さてと。五等分の花嫁 94話 の感想(ごと嫁 感想)です。
七月は忙しいと言いながら更新を続けるayumieです。いろんな現実を逃避しながら感想を綴っている。なぜならそこに漫画があるからだ...かどうかは分かりませんが,相変わらず「五等分の花嫁」も目が離せないですね。
前回は一花さんの時計仕掛けのオレンジな爆弾がさく裂して「引き」だったわけですが,当然それを受けての後始末。一花の意図は...風太郎はどう受け止めるのか。そんな若芽が伸びて分枝していく時を疾く御覧じろ。
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中野一花,別離の決断をする
さてその一花です。ここまできて「学校をやめなければならない理由」とは一体何かといえば,基本的に「仕事」。仕事に専念したいというのが理由です。ふむ。
映画に出演したり,いつのまにかCMに出ていたり。いつも5人一緒だった姉妹からすれば,突然「有名人」認定されている一花に驚きを隠せない。そこにいる一花はいつも側にいた一花だったのに。
でも同じようで同じじゃない。小学校6年の時に四葉が始めた「独立運動」からずっと,若芽は少しずつ伸びていていつしか立派な若枝に分枝しつつある。そこにいる一花は女優を目指す一花。自分たちとは異なる道を選んだ一花である。
それはきっと本当にそうしたいという部分はあるのでしょうね。でも大多数の読者も抱いたであろう疑問点。学校をやめるほど忙しいとも思えないし,この先大きな仕事が入ってくるにしても学校と両立できないはずがない。理由は他にある。
それを問いかけるのが「やらかした相手」である三玖ってところが何とも言えないですよね。風太郎を巡っての姉妹大戦争の立役者。大乱世の一花の記憶も残るこの時期に,その問いかけは辛いものがある。
とはいえだ。
一花が答えているように,姉妹である三玖に対しての負い目はまだ何とかなる。少なくとも三玖が告白できるところまで応援してあげることは出来たわけですし。一つ身を五つに分けし五つ子だからこそ,そこは姉妹としての十数年間の重みでつなぎとめることもできる。
しかし上杉風太郎に対してはそうはいかない。だからこそ「学校をやめる」という事実がもたらす「家庭教師としての風太郎との絆の解消」を考えたわけですね...。なるほど。
既に風太郎には手厳しく拒絶され。謝罪は受けたものの,「京都で過ごした思い出の一日」を否定された一花としては,この先自分の恋心が逆に重くなっていく。自分の想いは実らないのではないか。その思いを実らせるために,また姉妹や風太郎を傷つけてしまうのではないか。
三玖にはお道化て言ってみたものの,その言葉の裏にあるのはそんな思いである。三玖もそれが分かっているからこそ,「自分では止められない」と確信してしまっているわけだから。
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上杉風太郎,ビジネスを持ち掛ける
さて一方の風太郎です。
マルオからの通告を受け,一花の判断を知ることとなった風太郎。その心中やいかに...
そんな電話を受けてすぐに行動する風太郎。変わったよね,この人。5つ子と出会った頃の風太郎なら絶対に行わない所業である。バイト口が一つ減ったな...また探さないと...とか言いながら勉強を続けていただろうに。
なのに風太郎は汗だくになりながらマンションを訪れるわけだ。一花を「説得」するために。そして一花の不在を知り,取って代わって学校まで駆けつける。本当,お前変わったよね...。それはそれだけ5つ子にかけた時間と積み重ねが生み出した「愛着」でもあるし,「愛情」でもある。それが恋を意味する愛かどうかは別にしても...
そんな風太郎の「説得」は失敗。ま,そりゃ失敗するだろうな。
風太郎は自分の「価値」を知っている。好意を寄せられているというポジションであることが明白である以上,「自分とマンツーマンで勉強」という対価付きの条件を含めて一花が在学しながら卒業する道を図れば「乗らざるを得ない」。
そんな思惑が感情の奥底になかったと言えないか。
むろん一義的にはここまで来た以上一花も卒業させてあげたいという想いもあろう。いつも姉妹がともにあることを願っている二乃たちの気持ちも汲んでいたであろう。もちろん,彼がとってつけたような「お給金の必要性」もある意味真実だったのあろう。
そんな一花姐さんにとっても「おいしい条件」を持ちかけながらも妥結できなかったのは,ひとえに読み違えがあったからに相違あるまい。
一花の目的は仕事に集中するに非ず。ただ上杉風太郎から離れようとする意志である。もし風太郎が素直に今の気持ち...5人の姉妹達と一緒にいると「楽しい」ということ,一花にも共にいてほしいということを伝えていればまた別の結果になったのかもしれないね...。
結果,交渉は破綻。どっちが振られているのか分からないのである。
これが「押してもダメなら引いてみな」な作戦だったとしたら,さすがに「女優じゃのぉ...」と唸るしかないわけですが,これはむしろナチュラルでその状態になっている感じかな。意図しない偶然の状況の成立。
一花さんはそこまで考えていないで,本当に距離をとろうとしただけなんだけれど,そうしたら風太郎が追いかける形になっちゃった...みたいな。
おや一花。普通それは勝ちヒロインの文脈ですよ?
ほぼ死に体と思っていた一花さんにもワンチャンあるのかもしれない。そうちょっとでも思わせたら,ねぎ先生の「勝ち」なんだよなあ...。くっそぉ,上手すぎる。
中野姉妹,それぞれの立場で一花を見る
さてその姉妹達のレスポンスですが,姉妹間でそれなりの「分散」がありましたね。(本質では分散していないのかもしれませんが)。まあサブタイトルが「分枝の時」ですからね。
まず二乃ですが,変わらずの「五人がいつもともにある」ことを願うスタンスには変わらず。「聞こえない」というレスポンスが相手の意思を全否定していてらしいですね。と同時に,自分では一花を止められないことも分かっているからこその涙目なんだよなあ...。本当,いい子じゃん。
それに対して五月。
学校では共にいられなくても,家では共にいられる。そこに「五人がいつもともにある」状態を見出して納得させ,一花の選択を祝福する母の役を演じているわけですね。それが姉妹には明瞭に分かってしまうからこそ,
「それは本当にあんた自身の言葉かしら」
というツッコミが入るわけで。
いまだ掘り下げの来ない「五月が母を演じ続けていること」に対する伏線が一応出された感じ。
それに対する四葉の反応は「一花の選択の支持」。ま,らしっちゃらしいね。
四葉の願いは姉妹が幸せになることである。それが一花の望みであるならば,それは応援してあげる。かつて自らが課した枷そのままに,姉妹の事だけを考える四葉がそこにありますね。
一方で一花の本当の気持ちも察しているところが四葉である。
一花が学校を離れようとする理由,それが風太郎にあることを見抜いているからこその「一花をお願いします」なんだよなあ...。一花の意思を変えられるとしたら風太郎しかいない。そんな分かっている感が良いし,あくまで姉妹の幸せを考える四葉なんだなあと思います。
上杉風太郎,バイトを探す
さて,一花を止めたいという気持ちに偽りはなかったのでしょうが,直近の問題として現実的に困った問題がある。5人分の給金が4人分となってしまった場合,これまで成立させてきた家計の維持が難しくなるという問題です。
ビジネス,といったのは建前でもあり本音でもあったわけですけれど,実際に一花に振られてしまった今となっては収入増の道を探らねばならない。ケーキ屋ケンちゃんも骨折でお休みですし。おすし。
っとそこで三玖さん閃いた!
んん!?
三玖さん?みくさぁん? ちょっと気になるんだけれど,なんで顔が赤いのかな。なんでそんなに目力が入っているのかな。
ハァハァ...三玖...お前,まさかを風太郎に...?
疾きこと風の如く
徐かなること林の如く
侵し掠めること火の如く
動かざること山の如し
そういうこと? そういうことなのかな?
そうだとしたら中々機を見るに敏というやつである。何と言っても「恋は戦争」だからね。ゴールが一角でも見えたら決めることができるタイガーショットのように,一点集中突破は戦国マニアとして逃すことができない機会である。
これを「あざとい」とみるか。あるいは「抜かりない」とみるべきか。中野三玖さんのご提案とやらも興味深いところである。
そして一花はこう告げた
「これでいいよね」というその姿勢には,自らの気持ちに反して風太郎と距離を取ろうとする一花の姿がある。 まるでどこかで見た世界。
そんな一花,珍しく四葉とともに在る。
四葉が落ち込んだときに乗るという,あのブランコに乗って語りかける。
四葉は覚えているだろうかーーー
フータロー君のことを
ふむ。
一花さんの意図は分かるだけれどさあ...目が怖いよ?(笑)
なるほど。
一花さんは自ら諦めつつ(?),今度は「降りている」四葉に対して働きかけをするのか。あの日,自分が奪ってしまった「京都で出会った女の子」の立場。その想い出は既に風太郎に否定されている。一方で「本当の京都で出会った女の子」である四葉は,自らが成した結果を背負い込んでその立場から降りてしまっている。
もし一花が本当に風太郎を諦めているのだとしたら,このタイミングで四葉にその話を振る意味は明瞭である。あの日,「奪ってしまった役割を返すこと」。あの思い出の「写真」を返すこと。
そして姉妹のことを考えて自分を殺してきた四葉に対し,今度は一花が「そうじゃないよ。四葉は四葉自身の幸せを追求していいんだよ」と示唆してあげようとしているように見える。
ふむ。
伸びた若芽が枝となり,それぞれの道を固めて成長していくように。中野一花はもはや不退転の決意であるということなのだろうか。まだ道が固まっていない,成長を止めてしまった四葉を促すのか。その目が光る。
一端保留となったかに見えた四葉編が再び動き出すのか。めっさ気になるのである。まる。
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*画像は週刊少年マガジン2019年第32号『五等分の花嫁』 93話,同57話 より引用しました。
画像引用は中止しました。