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「かぐや様は告らせたい」の感想を書いている漫画感想ブログ

『かぐや様は告らせたい』 第137話 私達の仮面(白銀編①) 感想

さてと。かぐや様 137話 の感想(かぐ活)です。

 

令和最初の「週刊ヤングジャンプですね。休載&10連休ということで実質2連続隔週となった「かぐや様は告らせたい」。深刻なかぐや不足に頭がくらくらしてきた読者諸兄におかれましては久しぶりのかぐや様の慈雨に息を吹き返したのではないでしょうか。

 

さて本編に先立ち,最近「かぐや様を語りたい」が面白いですね。キレを感じます。前回コメントをいただいたとおり,夏休みで会えないシチュエーション,深刻なかぐや様不足に喘ぐエリカとかれんが読者に被ります。

  

 

 そんな中,かぐや様フォロワー第1号にならんとするエリカとそれを制止するかれんのやりとりのキレが本当に良い。コクがあるのにキレがある。のど越しさわやかなスーパードライっぷりに思わず笑みがこぼれました。G3井田先生,ありがとう。

 

 

 


 


 

田沼正造は語りたい

さて。

前回,かぐや様によって衝撃の紹介をされた世界の名医十選こと田沼正造先生。

 

 

四宮的基準によると「ヤブ」だそうですが,なかなかにどうしてよ。一たび読者として客観的視点に移してみれば,なかなかの名医ぷりである。最新医療機器による漏れ一つなき検査。圧倒的診断力。その叡智の前に病の原因を見過すことなどないのである。

 

 まさに現代医学の粋を極めし「ラブ探偵」と言えよう(違)

 

 

あ,はい。

読者が第1話から知っている事実を見事追認してくれました。完全にデジャヴです。予定調和です。来ると思っていた展開が来てくれる。こう,痒い所に手が届くのような物語づくりですよね。あと何気に後ろの看護師さんの能面みたいな顔がじわじわ来る

 

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ちょいと意外だったのが,割と白銀が素直に状況を語っている部分ですね。この辺り,四宮さんと白銀,似ているようで違う。

 

絶対に「好き」という事実を認めようとしなかった四宮さんは第三者に対してもその意地を張り続けたのに,御行は普通に認めた上で話をしているんだね。まあ,ウルトラロマンティックな告白の後ということもありますが。

 

似ているようで違う,という意味では「恋の病」という診断を受け入れているところも違うかな。自覚症状あり...という点においても四宮さんと違うんだよね。この辺り,あとのお話とつながっているんだけれど,結局のところ会長のそれは作られた仮面であって,先天的なソレに加えて教育で強化された四宮さんとは違うんだよなあ...。

 

というわけで,世界名医十選の診断により,状況は医療ではなく人生相談に移行していくのであった...。まあ病は気からって言うしな(ちょっと違う)。

 

 

しかしポイントはついている。

「努力の努力」によって作られし社会的仮面ペルソナは,所詮努力して維持しなければかぶり続けることができないものである。「心の問題」「精神的な負担」が原因というそれは,白銀御行の問題の根源をついているわけであります。

 

白銀御行は語りたい

で,こんなん出ましたけれど~。

 

 ひっ...!

 

うっわ。闇深。

なるほど...。白銀はかぐやと対等であるために努力の努力を続けてきたのは既知のとおりですけれど,それは幼少期からの筋金入りのソレだったのね。ていうか,え,なにこれ...。御行もさることながら,原因となった白銀母,割と闇深くね...?

 

家族を捨てて出て行ったあたりから,割と自分で何でもやってしまうタイプでいつか自分で財を成して戻ってくるようなエピソード来るのかなと思っていたのですが。これ,普通に本気で白銀父を見限って出て行ったポイぞ(ガクガクブルブル)。

 

 

そこから窺えるのは貪欲な上昇志向ですかね。お受験に成功=ベネ,失敗=ダメというわっかり易い行動基準はなんだろう...。

 

まあお受験する家庭はいろんな思いがあって子どもにそういうことをやらせるんですけれど,一般的には「その子が将来苦労しないように」とかそういう判断でやらせるものだと思っています。大学受験より幼少期の受験の方がその後の人生楽でしょ,的な意味での思い遣りですが。

 

しかし御行に言わせると「受験に失敗してから母の興味が自分から離れていった」という。え,それって,その子のためとかいうよりは「〇〇大の付属に受かっちゃった息子を持つ母」という自分の立ち位置のためにやっているように聞こえちゃうんだけれど。

 

 

ていうか,なんか凄いこと言っているんですけれど。

 

「受験に成功した妹」ってどういうことかな。確かに圭ちゃんは秀知院の中等部に入っていますし,普通に考えると圭ちゃんですけれど。でも圭ちゃんはいま白銀と一緒に住んでいますよね。母親と一緒にいない。

 

これは白銀家にもう一人「成功した妹」がいるという意味なのか,「成功した妹=圭ちゃん」なんだけれど,圭ちゃんは白銀父と御行の下に「帰ってきた」という意味なのか。どっちなんだろうなー...。個人的には後者のような気がしますけれど,その後の

 

「いつか母さんが迎えに来てくれると信じて 勉強だけは頑張って....」

 

が何とも言えないな。

圭ちゃん=「成功した妹」であり,かつ母から離れてきたのであれば,圭ちゃん的にも母親と一緒にいるよりも父・兄といる方がという判断があったということなんでしょうし。白銀家の謎がまた一つ深まった感じ。

 

まあ仮に上記のような状況だったとして,なお白銀が母を追い求めるのはやはり母に愛されたいという承認欲求なんだろうなあ。なまじ愛されなかったと思っていればなおさらそれを切望して当然でしょうし。

 

なにより「努力の努力」が実を結ばなかったことに対して自責の念があるのであれば,出て行った母ではなく自分を責めそうなのが白銀御行である。

 

むむむむ。

四宮家みたいな闇深一族はともかく,白銀家にもこういう問題があるとはねえ。今回の物語構造,基本かぐやと御行は似たような問題を抱えていて,似たような動機から社会的仮面ペルソナを作り上げている対比構造になっているんだけれど,その対比は「対照的」になっているんだよね。

 

  • 愛されたい対象としての父親と母親。
  • 仮面を作った理由。
  • それぞれが惚れたポイント。

 

二人は似ているようでちょっとずつ違う。

それはそのはず,二人は最初から全く違う生い立ち・違う世界観・違うプロセスを経てここまで来ているからなんだね。似たような仮面を作りながら対照的な二人。だからこそお互いに惹かれるのかもしれませんが。

 

白銀御行は受け入れられたい

そんな受け入れてもらえなかった母と,恋する相手である四宮かぐや。全く違う立場にもかかわらず,白銀の中で抱える問題は同じ

 

仮面をかぶれば四宮かぐやとも対等にふるまえる。仮面をかぶれば四宮かぐやに好いてもらえる。白銀御行が努力の努力を積み重ねて作り上げてきた「虚像」があれば,あの天界の姫のような四宮かぐやから「キス」をしてもらえる。

 

 

でもそれは「素の自分じゃない」

 

 

努力の努力で作り上げた仮面を被らなかったら好かれない。愛されない。それを「母」という肉親から身をもって体験しているだけに,四宮かぐやに対してもそう思ってしまうのはやむを得ないのかもしれないなあ。まさに悲劇である。

 

事実,素のままで四宮さんに接していったときは「軽く無視」で終わってますからね。もちろん,当時の四宮さんは全てを拒否って近づけようとしていなかったので,実は...みたいなこともあったかもしれませんが,「最初に出会ったのは夏」という言葉からも実際個体認識されてなかったぽい。うーん,この...会長の気持ちが分かりみ過ぎて辛い

 

なるほどなあ...。

御行が語れば語るほど,伝わってくる絶望感がなんとも言えないのである。四宮さんに好かれ続けるためには努力をし続けなければならない。認めてもらうためにつけ始めた仮面はいつしか外すことができなくなっていた。未来永劫に魔法をかけ続けなければいけないシンデレラ。

 



そんな風に虚像を演じることは,いつしか絶望に代わっていたわけだ。それは虚像を演じ続ける事についでではない。虚像を写すことをやめた瞬間,受け入れてもらえない自分という素の姿に絶望しているんだね。

 

かぐや(氷)が素の自分は決して愛されないと思っているように。白銀御行が素の自分は決して愛されないと思っているように。二人が作り上げた社会的仮面ペルソナは「優しい仮面」と「虚勢を張る仮面」と全く異なるけれど,動機は同じ。相手に愛されたい。

 

そしてその仮面を外した途端愛されないと信じているからこそ,二人とも

 

 

絶望しているんだね...

 

 うーわ,泣けるわこんなん。「今日は甘口で」の256倍は泣けるわ。(ちょ)

 

四宮かぐやは伝えたい

からーの,まさかの怖い目つきの看護師さんが乱入。くっそ,面白すぎる!

 

 

「男子の弱さをさらけ出す瞬間は結構そそる」

 

てのはあると思います。実際のところ,かぐや(氷)もその気になっていますし。おすし。

 

まあそうなんだよなあ。

ぶっちゃけこれまでの白銀御行をみていれば本質は女々しくて,ちっぽけで弱っちいただの人間であることはアリアリと分かっているのである。藤原母しかり。柏木邪神しかり。いろんな人間の前でさらけ出している白銀御行の弱さ,それこそが「素の白銀御行」である。

 

四宮かぐやは白銀御行が好き。「努力の努力」をしている御行が好き。その象徴である寝不足気味の吊り上がった目は,彼女が好きな努力の努力をしている男の証拠品である。


 そんな白銀御行がポッキリ折れたとき,頑張っている人間がふとか弱い側面を見せたとき,思わずグッとくるそれ。守ってあげたい,癒してあげたいという気持ち。そんな気持ちがわかる四宮かぐや(氷)って,やっぱり優しさを持つ人間じゃん...と思いますね。

 

となると焦点はそんな弱さをみせた「素の白銀御行」に対して,四宮かぐやが「承認」してあげられるかどうかということなんだと思うのですよね。白銀御行が欲しいのは素の自分を認めてくれる愛する人である。そしてそれは逆もまた然りである。

 

ここまで長々と社会的仮面ペルソナを繰り広げてきたわけですが,最後の最後はお互いに素の自分を認めない限り二人の愛の渇望は潤せない。四宮かぐや(氷)がまず歩み寄れるのか。それに対して白銀御行もまた応えられるのか。一つ焦点になりそうですね。

 

ただまあ,今回の構成は10話(1巻分)くらいの構成らしいので,ここでまだ6話目なんですよね。この後双方の仮面話がちょろっと続いて,最後は会長からのキッスで結ばれる感じなのかなあ...。先はまだ長そうである。

 

 

つまり何が言いたいのかというと,ちょっと頬を染めるかぐや(氷)さんがお可愛かったということであった。というわけで,まる。

 

余談

しかしアレですからね。誤解のないように述べておけば,女は確かに普段頑張っている人がふと見せるか弱い面にグッとくるし,庇護心もわくと思いますけれど,「それが常態」になったら愛想つかしますからね。勘違いしてはいけない。

 

そういう意味では白銀母も白銀父の「そういう側面」に愛想つかして出て行ったのかもしれんしなあ...。上昇志向の強そうな女性であればある程,見限った時の拒絶は苛烈なものになりそうである。

 

 

さて,看護師さんの突然の乱入とかぐや(氷)へのターン切り替えで有耶無耶になってしまいましたが,何気に名医・田沼正造先生の言おうとしていたことは重要だったと思うのである。

 

 

だったらその虚勢が真実になるまで貫き通してみればよいと思...

 

一見,難しいこと,理想論を述べているような気がしますが真実をついている部分もある。だってそうじゃないですか。白銀御行が虚勢で演じてきた仮面が成し遂げてきたこと。

 

白銀御行が成し得たこと

  • 連続5回学年1位を取り,四宮かぐやを上回ったこと。
  • 偏差値77の秀知院学園のトップである生徒会長に2期連続務めていること。
  • 秀知院特別推薦状を取得したことにより,スタンフォード大学に進学が決定していること。
  • 四宮かぐやに社会的仮面ペルソナを被らせるほど「好かれた」こと。

 

これ全部,白銀御行が成し遂げたことじゃん。

 

やったのは仮面かもしれないけれど,実現したのは白銀御行本人じゃん。プロセスは虚像に委ねたとしても,結果を出したのは「お前」だろ。結果は裏切ることなくその人の実となり肉となる。白銀御行が虚像を通してやり遂げたことは紛れもない「真実」なのである。
 


そう認識できるようになれば,白銀御行もまた素の自分に自信をもてるようになるに違いない。虚像で始めたことが真になり,ゆるぎない物に変わっていく。そうすることで白銀御行の大きな仮面は「本当の顔」として一体化するに違いない。
 
同じことはかぐやにも言える。四宮かぐやが後天的に形成した「優しさ」は,紛う方なき真実である。それを白銀御行が承認したとき,四宮かぐやの大きな仮面もまた「本当の顔」として一体化できるのであろう。

 

 

次。

ひっさびさに登場した旧生徒会の面々の中に,龍珠さんがいるじゃないですか。へぇぇ..。あの先代会長に口説かれて生徒会に入っていたのか...。某団体の娘さん。

 

れもさることながら,いま白銀御行を形成している「虚像」の白銀御行をつくりあげるキッカケになっていたとはね。これ,かなり重要人物である。まさに白銀御行のもう一人の母,龍珠母と呼んであげよう(こらこら殴りますよ~?)。

 

しかし変だな?

恩があるのは龍珠の方であって,白銀ではなかったような...? このエピソード的には白銀は龍珠さんに感謝してもしきれないものがあると思いますが(とりあえず対等の立場まで演じることは出来たわけだし),それとは別に彼女を救うエピソードがあったということですかね。

 

彼女の役職が「会計」ということからも,どうやら伝説の生徒総会と関係があるのかもしれない気がしますが....。そうなるとちょっと時系列が変になる。伝説の生徒総会は白銀体制になってからのはずなので,その時の会計は藤原書記になるはずなんだよな。

 


 あるいは,先代会長時の総会で龍珠が窮地に追いやられるようなことがあり,そこで白銀庶務が先代会長らともめることになっても龍珠を助けてあげたということなのかな...。で,その時に既に四宮さんが副会長として入っていたのであれば,一応間尺は合うんですかね...。少しおかしいけれど。時間がないのでこの論考は保留。

 

追記

コメントいただいたとおりなんですが,時系列は以下の通り(コミックス4巻より)

 

1年生1学期春 白銀御行,前会長により生徒会にスカウトされる
        白銀,かぐやに話しかけるも無視される

        白銀,龍珠に指摘され虚勢を張るようになる。

1年生5月    白銀中間試験で9位。
       *A(白銀4位)
1年生7月   「伝説の生徒総会」で大立ち回りをする
        *B(白銀4位)

        *C(勝負を挑む→中間試験1位)

1年生9月   生徒会長になる
        四宮かぐや副会長に任命(会計は龍珠のまま?)

1年生9~11月 氷かぐや時代

2年生3~4月   第1話冒頭

2年生4月   石上会計加入

2年生4~5月   第1話後半 

       *定期試験前にかぐやに勝負を挑む(頬のケガ)
        定期試験でかぐやを破り1位になる

 

頬のケガが「伝説の生徒総会」でつけられたものだとしたら,定期試験勝負はその後になります(時系列は*B)。ただ,伝説の生徒総会のことをかぐやは承知していたはずなので,そうなると今回の「その日から四宮は俺を個体認識するようになった」と矛盾するんだよね。

 

 

だとすると時系列*Aの方が正しいような気がしますが,そうなると頬のケガは生徒総会と別件ということになる。定期試験はたぶん7月冒頭あたりでしょうから,生徒総会直後に試験だったのか,生徒総会直前だったのか。このあたりも「1年生夏」で描かれるのかなと思ったり。

 

(追記)

試験の順位の変遷が9位→4位→1位なので,年5回の試験で換算すると白銀は勝ったのは1年2学期の中間試験になります。冬服であることとの整合性もつく。

 

一方で生徒総会は7月なので,その大立ち回りを覚えているはずのかぐやが白銀を「認識していない」のが変ですが,そういった出来事は覚えていたけれども生徒総会時は個体認識していなかった→試験に負けた後名前と人物が一致した,ならば説明が付きます。

 

もう1点,1年2学期の中間試験が勝負どころだったのだとするならば,中間試験は10月だと思われます。勝負を挑んたときに白銀はまだ会長になっていないし,9月の生徒会長戦では試験結果が出ていません。生徒会長戦か1年2学期中間試験,いずれかが通常とは異なる進行で実施されたものと思われます。

 

 

最後。

田沼家の闇もなかなか深いのである。軽い気持ちで遊びまわって17で子どもができる。代々繰り返されしその三代目らしき人物がこちらになります。

 

あ...(察し)

なるほど。やっぱり彼は田沼家の人間だったのね。ただ先生は父ではなく,おじいちゃんだったのか...。なるほど。院長は翼君の父であり,かつ正造先生の子どもだったのね。合点した!

 

 

って,なにやってんのー!

 

 

  

 

四条さん

ハァハァ...スイート? 取り消せよ,今の言葉!」

 

 

 

なんでこんないい人が酷い目に合うんだろう。この世に神も仏もないものか。毎日が絶望と言ったらこの人こそ絶望の神である。白銀御行とは別の意味での闇がここにあった。

 

そんな四条さんに赤犬さんが言いたいことがあるそうです。

 

「所詮,四条眞妃は時代の敗北者じゃけぇ...!」

 

 以上となります。再度まる。

 

 

 

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コミックス

 

  


*画像はヤングジャンプ2019年第23号『かぐや様は告らせたい』 137話 ,136話より引用しました。

画像引用は中止しました。