さてと。五等分の花嫁 96話 の感想(ごと嫁 感想)です。
サブタイトルは「進み続ける日常」。
分枝の時シリーズはいったん休止ということになりますかね。夏休みが明けて進むべき進路が決まっていく中,中野家の姉妹達一人ひとりの進路が決まっていく決定的瞬間につけられるのが「分枝の時」というサブタイトルなのかもしれないな。
とりあえず現状分かっているのは,
一花:女優
二乃:進学
三玖:専門学校(菓子)
四葉:?
五月:進学(教員)
ということ。二乃の進学の方向性がまだ分かりませんが,お店を開きたいという希望があることからそれにかかわることなのでしょうね。
さてその「日常」とやらは9月開けての文化祭の模様。受験もありますが,高校3年生の最後の大型イベントが描かれるようです。
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中野四葉,変化が訪れる
さて3年生は屋台という習わしもあり,学級長を中心の仕切りで進みます。普通こういうのは1学期中に進めておいて,8月にはおおよその段取りを決めておくものでしょうけれど,まあ...漫画世界なので。
その学級長と言えば,四葉と風太郎。ここにきて学級長設定が効いてきますね。
かつて京都で風太郎と同じ目標を抱いたにもかかわらず挫折し,姉妹に迷惑をかけた自責の念から自分のためではなく他の姉妹の為に生きることを選んだ四葉。その恋心は未だ生きているのは明白なのに,ずっとその気持ちを封じ込めてきたわけです。
本来学級長のカップルと言えば,一緒に過ごす時間も多いですし,好きな相手と時間と場所を共有するにはうってつけのポジションです。にもかかわらず,そんな立場をクラスメートに揶揄された時も「ありえない」と一刀両断にしたくらい自分の気持ちを否定してきました。でも...なのに...。
ふと風太郎の横顔を見つめた瞬間,一花の言葉が思い出される。姉妹に迷惑をかけないように,風太郎にも迷惑をかけないようにその場を離れるけれども収まらない動悸が全てを物語っていますね。
「自分のやりたいようにやってほしい」と言われたことによって,これまで四葉を抑え込んできた「姉妹の為に生きる」という枷が外れかかっている。絶対対象外の存在として視野にいれないように自分に言い聞かせてきた上杉風太郎を「恋する相手」として認識しかかっているじゃないですか!
その変化の理由にいまだ自覚無し。
まさかの一花姐さんの「毒饅頭」が効いているとは...。でも必ずしも一花の言葉だけでそうなったのではないのでしょう。
かつて上杉風太郎とともに「頑張ってそれぞれの家族を幸せにする」という目標。その目標を達成するために努力して,挫折して...そして再び巡り合って時間と場所を共有する。それはもともと四葉が風太郎とともに立ちたかった場所である。元々持っていた同じ目標を持つ仲間に対する憧れと,恋心は抑え込んでいても消えることなんてない。
そんな四葉の想いが一花のさりげない,でも重要な一言によって表に出てきてしまったんだね。きっと。
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四葉委員長,奮闘する
それが証拠に風太郎にこう一言言われただけで目の輝きが違うのである。
風太郎に「頼りにされる」こと。四葉が長らく呪縛されていた,「必要とされる自分」である。それが恋する風太郎に言われたとなれば,四葉としては張り切るしかない。これが四葉の「枷」を外すキーワードだったのかな。
二人で情報を収集しつつ,クラスの意見も聞く。屋台の案を取りまとめ,クラスメートが出演するほかの催しの仕切りを手伝い,外部招待状を作成準備し...。四葉委員長,俄然張り切るのである。
それはかつて目標に向かって猪突猛進に動いていた四葉を彷彿させるものがある。違うのは風太郎と一緒にそれをやるということである。
「最後の学校行事だ 無駄になんかしないぞ やるからには徹底的に楽しむと決めた!」という風太郎の言葉と,「最後のイベントですものね 一ミリも悔いの残らない学園祭にしましょう」という四葉の言葉は対となっている。
「楽しむ」「悔いの残らない」ってのは意味深ですね。自分の行いに「悔い」が残ってしまった四葉だからこそ...。
そしてなにより温泉旅行からこっち,どことなく軋轢があったり,色々ありましたから。それを考えると文化祭ぐらいは無事成功裏に終わってほしいと思う。
で,この最終ページですよ。
作り笑いのような笑みが張り付いたまま固まっている四葉と向かい合う女子生徒。汗足らりな二乃・三玖。死んだような眼の五月。
ははーん。
こいつは一花の懸念がそのまんま露呈した感じですかね。
四葉と風太郎は「クラスの学級長」であるからして,クラス全員のことを考えなければいけない。ことが風太郎と中野家の5姉妹だけであれば,なにがあろうと風太郎が家庭教師としてケツ持ちをする。風太郎に教わることを厭わない姉妹達はそれについていける。
でも他の生徒たちは?
文化祭を楽しむと決めている生徒はまあいい。でも進路第一に考えている生徒も多分いるわけで。「大学入試があまり大丈夫じゃない」生徒からみると,あんまり文化祭にリソースを割きたくない。そんな相談があった感じですかね。
真相は次週あきらかになるとして,もしそうだったらこれまでの四葉だったら「自分でなんとかフォロー」で乗り切ろうとしちゃうんでしょうけれど,文化祭の屋台はそんな簡単なことじゃないからね。シフト組んだり,商材仕入れてきたり,現金管理したり...。マネジメントだけでも大ごとである。
なのでそこは四葉だけで乗り切ろうとするのではなく,風太郎や姉妹,クラスメートを巻き込んだ解決方法を探っていくことになるのでしょうなあ。などと妄想してみたり。
中野五月,夢の実現難しさを知る
その五月です。
もはや全国一位に迫る勢いの上杉風太郎はここにきて進路判定Aという盤石ぶりでありますが,片や高3になってから教師を目指すことにした五月はというと「D判定」だったのであった。そりゃ能面のような顔にもなるわ。
やっとみつかった「やりたいこと」。母の面影を追いながらもやりたいことに向かって努力する決意はしたものの,実力が伴わないという現実がそこにあった。おかげで食べ物のことも頭に入ってこないくらいである。これは一大事である。
なるほど。
どうやってここから五月が風太郎に惚れていくのかよくわからなかったのですが,ここから風太郎が五月を猛サポートしていく流れか...。その過程においては,なぜ教師になりたいのかという理由付け,母との思い出など,五月に盛られた伏線を回収していく。そんな展開なんですかねえ。
片や四葉も風太郎を意識し始め,五月もまた風太郎に感謝と憧れの念を抱くようになる。その先にあるのはそれぞれの夢の実現と,ただ一人の「花嫁」の存在である。文脈的に見ると花嫁は「〇〇」と思われますが,さてどうなるでしょうか。
今後の物語展開から目が離せないのである。まる。
余談
招待状について二乃が何かを思い浮かべていますね。
ここで二乃が外部の人間に送りたい相手とすれば,一人は「マルオ」,一人は「おじいちゃん」かな。常に家族を追い求める二乃だけに...。
いまはそれどころじゃない五月も「下田さん」は招待しても良さそうな気がしますけれどね。ただ,現状五月が抱える問題を考えると文化祭に専念する気力もあるのかどうかといった五月が自発的に下田さんを誘えるかな...て気もしますが。きっと周囲の助言とかを経て実現するのかもしれませんね。
そんなことが気になった第96話でした。再度まる。
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*画像は週刊少年マガジン2019年第35号『五等分の花嫁』 96話 より引用しました。
画像引用は中止しました。