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『ぼくたちは勉強ができない』77話 感想 ( 問.77 時によどみのうたかたは かつ消え かつ結びて [x] にとどまる )

さてと。週刊少年ジャンプ 2018年第40号』ぼくたちは勉強ができない」 問77. 時によどみのうたかたは かつ消え かつ結びて [x] にとどまる (ぼく勉 第77話)の感想です。

 

問.77 時によどみのうたかたは かつ消え かつ結びて [x] にとどまる 感想

前回予告,正解はうるかオープンキャンパスでした。なるほど...誕生プレゼントは次回じゃったか...。

  

 

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武元うるかはお可愛い

 

しかしまあ,今回の武元うるか嬢ときたらどうよ?

端的に言って,超絶お可愛かった。

 

 

 

武元うるかはお可愛い

前回,オーストラリアの大学への海外留学を決意したうるかさん。

 

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唯我成幸に対する余計な負担をかけないためか。あるいは別離を考えて恋心を封じようとしているのか。海外留学のことを成幸に秘めたままにしたわけですけれど,当の成幸先生はそんなことお構いなしにうるかをオープンキャンパスに誘うのであった。

 

 

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オープンキャンパスは受験の基本

 

目指す大学がどんなところでどんな学びができるのか,それを知ることができるのがオープンキャンパスです。やはりひたすら勉強するよりも,具体的な目標がはっきりと見えたほうがゴールに向かって進む気力がわいてくるってもんですからね。

 

幾分に遅すぎた感がありますが,志望大学のオープンキャンパスに行くというのは自然な流れになります。唯我先生がうるかさんに声掛けしたのも当然至極である。

 

 

成幸先生のやっていることは実に受験の姿勢として正しい。もし志望校が音羽体育大学だったらな!

 

ええ...。

武元さんはこれまでの志望校から豪大に志望校を変えていたのであった...。先生の知らない間に目指すゴールが変わっていた。いまさら音羽体育大学を見学する意味はあまりないのである。

  

ましてや武元さんときたら,何を思ってか暗に唯我成幸に対する恋心を封じるように動き始めたのであった。

 

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告白はしない

 

ふむ。

うるかは言う。「唯我成幸に告白はしない」と。

 

留学が決まる=別離を意味するものであり,そうなるくらいなら最初から恋心を伝えない...。海っちの言うように,伝えられない恋心ならこれ以上成幸を好きにならないように,距離が近づかないようにと考えたってのは当然にありそうな話ですよね。

 

なんじゃそれ。乙女としてお可愛すぎるではないか。

 

 恋する乙女が自らの気持ちを封じるように動く。数多のラブコメで見られてきた光景でありますけれど,その健気さときたらどうよ。中学時代からの長きにわたり片恋を続けてきた一途な純情乙女の面目躍如である。

 

オープンキャンパスに誘われれば(行かない理由が説明できないので)消極的に了承したり。勉強を教えようとされれば思わず避けてしまったり。

 

 

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一周回ってお可愛い


いつもだったらオシャな格好してデート気分でオープンキャンパス! なはずの武元さんも,まさかの水泳ジャージである。とことん恋心を秘めるモードに入った武元さんが,逆に健気でお可愛いのである。

その後も学食で好物の梨を勧められても断ったり,帰りの満員電車で成幸と密着しても意識しないように自らの足をつねり続けたり...。こんなんお可愛すぎるだろう常考

 

『秘めた恋と導火線』 

まあそんなこと言っても,こんなのいつまでも続くはずはないですけれど。

 

師匠の教えに従った成幸にジャージ姿を褒められれば深い喜びに打ち浸り。学食で好物の梨を勧められたのを断れば,逆にいちゃこらカップル認定されて照れてしまったり。

 

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単なるカップ

 

意識すればするほど,深く自分に返ってくるのである。

 

当然のことながら,9月のこの段階で「成幸絶ち」をはじめたところでそんなの最後まで続くはずもないのである。意識して距離をとればとるほど,自分の恋心を深く認識させられていく。

当面はこんな「秘め恋」モードが続くのでしょうけれど,最終的に積もり積もった恋心が爆発するというのは容易に想像できることです。まさに物語の冗長性というやつである。

 

 

そもそも,すでにそこら中に綻びがありますし。おすし。

 

志望校の変更=ゴールが変わったことを先生に伝えなければ,成幸はうるかに適切な指導ができません。遠からず,勉強面においても破綻がくる。そしてうるか自身の恋心の抑制が,溜めに溜まってバルカンの火薬庫みたいになってくる。

 

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違和感



加えて,当の唯我成幸自身の違和感も蓄積されていく。

 

すでに感じている,武元さんの変化。そして自らの武元さんに対する,女性として,恋愛対象としての意識の深化が描かれているわけで。逆にうるかが秘めれば秘めるほど,成幸はうるかの違和感を意識していくのは自然のように感じます。

 それが積もり積もったその時に,うるかと成幸の双方の感情が爆発して離散するのか。あるいは融合するのか。今後の展開がますます楽しみになってきたのでした。

まる。

 

 

 

 

続・武元うるかの恋に関する考察 

 

それにしても今回のサブタイトル,前回タイトルと合わせて意味があったのね。

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意味深なタイトル



 

元の文章は「行く川のながれは絶えずしてしかも本の水にあらず。」「淀みに浮かぶの泡沫はかつ消え結びて」,すなわち『方丈記』冒頭文が前回,二番目の文が今回のサブタイトルでつながっていたわけだ。 

文意は,"川の流れはどんどん流れていき同じところにとどまることはない。川に浮かぶは消えたり表れたりしてたりして..."というところから,「世の中に永久不滅なものなどない」という無常観を表していると言われています。

 

転じて,武元うるかと唯我成幸の関係もまた,いつまでも同じではなく刻一刻と流れて変化していく。近づくにせよ,遠ざかるにせよ。そんな暗喩であるように感じますね。

 

 

さて,前回の記事考察でも書いたように,人魚姫の二つ名をもつ武元うるかさんは多分に人魚姫の物語を背景にして人物描写されています。

 

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前回の考察を簡単にまとめると,

  • 人魚姫の暗喩であるならば武元うるかの恋は伝えることができず,泡となって海に帰る。
  • 一方で,この「ぼくたちは勉強ができない」という物語は唯我成幸とのかかわりからできない娘の夢を実現していくという物語でもある。したがって,うるかの夢である「成幸との恋を成就する」は実現する可能性もある。

  ということになります。

  

今回のサブタイトルにも「うたかた=泡」という表現を用いていますが,うるかの恋は果たして泡となって消えるのか,泡が新たに生じて結ばれるのか。どちらも在り得るという表現になっているのが分かりますね。

 

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意識せざるを得ない

 

さて今回,うるかは改めて「告白しない」という意思を示しました。一方で成幸は二人が大学生になってカップルになる妄想をしてみたり...とヒロインたちの中で唯一うるかを恋の対象として見ていることが再強調されています。

 

 

これね。そのまんま人魚姫の童話どおりなんだよね。

 

なぜうるかは成幸から距離を取ろうとするのか,成幸にうるかの好きな人は自分かと問われて否定してしまったのか,不思議じゃなかったですか。それはきっと武元うるかの恋が,人魚姫の童話を下敷きにして描かれているからなんだと思いましたね。

 

  • 人魚姫は人間の足を手に入れる代償として声を失う。結果として真実を告げることができなくなる。
    =武元うるかは王子の暗喩である唯我成幸に「恋心」を伝えることができない。
 
  • 王子は人魚姫に恋するも,自分を助けてくれた人物を誤解して別の姫と結ばれる。
    =成幸はうるかを恋愛的にみていくようになるけれど,うるかには他に好きな人がいると思っている。

  

という風に,人魚姫の物語に対応した表現になっているわけです。

 

 

だからといって,うるかの恋が実らないということではないと私は思います。

 

繰り返しになりますが,これは人魚姫の物語じゃなくて,ぼくたちは勉強ができない」というお話です。人物の設定背景を物語描写に反映させることはあっても,そのまんまの物語を描くわけではない。童話をそのままなぞるわけではないからです。

 

同じ人魚姫でも泡となって消える原作の悲恋もあれば,王子と結ばれるディ〇ニーのハッピーエンドもある。そこのところの匙加減は結局,作者様の胸先三寸ですし。おすし。「ぼく勉」の夢を実現するという軸から考えれば,うるかの恋が実る可能性も高いですし。

 

 

そしてその他のヒロインとの関係もある。

 

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それぞれに物語がある


ここでは皆まで言いませんが,彼女たちの物語との相互作用もあるわけで,単純に現代版人魚姫をやっているわけではないからです。

 

結局,どのヒロインと結ばれてもいいように物語は作られているわけなので,一読者としてはその過程がどのように描かれていくのか,純粋な気持ちで読み続けていけばいいのだろうと思います。再度まる。

 

 *画像は『週刊少年ジャンプ』2018年第40号 ぼくたちは勉強ができない 問77.及び問1より引用しました。

  

 

ぼくたちは勉強ができない 8 (ジャンプコミックス)

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