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『かぐや様は告らせたい』 第199話 夢 感想 : Open Your Eyes For The Next Kaguya 〜私の夢〜

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かぐや様は告らせたいもヤンジャン数えで199話目です。次週はいよいよ大台200話ですね。

 

コミックス1巻はウルジャン分から話数が始まっているので20巻で達成済なわけですが,やはり週刊連載という枠組みの中で200話ってのはやっぱり凄い。ドラクエでいえばロンダルキアの洞窟を抜けて辺り一面白銀の,未踏の雪原を踏みしめながら歩いているところぐらいでしょうか(分かりにくい例え止めろ!)

 

さて前回は白銀家にお泊りという,四宮家からの白銀御行との付き合いを隠さなければならない立場にしてはかーなーりガードの緩いことをやってのけた四宮かぐやさん。読者視点で見てもかなりの異常行動だったわけですが,今回はその衝撃の事実が明かされます。

 

というわけでこれまでの物語予想などと照らし合わせながらの第199話感想です。  

   

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四宮黄光は従えたい

そんなかぐやさんの告白は,衝撃そのものである。

 

前回,「ここまでガードの緩いことをやっているからには,四宮家との了解があるのではないか。交渉相手は黄光で,かぐや様から交渉の過程で領地安堵を求めたのではないか」(【参考】第198話感想)という風に予想したのですが,流石にそんなに生ぬるいものではなかった

 

さすがは四宮家棟梁に最も近い男,黄光である。そこにまともな思考があると思っていた事自体が間違っていたし,そもそも弱者が強者と相対して「交渉」になると考えていた事自体が間違っていましたね。僕もまだまだ考えが甘い。

 

自らを最上と捉え,その絶大な権力を駆使する時,弱者はただの「持ち駒」に過ぎない。

 

早坂愛の属する早坂家全体を駒と言ってのけ,その所属の人間に対する差配は自分の意志の下に自由にする。それは四宮本家長兄という最強の立場から見れば当然のことで,それは妾の子にすぎない末妹のかぐやですら同じなのであった。

 

 

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圧倒的強者の脅迫

兄妹の会話と言えどもその立場は支配者と従僕者のそれに過ぎない。あの利発で,「人を見れば従えろ」の四宮流教育を受けた四宮かぐやが一切逆らないことからも見て取れる。今のかぐやにとって黄光は逆らったら死ぬ,そのくらいの絶対的立場であることが分かります。

 

一見「交渉」に見える会話もその実は黄光の一方的命令に対し,かぐやは「条件の緩和」を懇願しているにすぎない。早坂愛をダシにしてかぐやの弱みを握っていることを仄めかしつつ,本命の「持ち駒」である四宮かぐやの人生を処断する。

 

スタンフォード大学への進学は,四宮かぐやが「決めた」ことである。一度決めたことは絶対に揺るがない,そんな四宮かぐやの根源で決めたことをいとも容易に取り上げる。そんな黄光の言動とそれに従う四宮かぐや。それが今のかぐやと黄光の立場の差である。

 

早坂愛の処遇を匂わせ,白銀御行の存在を把握していることを匂わせ。「親父と違って俺は口出ししない」「ここまで俺が譲歩することもないぞ」と寛大な棟梁のフリをわざとしながら述べるのは,四宮かぐやならその裏にある意味を読み取れると理解っているからである。

 

要するにこういう事である。

 

お前は俺の持ち駒だ。いずれ俺の役に立つ家に嫁がせて,俺の勢力を広める仕事をしっかりやれ。それまでは俺の手の平の上なら遊んでいてもいい

 

早坂愛をかぐやの側につけるのも。進学を諦めさせるのも。かぐやのためでもなんでも無い,他ならぬ黄光自身の利得のためである。圧倒的上位者によってなされた「言葉の薄絹をかけた脅迫」は,弱者にとっては「絶対服従の命令」と変わらない。

 

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温情に見せかけた脅し


 

それが京都の修学旅行の合間,雲鷹との決着の後に起きたと思われる出来事。かぐや様が「もういいんです」と言っていた理由,能天気に無防備に振る舞っていた束の間の白銀との蜜月は,黄光から「与えられた平和の中の出来事」に過ぎなかったというわけか...。 

 

「白銀かぐや」を勝ち取りたい

黄光に対してのかぐやの姿勢,さては四宮かぐやらしからぬ...と思われた方もいるかもしれない。けれどそこには理由がある。

 

今,かぐやは黄光に対する力がないけれども,このまま逃げても力がないものは結局強者に従わされる。であるならば今は力を蓄えて,黄光に対するだけのものを自分自身が持たなければならない。

 

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かぐやの課題


 

今のかぐやに足らない力。それは相手の弱点かもしれないし,独立して抗せるほどの味方かもしれない。

 

それを得る過程については今は想像もつきませんけれど,次兄以下による合従連衡なのか,早坂家を始めとする従属家系を巻き込んだものなのか。あるいは四条家までも巻き込んだ戦争なのか。いずれにしても,「相手の弱点を握りました・対等になりました」みたいな簡単な話ではないでしょう。かぐやの選んだ道は長く険しいものである。

 

 

そんなかぐやに寄り添って力になろうとするところが,白銀御行らしいところ。けれどもそれを押し留めて白銀御行の道をすすめるのは,互いの夢を叶えるため。いつか奪われた父の会社を奪い返す「夢」を実現するために,その時自分が同じ場所...白銀家の一員としていられるようになる,かぐやの「夢」を実現するため。

 

 

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分かりきっていた事実

ん。

そうだな。まあ最初から予想していたけれども,やっぱり白銀父を騙して会社を乗っ取ったのは四宮だったか...。四宮グループのやり口が描かれた段階で確信に変わっていたけれど,やぱぱりそうだったのね。

 

そんなかぐやの出自を知りながらも何事もないように許容し,優しさを振る舞った白銀父。何も信じられなかったかぐやが白銀御行らの優しさで変われたのと同様に,白銀父もまたとぼけた言動の影に「優しさ」をもってかぐやに接していたとか...胸が熱くなるな!

 

 

四宮家と白銀家,あまりもの対象的な家のあり方である。そして今のかぐやは,そんな「素敵な家族」である白銀家のあり方に深く惹かれている。自分の愛する白銀御行が育った白銀家の本質的な優しさに。

 

 

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かぐやの夢

四宮を断ち切り,白銀家と一緒になる。「白銀かぐや」になる夢を勝ち取るためにも,今は少し違う道歩むことを四宮かぐやは提案するのであった。それに対する白銀御行の結論は―――というところで,以下次号!

 

 

所感および幾ばくかの予想(妄想)

なかなか衝撃的な告白でしたが,ここにきてお互いの背景にある「家」の問題と向き合うことになったわけですね。

 

ウルトラロマンティック,普通のロマンティックを経て晴れて恋人になれた二人。一見,順風満に思えた二人のイチャラブも「四宮家」というかぐやが最初から背負っていた枠組みの中での出来事だった...。RPGで言うならば物語はじめに示されたラスボスの裏に真のボスがいることを知らされた局面でしょうか。バラモスなんて大魔王の使い魔の一人に過ぎなかったんや...(ドラクエ文法やめろ)

 

さて,かぐやから別々に戦うことを提案されたわけですけれど,それに対して唯々諾々と御行が応じるかというとそこはどうかと思うのだよな。仮にも四宮かぐやの恋人となった男である。貴方は自分の夢を追い求めてね,と言われたところでハイそうですかとなるだろうか。

 

 

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かぐやの提案

スタンフォードに留学するまでの時間はまだある。その間,夢を叶えるために自分を高めるために日々努力するのは間違いないでしょうけれど,一方で四宮かぐやに対して何の助けもしない白銀御行ではないことは明らかである。そばにいる間はできる限りのサポートをしたい。それでこそ恋人じゃないっすかね。

 

 

白銀御行だったらどうするだろうと思った時,「夢を実現するために別々に努力しなくても良い。共に手を携えて一緒に夢をつかもうぜ!」ってなるんじゃないかしら。

周囲の人間はいざ四宮の力が及んだ時にどこまで助けてくれるかはわからないけれども,少なくとも白銀家と白銀御行はかぐやを守る側に立つ存在である。愛する人一人守る気概も見せずい何が恋人か!ってなるんじゃないかしら。

 

一人ぼっちの戦いなんかじゃない。「白銀家」の一員として何の心配もなく幸せに暮らせるようになる,それは白銀御行にとっても同じ夢である。御行が勝ち取りたい「自分の夢」の相手もまた四宮ならば,共に戦うことは同じ夢を追うことでもある。そんな風に進みそうな気もしますね。

 

【追記】

 今回,かぐやの提案に対する答えとして白銀がほぼ同様の回答をし,その上でかぐやは別々の道を提案しているんですよね。となるとそれを遮って改めて共闘の道を提案するかどうか?という点に関しては,白銀は悩むかもしれません。

 

それでも最終的には,かつて天体観測の回で言っていたように,「俺ならかぐやを決して手放したりしない」という言葉どおりにかぐやの手をしっかり握り続けるような気がするんですけれどね。

 

 

 

それからもう一点,四宮本家の影響力を削いで独立するためにはある程度の味方が必要なはずである。現在,かぐやの周囲には一定の友人・仲間がいますけれど,それは「四宮家かぐや」に対する距離感で築き上げられているわけです。

 

流石に生徒会の面々はかぐやの味方でしょうけれど,それ以外の級友は「四宮家」と敵対し,逃れようとするかぐやさんに対してどう振る舞うか分からない。級友自身はともかく,その家庭や背景組織は四宮の威光に従って離れていくかもしれない。

 

そんな状況の中で四宮本家に対抗でき,かつ四宮家には絶対に与しない存在があるか,というと一つだけある。四条家である。元四宮穏健派にして血みどろの抗争を経て対等に近い存在にのし上がった四条グループは,四宮家には絶対に与しない。

 

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四条家は与しない(コミックス第17巻・第168話より)

 

現在拮抗している四宮・四条の関係。そこでかぐやが四宮家内で一定の力を得たのちに四条と組めば,かぐや・四条は四宮を上回る。眞紀とかぐやの関係も改善していますしね。この辺が一つ落とし所になりそうな予感。

 

もっとも四宮憎しの感情は眞紀ちゃん以外には強いでしょうし,そんな単純な話でもないでしょう。ひょっとかするとこの辺で「四条帝」も関わってくるかもしれんね。手を組む象徴として帝との縁談とか四条家が提案してくるかもしれませんし。おすし。そんな妄想も一つ置いておいて,今回の感想はまる

  

 

余談:「ふたりエスケープ」について

 

先日,赤坂先生がRTされていた漫画が気になってみたので読んでみました。「ふたりエスケープ」という,共同生活している二人の女の子が現実逃避しまくる物語です。

 

基本,コメディ。二人組の一人は漫画家,一人は無職です。そんな二人がひたすら「現実逃避」を繰り広げる,そんな物語。作中のそこかしこに「現実逃避」というパワーワードが連呼されていていやでも弊ブログとしては興味をそそられます。

 

ゆるふわコメディといってよろしいジャンルと思いますが,なかなかどうして面白かった。赤坂先生とどんな繋がりでRTされたのかは分かりませんが,良い漫画に気づかせていただいてありがとうございます。気になる人は公式アカウントで第1話のさわりを流していますので,読んでみてください。

 

 

 

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*画像は週刊ヤングジャンプ2020年第52号 『かぐや様は告らせたい』199話,コミックス17巻・第168話より引用しました。