うこと。他の姉妹よりできないこと。

そんな「できないかもしれない自分」「いつまでも同一であり続けられないかもしれない自分」「ついていけなくなるかもしれない自分」というものに「恐れ」を抱いていたのかもしれないなあ...。

 

 


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中野四葉は頑張りたい

そんな四葉からみた,5年前の京都修学旅行編。

 

5年前,姉妹たちからはぐれてしまい独り取り残されてしまいそうになった時。5人一緒であり続けなけえばならない,という「家族の掟」に従おうと自分を奮い立たせようとしたとき。

 

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違ってはいけないのか?

そんな時ですら,「本当にそうなのか?」という疑問が駆け巡る。一人「違う」ことに戸惑いと恐れを感じてる四葉の気持ちが何とも言えませんね。

 

その時,それが起きたわけです。

5年前の修学旅行。京都駅の階段で起きた運命の出来事。5人の姉妹と風太郎が重なり合う,最初の出来事。風太郎と「写真の女の子=四葉」の出会いが。

  

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邂逅

階段の上から風太郎を眺める四葉

そこに見えるのは,独りぼっちでも行動できる風太郎の姿です。実際にはこの時風太郎は「必要とされていない自分」に打ちのめされていたわけで,ある意味「独り置いていかれている自分」と同じ存在です。

 

でも四葉はそこに「救い」を求めたんだね。

姉妹のようにできない自分。おいていかれそうな自分。そんな自分でも行動できるんじゃないか。できることがあるんじゃないか。そんな一歩を踏み出す存在として,風太郎がこの時「必要」だったんだね。

  

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巡り合った二人

ぬう。

なんとも因果がめぐるというものよ。四葉風太郎を必要とし,同じく独りであった風太郎もまた「自分を必要」と言ってくれた四葉に救いを見る。この時,確かに二人はお互いが必要なのであった。

 

そんな四葉視点で語られる5年前の京都の物語。まず導入編,といった感がありますがこの先四葉に起こったことを考えると何とも言えない気分になる。

 

 

お互いを必要としあった二人,つかの間の交流によってかけがえのない何かを得た風太郎と四葉。だがそこで得た出来事は,最終的に四葉にとって決してプラスのことで終わらなかったのかもしれないなあ...。

  

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変わろうとした四葉

 

というのはだよ。

5年前のこの時,風太郎を救うために勇気を振り絞って声をかけた四葉は「変わろうとする自分」だったじゃないですか。他の姉妹と異なってでも「それでいい」と認めようとしている自分。だから姉妹との合流をおいておいて,風太郎と関わることを選択したんだよね。

 

だが「今の四葉」はどうか。

自分に自信を持たず,その恋心ですら封印して姉妹に譲ろうとする。自分に対する低評価・自信のなさ。今の四葉にあるのは,他の姉妹との違いを認めつつ,他の姉妹より劣っているかもしれない自分を「引く」ことで許してもらおうとする。そんな逃げの姿勢が見えなくもない。

 

であるならばだよ。

きっとこの京都の出来事は四葉にとって「変われる機会ではなかった」のかもしれないなあ。風太郎が変われたのと対照的に。そう考えると,先炊きの展開は不安含みとなってきます。

 

今回のシリーズタイトルは「私と姉妹」であることから鑑みて,風太郎と五姉妹の間で起きた出来事だけを描くのではなく,風太郎とのかかわりを経て四葉が他の姉妹に対する接し方がどう変化したのか。それを決定づけるような出来事がここで起こったのではないかと想像してみたり。まる。

 

余談

 

四葉は変われなかったと言いましたが,風太郎との関わりの中でプラスに転じたのであろうということも起きている。

 

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四葉の才能

 

サッカーの才能をへぼ監督(笑)に見出された四葉。そこに自分の可能性を感じ取ったに違いありませんが,それは一つのきっかけです。そんなきっかけが風太郎と交流を経て,ポジティブに働いた可能性はある。

 

というのはだよ。

実際,この後四葉は運動能力をどんどん伸ばしていったわけだ。いろんな部から助っ人を頼まれるほどの身体能力。それは四葉が努力することによって後天的に得たものである。 

 

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四葉の後天的才能と風太郎(第29話より)

 

かつて風太郎がスキー場において三玖に語った言葉を思い出す。

四葉風太郎との京都での出来事の中で,そのその身体能力を褒められるような出来事があったんじゃないかな。その結果,四葉はそれを伸ばしてみようと思ったんじゃないかしらん。そんな関わり合いがあったのかなと思ったり。

 

 

次。

今回,生きた姿を登場させた中野零奈さん(母)

  

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母の無表情

ふむ。

「無表情なお母さん」とか言われているんですけれど,それは...。

 

 

なるほど。

確かにかつての教え子も「先生は笑ったこともない」と零奈(母)を表していましたけれど,まさか5人姉妹の前ですら無表情とはなあ。これなんなんだろ。

 

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母・零奈は仕事でも無表情(第57話より)

 

 

娘たちを愛しているのは分かる。「五人姉妹がいつも健康で共にあること」に喜びを感じる母である。愛情がないはずがないのである。

にもかかわらず,娘たちに対しても笑顔一つ見せられないというのは不思議な気がする。なにかのトラウマなのか。あるいは,笑うことを自分に許せないくらい五つ子を育てるために「気丈」であり続けようとしているのか。そこが気になりますね。

 

そんな母が思わず顔を赤らめるような,のちの結婚相手である「マルオ」

ふむ...二人は医者と患者の関係であったのか。かつマルオが一方的に零奈(母)に懸想する形...。なるほど。

 

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マルオ

 

そもそも「五姉妹の本当の父」が離婚なのか,他界なのかよくわからない。印象的には前者なのかなと思いますけれど,そこんところは真相が明らかになるまで分からないからね。ただ,以前の五月らの「父に対する不信感」と,今回のマルオに対する姉妹評がいま一つ一致しないんだよなあ...。

 

どっちかというとマルオは母を大切にしていたように見えるし,医者と患者である以上,母の治療については全力を尽くしたであろう。そこに五姉妹が不信感を抱く要素はない。

一方で「彼氏か」「お父さんか」といった物言いは,男性というかお父さんというものに対する不信感を感じないのである。もし離婚なりなんなりの理由で実父が不在ならば,そもそも家族に対して不誠実であった「お父さんというもの」に対してこんな風に語れないような気がするんだよなあ...。

 

そう考えるとやはり五姉妹が距離を取っている「お父さん」はマルオのようにも思える。このあたりの謎も気になるところですね。

 

 

最後。

今回登場した母・零奈ですが,本当に五月の口調と同一ですね。なるほど...。

 

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零奈の口調


 

母に最も甘え,母が他界した時に最も打ちひしがれていた五月。五月はみんなの「母」になろうとしていることは,かつて二乃との喧嘩でも明らかですけれど,それがはっきり裏付けられた模様。

 

しかしそこに五月の「闇」というか,心の問題が見て取れるね。かつて零奈の教え子さんは五月に対してこう言っていました。

 

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五月がなりたいもの(第57話より)

 

これは教師という道を選ぶときに言われた言葉ですけれど,確かに母に憧れ,母の模倣をすること自体は大きな問題じゃない。問題はそんな社会的側面ペルソナをかぶり続けることである。今回,四葉が自らのアイデンティティをもとめて苦しんでいたように,本当の自分というものを五月は作り上げていないのかもしれない。

 

母への憧憬からの母の模倣

それは子どもの気持ちとしてわからなくはないけれど,同時に彼女らしさというものを奪ってはいないか。そこが気になるのである。

 

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五月の持つ母の憧憬

今回の四葉編のあとには五月の物語も描かれるのでしょうが,きっとそれは「母の死」という出来事と大きくかかわっているのだろうなあ,と妄想してみたり。

 

というわけで,今回の感想はおしまい。再度まる。

 
 

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*画像は週刊少年マガジン2019年第26号『五等分の花嫁』 87話,同86話,同57話,同29話より引用しました。