さてと。『かぐや様は告らせたい』第207話の感想です。
前回は「地獄のお茶会」で眞妃ちゃんが悲惨な運命から現実逃避しているところで終わり,休載を経て2週間ぶりのかぐや様は巻頭カラーです。
ふむ。
背景からしてここは図書館なのかしら。そんな本の森の前に顔を赤らめて立つかぐやさんのお可愛いことよ。
手に握りしめるのは「よくわかる!男女の性」である。なまじ彼氏の白銀の意思を知ってしまったところで,当の白銀以上に性を意識してしまった四宮さんの反応はどこにでもいる普通の女子高生らしい。"普通でありたかった"彼女の願い通り普通になれたことを分かってか,分からないでか,気になるところである。
そんなかぐや様に助言する友人・愛ちゃんと渚ちゃん。眞妃ちゃんの姿が見えませんが,彼女は塩の柱となって脆くも崩れ落ちてしまったのかしらん(違う)。そんな二人の助言ですが,なかなかに聞いていて面白いものがある。
一見経験豊富な二人からの助言に見えますけれど,一方は男性経験なし・知識偏重なだけですからね。したり顔で滔々と述べる早坂さんの言葉はもちろん正しいのですけれど,やはりそこは頭でっかちの弊害である。
異議あり!
チコちゃんは知っています。肉を食べたがらないオオカミだっていることを。早坂さんはレゴシさんというぐう聖を知っておいたほうが良い(違)
読んでいて良かったBEASTARS,ってなわけで,第207話「男と女のABC③」の感想です。
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白銀御行は守りたい
さてその一方の白銀御行である。
ボーイズトークを当の本人に聞かれていたとも知らずに呑気に猫を眺めている姿の温度差が激しすぎる。
まあ仕方がないですね。結局のところあれはボーイズトークである。野郎だけの猥談の範疇で,ああいう場で男子は多少「フカシ」を入れるものである。話の流れってもんもあるしね。純粋に性欲の話としては嘘偽りないと思いますけれど,別に今すぐ,真昼間から何の伏線もなしに彼女とエロいことしようとかそういう話じゃないんです。
ですから四宮さん火をつけたのは白銀だけれども,火がついていることは知らないし着火したつもりもない。ここにかぐやさんと御行の精神状態の大きなギャップがある。
そんな目下の白銀会長の関心事は愛玩動物であるところの猫・胡麻の助による癒しである。
そもそも会長が何で猫が好きなのか...といえば,それは他ならぬ愛しのかぐやさんが猫属性だから。故に全ての猫的なものを愛す。そうなるわけです。そこにいるだけで癒される存在なわけですが,当の四宮さんが猫に対して厳しい態度を取られているのが玉に傷である。
かぐやさんはもちろん一番好き。でも違った意味で胡麻の助も好きな会長としては,両者が共存してくれることが一番の願いなわけです。しかしそうはいっても猫は猫。人と違って御しきれないですからね。そうなると人の方を制御せざるを得ない。
四宮かぐやは守りたい
その結果がこちらになります。
なるほど。
久しぶりの天才たちの恋愛頭脳戦ですね(違)。天才?頭脳戦?なにそれ美味しいの?っていう懐かしい感覚が戻ってきます。白銀と四宮さんの「ズレ」によるコメディが懐かしい。
片や御行は胡麻の助を守るために四宮さんについているひっつき虫を取りたい。一方の四宮さんは兎を狩るオオカミのごとく性的に飢えた彼氏から自分を守りたい。完全にお互いの意図がすれ違っているからこそ生じるコメディ空間が懐かしい。基本に立ち返るとはこのことですね(ちょ)
いやいやいや。
そもそもハンドタオルを肩にかけてトイレに行くとか不自然極まりないし。どうみてもそれ,一風呂浴びてこようというおっさんのソレじゃん...。からの突然の「せいっ!!」もさることながら,残像を残しながら身を交わす四宮かぐやさんの素早いことよ。流石は猫属性。カリン塔で修行でもしたんですか?ってくらいの身のこなしである。
さすがは弓道部随一の天才にして,合気道もたしなむ四宮さん...なわけですが,いやいや論点はそこじゃねぇ!
そもそもいきなり彼女の胸めがけてハンドタオルを振り回す異常性に白銀が気付かないのもさることながら,それをSMプレイと捉える四宮さんの思考の異常性も中々にどうしてよ。背景にあるのが「猫の安堵」」と「自分の貞操」だからこそ成立するコメディである。
からの「不変」
これは笑わせてもらいましたわ。
そういえば例のボーイズトークで会長は貧乳派を名乗っていたんでしたっけ。正確には「かぐや派」であって貧乳派ではないのだと思うのですが。しかしそんな先入観から繰り広げられるかぐやと御行の温度差が激しすぎて,こっちが笑いでせき込みます。なんだこの構図。3人で一番異常なはずの藤原千花が一番まともに見えるじゃねぇか...
久々の恋愛頭脳戦...もとい奇行戦,笑わせてもらいましたわ
最初っから最後まで白銀と四宮さんがズレまくっているわけですけれど,ズレた原因が火をつけた白銀御行の言動にあって,それを受けてかぐやさんが「いやらし脳」に嵌ってしまっているわけなんだよね。にもかかわらず,当の会長は性的に四宮さんを見ていたわけではないので,この行き場の無い怒りが向かった先が「胡麻の助」というわけなのかな。
最初なんで最後にかぐやさんが胡麻の助に矛先を向けたのかよく分からなかったんだよね。かぐやがワニの餌にするといったのはあくまで「会長に迷惑をかけたら」だったじゃないですか。
そのロジックでいけば「いやらし脳」になってしまった自分を反省するのはともかく,その矛先が胡麻の助に行くのはおかしく感じたんですよね。八つ当たり,でも説明がつかなくもないですが,『かぐや様は告らせたい』はこの辺りの筋はきっちり通っている漫画であるので違和感がある。
自分より猫のことを考えていたことが腹が立ったとも捉えられるわけですが,「いやらしいのはどっちよ」からの流れと繋がらない。
となるとやっぱり,胡麻の助の存在によって会長は胡麻の助を守る行動にでて,その行動を「いやらし脳」の自分が誤解して捉えて振舞ってしまった。会長にそんな態度を取らせてしまったのは胡麻の助がいたせい。だから胡麻の助は「会長に迷惑をかけたので」ワニの餌にする。
そういうことなんでしょうか。
ちょっとごちゃごちゃしてよく分からないのですけれど。違うよ,というご意見があればお願いします。
男と女のABC
それにしても,「男と女のABC」シリーズを引っ張りますね。これ本当に二人のセクースまで描くつもりあるのかしら。個人的にはその辺はやんごとなき方々の夜伽のように,そういうことになりましたとさ,でいい気もするんですけれどね。どうなるんでしょうか。
さてここまで生徒会室・教室と学校を中心に動きが進んでいますけれど,四宮家との関連の話はしばらく置いておいて,まずは学内でのかぐやの立場の強化といった話が続くんですかね。胡麻の助も大分引っ張りましたけれど,そろそろ自宅の猫が迷い込んでいるのを探しにくる形で阿倍ひふみくんも登場するのでしょうか。
その辺も気になります。というわけで,今回の感想はまる。
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*画像引用は中止しました。