さてと。かぐや様 155話 の感想(かぐ活)です。
前回は軽そうで重い話がぶっこまれた「かぐや様」。まあ考えてみると藤原千花もまたいろんな闇を抱えていそうなんだよな。コンクールにすら出場していたのにピアノ止めた件とか。本作ヒロインの活躍はいつ来るのか。
さて,今回はそんなヒロインを「まだ」慕っている伊井野さんと会長の絡みのお話。(別にエロくはない。)セルフツッコミとなっていますが,確かにこの二人はろくな会話がこれまでなかったわ。生徒会という枠組みの中ではまごうかたなく仲間なんだけれど,1on1となると途端に距離感が離れるというね...あるある。
そんな「あるある」がてんこ盛りのかぐや様155話。
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かぐや様は告らせたい 16 ~天才たちの恋愛頭脳戦~ (ヤングジャンプコミックス)
- 作者: 赤坂アカ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2019/09/19
- メディア: コミック
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先輩くん後輩ちゃんと遭遇す
「あるある」系,わりとかぐや様では使ってくる印象がありますがなんだか久方ぶりな気がするのは気のせいだろうか。
絶妙な距離感の人
ってのは生きていればこれまで経験したことが無い人は皆無ではというくらい「よくある」人間関係であります。
グループでは仲良いのにタイマンでは会話が成り立たないくらい人間関係が希薄な人。第3者がいれば何ということもないのに,二人だと途端に気まずい空気が流れてしまう人。まさに会長と伊井野さんはそんな関係だった!
もともと選挙で争った二人ですからね。そこを会長の配慮で登用した経緯がある。どちらかというと組織融和的というか戦い終わってノーサイドな意味を含めた登用ですから,伊井野さん自身の人間関係は希薄なんですよね。唯一の出島の藤原さんも「まだ」尊敬しているレベルに落ちていますし。
そもそもこの会話自体が面白いんですよね。
会長を見かけて一言目が「石上は?」。お前どんだけ石上に依存しまくっているんだよ...心情的にも恋愛的にも。あれだけいがみ合っていて,石上と同じ空間にいるなら死を選ぶ勢いだった伊井野さんが懐かしいですね。
しかし重要なのはそこじゃないです。「石上は?」「そう」って後輩ちゃんが先輩ちゃんにする発言レベルじゃないよ。完全に対等な友達レベルな会話です。
仮に御行に敬意を払っているのであればせめて「石上は来てませんか?」「そうですか」ぐらいの会話になりそうな気がするのですが,如何に。あるいは伊井野さんもまた気まずさがあって思わず緊張して配慮がこぼれおちてしまったのだろうか...(そうか?)
(追記)コメント頂きました。
会長「石上は?」
ミコ「さぁいつも一緒にいるわけではないので」
会長「そう」
ではないかとのこと。たしかにそうですね!早合点した!
先輩くんは向き合いたい
というわけで困ったのは白銀御行である。
もとより異性とのコミュニケーションが超絶技巧というわけでもない。白銀御行は勉強一本で尊敬を勝ち得てきたのであり,その生来の性格の良さも相まって生徒会長職を務めあげているものの,基本的には石上よりちょっとましなコミュニケーションができる程度である。仕事上ではタフネゴシエーターであっても後輩と気さくな会話を楽しむ域に達していないのです。
ここでの白銀御行,完全に世代間ギャップのある若手職員と同席する羽目になった上司の構図である。コミュニケーション取らねばならないと思いつつ,何を語っていいのか分からない。席に戻るものアレだし,勝手にスマホでもいじってくれればなあ...てのはまんま真面目上司と若手女子のランチの構図そのものであります。
いいんだぞ~ 別にスマホとかいじってくれて~~
という気持ちはよくわかりますが,これは白銀らしくなかったな。伊井野さんはいま骨折しているから片手でスマホすりすりする余裕なんてあまりないんですよ! ましてやアナログSiri(石上)が何でもやってくれるから尚のことスマホから離れてしまっているんです!
ひたすらのモノローグによる願望の垂れ流しが痛々しい。そうだよねー...真面目上司ともなれば若手の女の子前に舞い上がったりもせずにひたすらその気まずさを堪能してしまうものですよ。Twitter でジャンプ感想言い合ったり,友達に愚にもつかないスタンプでも送り付けてくれる方が気が楽である。
どんくらい気まずいかって,こんなことを思うくらい気まずいんです。こうしてみるとあの
あ,はい。
そうですよね。とりあえず相手に関する話題をする。コミュニケーションあるあるですよね。そしてその一言から話題が発展しないところまで「あるある」です。盛り上がらない話題に一直線にはまっていく白銀御行の姿が痛々しいですね。いや,すっごくわかるけれど。瑠璃ちゃん...こんな時いったいどういう顔をしたらいいのか分からないの。
完全に素の表情になるしかない白銀先輩である。例えそのまんまの進行に失笑を禁じ得ませんが,本当にこれよくあるやつだからな。しかたがない。後輩を指導するべき易しき先輩としては気を使ってあげなければ無礼というもの...。そんな白銀御行の次手はこちらになります。
あちゃー!
やってしまいましたか。話すことが無いときつい発してしまうけれど決して盛り上がらない話題十年連続No.1(誇大広告)な質問を。
趣味とかないのか?
という問いかけは,相手もまた自分と話したがっている時にのみ成立するフレーズである。もしかすると目の前の女子は君に個人的な趣味の話なんかしたくないかもしれないやんけ。
推しの絵を描いているとか,毎週月曜朝にジャンプ感想ツイートしているとか,早売り買って漫画感想ブログやっているとか,そんなこと言いたい人ばかりじゃないんですよ!
後輩ちゃんは語りたい
しかし伊井野後輩は雑魚いので,この社交辞令的な棒球をフルスイングで打ち返しに行くのであった...。
あ...(察し)
そうか...。考えてみればこの子友達いないんだっけ...肉食系の大仏さん(と小野寺さん)を除いて。世の女子高生なら普通に友達と語れる趣味トークも何もかも,世界の出島が唯一大仏さんだったから嬉しかったんですね。この食いつきようである。
まあそこで「読書」と出てくるあたり,やはり「あ,はい」なわけですけれど。まあ多読家でもある会長はぎりっぎりのギリで何とかついていけたのであった。そうか乙一さんか...JOJOのノベライズ書いている(そっちの認識?)
そこでやめておけばよかったのに。
図書館で本借りて,宮沢賢治のところまで,そこで止めておけばよかったのに。この流れを食い止めたくないという心理が末代までの黒歴史の穴を掘ることになるとは,この時白銀御行は知らなかったのであった...
詩集!
おおよそ最近のJKの趣味とは一線を画したものであるからにして,底で不穏な空気を感じ取るべきだった白銀御行。ですが今の彼は20代新人部下とコミュニケーションをとろうと必死な40代中間管理職的な心理状況だったので,その地雷を思わずスルーしてしまったのであった。
だってそうでしょう。この反応ですよ。Twitterの奴botだったら
で,出た~~~~~~!!
希少趣味の話に乗ってくれた相手に思わず大声で反応しちゃう奴~~~~~~!!!
とか呟かれているところですよ。見てくださいこの表情。ワッキワキじゃないですか。
だがそんな危険のサインを見過ごしてしまうあたり,本日の白銀御行には全く余裕がなかったのであった。会話,会話。会話を途切れさせてはいけない!
そんな場末の中小企業40代中間管理職のような心境になって必死で話を合わせようとする白銀御行が痛々しい。天文学,ラップ,持てる札全部切って必死に会話をつなごうとする会長に草葉の陰から涙を拭かざるを得ない(いや俺,まだ生きてるよ)
伊井野ミコは語りつくしたい
しかしそんな会長の気遣いに思わず本気で乗ってしまう愚かな友達が一人しかいない歴16年の女子高生の姿がそこにあった。ていうか,伊井野ミコだった。
ハァハァ...詩集...?
やめとけよ,その朗読!
思わず
よせ,乗るな白銀!戻れ!
だがそんなぼくたちの魂の叫びは届かず,星の詩と聞いて思わず「読んでくれよ」と促す愚か者の姿がそこにあった。ていうか,白銀御行だった。
そんな伊井野さんがお目々をキラキラさせながら滔々と語った死...もとい詩がこちらになります(以下引用)。
星がきらめく
トゥインク トゥインク
流れ星がウィンク
あの星と私はきっと双子
時代を超えて百光年の彼方
誰の願いも叶えない流れ星
心臓の音と一緒に消えていく
きらめきと共に消えていく
ただ意味もなく流れていく
私と一緒
きっと天の川は願いの墓場
空に浮かべた誰かの祈り
トゥインクトゥインク
今日も少女は流れ星に願う
どうでしょうかじゃねぇ!
なんだよ。乙女の純粋なキラキラ世界のような絵面をしていて,中身完全に病んどるやんけ。ヤ◯デルじゃなくてヤンドル先生だよ!
「誰の願いも叶えない」「ただ意味もなく流れていく」「私と一緒」「きっと天の川は願いの墓場」って...夢も希望もないじゃないですか。暗黒世界の彼方にでも行くんですかお前は。
きらきらお目々してドキドキって,こっちが別の意味でドキドキだよ。田沼先生呼んでこようかと思ったよ。
駄菓子菓子。
可愛い後輩ちゃんとの会話をつなぐのに精一杯の先輩くんは,天然ポエムの意味を咀嚼するでもなく「なるほどな」「うん」でつないだ後に,
とかお愛想を打ってしまうのであった。
馬鹿野郎!それは絶対にやってはならない禁じ手ですよ,白銀さん。いいですか,オタク(伊井野ミコ=天然ポエムおたく)ってのはですね,一度許容範囲を見せるととことん攻め入ってくる特質を持つんですよ!
「共感してくれた!」「これは行ける!」と思ったらその二十倍は
深みに突っ込まれて万事休すの白銀御行である。
嘉門達夫の「替え唄メドレー」ばりになんとかその場はごまかしてみたものの(今の子知らないよ),次の詩を詠唱するまでの時間は限りなく短かった。馬鹿な!ためもなく漆黒ポエムを詠唱するなどと...(以下引用)
真っ黒なコウノトリが唄うよ
百年ぶりの祝祭だ
枯れたキャベツの種を蒔こう
真っ黒なコウノトリが空を飛ぶよ
青い煙が上へ下へ
緑の煙が街を覆うよ
もう怖い夢は見ない
鐘の音が永遠に続く
真っ黒なコウノトリが歌を歌えば
灰色の人間だけがそれを喜んだ
この街にはもう誰もいない
怖いよぉ〜。真っ黒のコウノトリよりも伊井野ミコが怖いよ〜!
どうでした?じゃねぇよ!
こいつパット見は美人だし頭いいし,完璧に振る舞いきっているけれど完全に性格破綻というかまともな成長していないよ。正義に邁進する父母の不在,お手伝いのみがそばにいる世界,完全に愛情が欠落しているしまともな幸福感覚をもってないじゃないですか。
謎のDV耐性見せてくるのも変だなと思ったんだけれど,もしかして伊井野さん幼少期にお手伝いに「しつけ」とか称して虐待されていないか。
怖いよ!思っていた以上に闇が深くてこれまでみたいに「石上✗ミコはいい...」みたいな長閑な雰囲気で石上をミコちゃんに献上できないよ!
でもまあきっとこの生徒会に入って「まともな愛」を受ける機会も増えているのかもしれないし,そんな病んでこじれている人間を救えるのはよっぽどのお人好し...そう石上優みたいな人間しかいないのかもしれないなあ...。こいつが石上に甘えまくるのも分かる気がするわ。
後輩ちゃんの罰ゲーム(白銀御行編)
すっかり縄張りを広げた犬のように振る舞いつつある伊井野さん。
返す刀で会長にもポエムを促すものの,元より手札なんかない会長に断られてしゅんとするのであった...。
ほらぁ(ドヤ顔)
いいですか。痛いオタク気質な人間は,勝手に喜んで勝手に傷つくんですよ! 本人は悪気がないのでたちが悪いのですが,誤解させるような悪意のない行動をとってしまった白銀会長にも若干後ろめたさがあり....
かくして白銀御行には2つの道が示されたのであった。一つは築き上げた信頼関係は灰燼と化しても己の尊厳を守る道。もう一つは築き上げた信頼関係を守るために,己の尊厳を犠牲にする道。これは試練だ...
結果,会長はこれを「過去に打ち勝てという試練と受け取った!」
人の成長は.........未熟な過去に打ち勝つということだとな...
え? お前もそうだろう,MIYUKI SHIROGANE!
(以下引用)
僕は君を飲み干す事は出来ないだろう
だから個として側に居れる
ぼ...ぼくはずっと君と一緒に居たいと思う
全てが消えてなくなるその日まで...
何だこの罰ゲーム?
なぜ!どうして!
送るつもりもなかったラブレターを後輩ちゃんx2の前で滔々と読まなければいけないのですか?ナズェミテルンディス⁉イディガミザーン!!
最悪だ。
恋の歌を「食べかけのガムの詩」と解釈されて素敵!とか言われた挙げ句,石上の信頼を失ってしまうなんて...。こんな酷いことがあっていいのだろうか。そんなカホな(神も仏もないものか)...
このままだと会長があんまり過ぎてアレなんですけれど,とりあえず若干伊井野さんの信頼を獲得できてよかったね。失ったもののほうが大きいけれど。まる。
余談
それにしても「先輩くんと後輩ちゃん①」か...。これ,この先ズルズルと伊井野沼に引きずり込まれてくる白銀会長の姿が目に浮かびますね。信頼関係を壊すわけには行かない!とかいう心理によりどんどん深みにハマる未来しか見えてこない。
そのうち石上や藤原書紀も巻き込んでしまうのだろうな...。
藤原ママ,十中八九「詩」の解釈の練習も巻き込まれることになるのでは。そして藤原ママと伊井野沼に嵌められていく会長に対して,四宮さんの「浮気認定」がどうなるのかも気になります。
行くも地獄。引くも地獄。
ほんの些細な気の回しがとんでもない事態を引き起こしていきそうですけれど,白銀御行会長の命はいつまでもつのでしょうか。会長滅亡の日まであと◯日。あと◯日しか無いのだ!(続く)
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*よろしければ昨日あんまり読んでもらえなかった五等分の花嫁の感想もできれば読んでいってください
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かぐや様は告らせたい 16 ~天才たちの恋愛頭脳戦~ (ヤングジャンプコミックス)
- 作者: 赤坂アカ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2019/09/19
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*画像はヤングジャンプ2019年第41号『かぐや様は告らせたい』 154話より引用しました。
画像引用は中止しました。