現実逃避

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「かぐや様は告らせたい」の感想を書いている漫画感想ブログ

『かぐや様は告らせたい』 第150話 かぐや様は 後編 感想 : なぜ人は告白するのか

さてと。かぐや様 150話 の感想(かぐ活)です。

 

明日9月6日(金)映画『かぐや様はらせたい』 が公開。かぐや様もここまで来たかと思うと感慨深いですね。

 

映画「かぐや様は告らせたい」PVより

  

僕が「かぐや様」を読み始めたのは少年ジャンプ+(外部サイト)が冒頭無料を読める機会がありまして,たまたまそれを読んだんですよね。

 

弊ブログは最早覚えている人も少ないですが,もともとジャンプ最長ラブコメの感想ブログでした。その連載も終わり,ちょこちょこと漫画感想を書きつつも定期的にのめりこんで読むという漫画がなく。

 

そんな時に出会った「かぐや様は告らせたい」衝撃的な面白さで一気に引き込まれたのを覚えています。

 

 少年誌のラブコメと言えば一対多のハーレム系が多かったように感じる当時,本作はその切り口・描き方のすべてが新鮮で,「なんじゃこりゃ,作者は天才かよ!」てなくらいに面白かった(今も面白いので現在完了形)。

 

二人の気持ちは最初から分かっていて,ほぼ出来上がる直前である。にもかかわらず繰り広げられる謎マウント合戦...! 「恋愛は先に好きになった方が負け」というある意味「分かる」設定をベースに繰り広げられるラブコメディは,読んでいて本当に楽しいとしか言いようがない読了感を読者に与えてくれます。

 

 

そんな「かぐや様は告らせたい」はどのようにして誕生したのか

 

今回,映画封切に合わせて主演の平野紫耀さん,橋本環奈さん,赤坂アカ先生のインタビューが載っていますが,そこに本作が生まれた経緯が出ているので引用させていただきます。(橋=橋本環奈さん,赤=赤坂アカ先生)

 

橋:赤坂先生はなんでこの漫画を描こうと思ったんですか?

赤:当時付き合っている人に,マウント取られてたんですよ。

一同:(笑)

赤:どうにかしたいな,と思い続けた結果,できあがった作品です。リアルの方はどうにお出来なかったですけど。

 

【出典】週刊ヤングジャンプ 2019年40号 より

 

インタビュー現場でも笑いがこぼれていますが,思わず僕も笑ってしまいました。なるほど...リアルベースに基づいたものだったのね。

 

創作物を作る際に無から創り出すことはなかなか難しいですが,それが実体験に即したものを作品構造に取り入れると「設定の説得力」というか骨格がしっかりするという好事例かしら。なるほどなー,と思ったり。

 

 

そんな映画「かぐや様はらせたい」,インタビューからも面白さが伝わってきます。僕も週末には見に行くので,また感想を書きたいなと思ったり。

 

 関連サイト(外部)

kaguyasama-movie.com

 

 

 

 

かぐやは"白"したい

さて本編感想です。

今回のサブタイトルは「かぐや様は 後編」である。前回に引き続き何をしたいのかは省略されたままのサブタイトルです。それがなんであるかは読者にとっては明白なことですが。

 

文脈でも分かるし,扉絵にも書いてある。

 

 

"告白"は世界を変える"禁断の果実"

 

という言葉からも,四宮かぐやが伝えたいのは自分の気持ちだとわかる。あなたが好きだということ。あなたと付き合いたいということ。言い換えれば「告白」というその行為をきちんと行いたいということですね。

 

そんな四宮かぐやの告白に対する想い。告白することの意味は何なのか。そんなことが白銀御行と四宮かぐや,周囲でうごめく人物を通じて描かれていく。告るとは,愛とは何なのか。これは赤坂先生流の回答なのかなと思ったり。

  

「人はなぜ告白するのか」 子安つばめの場合

「告白」とは何か。なぜそのような行動をするのか。そんな問いかけに対して四宮かぐや本人ではなく,恋に悩む人々を通じて描いてく。今回の代表は先日やらかした(?)子安つばめ先輩であります。

 

四宮かぐやの切実な焦燥感からページをめくると虚ろな目をして「告白」について語るつばめ先輩と,見てからに胡散臭い「占い」をやっている白銀パパの構図。これは吹く。

  

そのつばめ先輩。

つばめ先輩はクリスマスに石上に告られたはいいものの,かつての手痛い失恋から受け入れることができず...。自分の好意は"行為"で伝えようとしたものの,今度は逆にそれに「真実の愛」を見出せなかった石上には立ち去られる始末。

 

その結果,クリスマスも明けて学校も休みという状況の中,誰にも相談できずについに占い師にまで人生相談するようなところまで彼女の精神は混とんとしてしまったのか...。その相談内容はこちらになります。

 

 

なんで人は告るんですか?

なんでそやって形に拘ろうとするんですか?

縛ろうとするんですか...

 

ふむ。

これは「自分で答えが分かっている」けれども「受け入れられない」タイプの問答だよね。

 

 

少なくとも子安先輩は告白を「契約」的に捉えている。

告白することにより想いを明確にし,仮にそれが受け入れられたとする。それは「お付き合い(=恋人になる)」という枠組みに自分を落とし込み,それに拘束される。 そういう捉え方ですよね。

 

これはたぶん彼女自身が最初にお付き合いをしたときには「疑問を持たず」受け入れていた価値観なわけですよね。それが今は信じられないのは,「お付き合いすることになった(契約)→二股掛けられた(契約破棄)という悲惨な経験をしているからである。

 

 

"告白"という行為が「お互いに相手を好きであり,誠実にお付き合いすること」であるという契約であると双方が合意していれば,「二股をかけられる」ということは本来あり得ないことです。もしそんな簡単に告白によって成立した「契約」を反故にできるのであれば,告白という行為に何の意味があるのだろうか。そんな疑念をつばめ先輩は抱いている

 

それと同時に,つばめ先輩はそうした告白による愛の不変性(永遠の愛)が存在しないことを知りながら,今なお"告白を受け入れる"ということは自分自身が相手と「恋人として付き合う」という状態に拘束される(=契約)と考えている。そうでなければ石上に対する彼女の反応は説明できない。

 

 

クリスマスの夜,石上に告白された。

告白され,それを受け入れるならば,自分は石上優と恋人づきあいをするという状況に拘束される。なぜなら彼女にとって告白は「契約」だから。一方でつばめ先輩は「契約」は相手によって簡単に破られるリスクを知っている。

 

石上がそうするかどうかはともかく,その恐れはつきまとう。加えて,自分自身「体操」という目標があり,それを理由に石上優との恋人づきあいがきちんとできない恐れもある。

 

 

相手が裏切る恐れ。自分が裏切る恐れ。その両方があるからこそ,子安つばめ先輩は「告白によるお付き合い」という契約行為に二の轍を踏んでいたわけだ...。なるほどね。

  


 

 

 


「人はなぜ告白するのか」 白銀父の場合

そんな自分の想いをインチキ?占い師である白銀パパに滔々と語ってしまう。その結果,もっともらしいレスポンスを受けて,どんどん引き込まれていく子安つばめ先輩。占いあるあるだよね...。

 

相談相手に自由に語らせることによって,相手の問題点や言ってほしいことを把握。そうすることで「来訪の理由」「知りたいこと」を把握する。手を見るというのは手品の導入みたいなものであって,そこに意味はない。まるで詐欺師かよってレベルのテクニックである。さすがは本職はコンサルタントである(え)

 


 相手の問題点を把握すれば,身なり・持ち物・表情などを加味し,それっぽいことを言うのは容易い。想い悩み事を打ち明けさせたうえで,相手の買い物袋の山を見れば,ストレスから衝動買いをしたことは簡単に推測できる。つばめ先輩の「この人本物だ...!」で吹いちゃいますよね,こんなの。

 

  

しかしまあ,事が恋愛,告白ということで適当に話を合わせることもできた白銀父,なかなか面白いことを言うのである。

 

「永遠の愛」など存在しない。

 

相手(つばめ先輩)がそう思っているからこそ行ったトーク,というだけかもしれない。しかしその言葉はある意味真実である。「恋愛のピーク」は成就するところまで。情熱的に燃え上がるような気持ちで過ごせるのは告白に至るまでと成立直後である。確かにそういう側面がある。

 

告白直後の熱気が覚めれば,その先は徐々に気持ちは落ち着いていくものである。高まった感情が「静かで落ち着いた愛情」に変化していくこともあれば,高まった感情が失われることによって「相手の嫌な部分や負の側面が許せなくなる」こともある。

 

そんな風に相手に対する愛が失われていけば,最後に愛は消滅する。「永遠の愛」など存在しないというのはある意味当たっている。

 

だが...,と白銀父は続けて言う。

 

 

真実の愛はあるかもしれない

 

実はこの「真実の愛」というものが何なのか,今回作中では明確には語られていない。実際のところ白銀父は「あるかもわからない真実の愛」という言い方をし,そこに至る過程がもたらす効果について述べているに過ぎないのだから。

 

  • 真実の愛を求めて「好き」だの「告る」などしたり。
  • それを「契約」と捉えたり,「束縛ではない」と捉えたり。
  • 「恋人同士」になるための過程において「悩んだり」「駆け引き」してみたり。

 

そんな恋のプロセス,過程の結実するところが「告白」なのである。そういった告るという行為から得られる正負の感情,真逆の結果,いろんなものが生じるわけです。

 


 そういった好きという感情を相手に伝えたい気持ちをこねくり回して試行錯誤した過程がどれほどのものであったか,その人にとってどれだけのものであったか。その積み重ねが相手に対する好きという感情を固定化させる。それが「愛」と呼ばれるものなのかもしれない。

 

結局のところ「真実の愛」というものは,その人自身が信じる愛である。

 

  • この人のことが好き。
  • この人とずっと側にいたい。
  • この人とともに過ごしたい。
  • この人といつまでも幸せでいたい。

 

そう思えるならば,それはその人にとって「真実の愛」である

 

何一つ確かな絶対的尺度があるわけでもない。それは主観的に捉えるしか無いもので,ある種浮ついた熱病のようなものである。

 

「真実の愛」とはそこに確かにあるものではなく,その人を愛するという気持ちが本人の中である限り存在し,そうでなければ泡のように消えてしまうもの。そんな「相対的で不確実な愛」だけれど,本人が信じられる限り確かにそこにある愛。白銀父が言っていることはそういうことなんじゃないかな。

 

これを白銀父に当てはめてみれば一目瞭然です。

いま現在,白銀家に彼の妻はがいません。おそらく白銀母にとって白銀父に対する愛情が「真実ではなくなった」から。だから子供を置いてまで出奔し,別の人生を歩まんとしたのである。一方で白銀父が離婚届に捺印しないのは,きっと彼の中ではまだ「妻に対する愛は生きているから」なのであろう。

 

だが先に述べたように,相手との共同認識あってこその愛である。それは「月に手を伸ばすような事」と嘯くセリフからわかるように,本人にとって「真実の愛」であっても,相手にとってもそうでは無ければ成立しないという事実を突きつけてくる。

 

 

....からーの「パワーストーン」「買いますっ!」で吹かせに来てくれるわけですが,こういう緩急が良いよねえ...。ラブコメのジェットコースター,「かぐや様は告らせたい」の面目躍如である。

 


そんな詐欺まがいの占い師を演じておきながら,最後に占い師としてではなく「ただのオジサン」としてのアドバイスするところが憎めないと言うか悪人ではないんだよなあ...。

 

 

運命も,運命の相手なんてものはない

 

真実の愛を求めるなら,相手について考える。自分がどうしたいか考える。自分の感情が何なのか考える。それを相手にどう伝えるか考える。

 

 

そんな考えに考え抜いたプロセスと,七難八苦のプロセスを経てたどりつけるのが「真実の愛」。その言葉の裏にあるのは,かつて白銀父も経験したであろう妻との恋愛,いま息子の白銀御行と四宮かぐやが成し遂げようとしている愛だろうか...。

 

そんな「ただのオジサン」白銀父の語る真実の愛はつばめ先輩に伝わったのだろうか。これが石上とつばめ先輩,そして伊井野ミコの物語にどう影響するのか,気になるところである。

 

 

「人はなぜ告白するのか」 四宮かぐやの場合

さえ前回は頓珍漢な予想をしてしまってこっ恥ずかしいわけですが,まあそいつは帰りの山手線の中で反省会をするとして...。

 

いや,別にそんなに間違ってない部分もあったじゃん?

藤原千花を避けるために隠れるとか,ちゃんと予想していたし!

 


ただ...映画の立て看板じゃなくて, 自動販売機だっただけのことです。おかしいな...赤坂先生ならメタく「もも缶」の予告立看の影でやらせてくると思ったんですが...。僕もまだまだ精進が足らない(謎反省)。

 

 

少し真面目に。

四宮かぐやがお付き合いするなら「告白」という過程を経なければならないと思っているのは,彼女自身が恋愛を「契約」とみなしているからですよね。捉え方が違うだけで,実のところつばめ先輩と同じである。

 


それはかぐやにとって絶対避けて通れないプロセスなので,どうしたってクリアしなければならない。でもそんなときに色んな邪魔が入りそうになる。そんな妨害に軽く絶望しかけた時,当の恋する相手である白銀御行が守ってくれる。彼もまた同じ思いだと言わんばかりに。

 

今回のかぐやと白銀のデートではそうした「妨害」に対して二人が抗おうとする試み,その小さな積み重ねが繰り返されています。その積み重ねが,恋のプロセスが四宮かぐやの中で愛の真実性を高める効果を生み出しているわけです。

 

恋が成就する道が険しければ険しいほど...契約に至るまでのプロセスが困難であればあるほど,その過程は確かな記憶や想いとして残る。それがかぐや自身に自分の感情が「真実の愛」であると確信させていく。

 


そんな四宮さんの感情の変化が,白銀父の長セリフのバックで流れていくわけですが,これがエモいですね。キュンキュン(死語)だね。ずっとずっと考えに考え続けて,努力して,一生懸命頑張って...「ああ,今日もダメか」と思った瞬間の何気ない相手の優しい表情

 

思わずするっと

 

貴方が好き

私と恋人になって......

 

と告げるその言葉。一年以上も言えなかった言葉は「なぜ言えた」のか。

 

それはたぶん四宮さんの中で,積み重ねてきた恋のプロセスが,恋愛経験値がが閾値を超えていたから。白銀御行に対する自分の想いは「真実の愛」であると確信を抱けたから。だからあんなに言えなかった言葉を実にあっさりと,何のこだわりもなく,素直に告げることができた。

 

 

1年以上にわたる「考えに考え抜いた頭脳戦」があったからこそたどり着けた結果。そんなものが本当にあるのかなんてわからないし,それは漫画の中だからというだけのことかもしれない。

 

ですが,この時四宮かぐやの中には確かに「真実の愛」があったんだろうなと思ったり。まる

 

余談

今回のこの告白。

セリフ自体は文化祭直前に四宮さんが早坂を前に練習した時のものと同じでしたね。

 

 

あの時早坂は「不承不承の承認」といった感じで済ませていましたけれど,今こうやって実際の告白を見てみるとアレは心底「かぐやの本音」を表したものだったのだなあ...と思います。

 

 

という訳で,なんやかんやと交際開始となったわけですが,ここからが「真実の愛」とやらが本当に存在するのかどうか試されていくわけです。いまはハネムーン的な蜜月時代を堪能していますけれど,そのうち色々あるのだろうな。家のことだったり,第三者があらわれたり...。

 

そんなかぐやの告白が成立できたのは,近侍・早坂愛の絶え間ない努力のおかげであることを忘れてはいけない。

早坂が人身御供となることで,かぐやは邪魔されずに告白できたのだから。ここから藤原千花に確保されてタピってお試しキッスの流れになるの,本当に笑うでしょ...。 その上で毎日のろけとマウント聞かされるだなんて,本当にかぐやの使用人なんてやってられないわ(笑)。

 

藤原千花にも誤解されたままだし,ある意味救われない早坂である。

実は意外にも人気が高い(「現実逃避’調べ)ことが分かった早坂愛さん。彼女もいつの日か「真実の愛」をみつけられるのかどうか,気になります。

 

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「ラブコメの推しヒロインを教えて下さい」問4より(「現実逃避」調べ)

  

しかしそんなことよりもね...

この次号予告が気になりますね。

 

 

次号,先週の作者インド取材による休載の成果が!?

 

かぐや様とインド...いったいどんな繋がりがあるというのだ。赤坂先生もインドで何を考えたというのか。世界中を駆け巡る伊井野母がらみだろうか,あるいはインド映画でも見に行ったのだろうか(なんでや)。

 

全く想像が尽きませんが,「インド取材の成果」とやらも気になります。交際開始となってどんな出来事がこの後あったのか。そんな事も含めて期待大である。というわけで再度まる。

 

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コミックス

かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~(15) (ヤングジャンプコミックス)

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かぐや様を語りたい 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

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*画像はヤングジャンプ2019年第40号『かぐや様は告らせたい』 150話, 148話, 145話,122話より引用しました。

画像引用は中止しました。