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『かぐや様は告らせたい』 第208話 男と女のABC④ 感想 : かぐや様は帰りたくない...の巻

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さてと。『かぐや様は告らせたい』第208話の感想です。

 


ここまで続いてきた「男と女のABC」シリーズも4回目である。

 

男女がつがいになることの意味,生物学的には「種の保存」に行きつくわけであります。なぜ男と女はセッ..クスするのか。それは自らの遺伝子を後世に残すという,生物としての基本本能に拠るからに他ならない。

 

 

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進化論

 

雌雄という形態を持つ生き物は全てそこに行きつく。かぐやさんが語っていたように,同じ種の中で「男と女」という存在に分かれているのは適者生存の結果であり,生き残るためには効率が良かっただけ。人間に限らず,皆同じである。

 


だが人間だけはそこに「理屈」をつけていくわけです。

人生の意味。生きる意味。運命。相手を想い慈しむ感情は必ずしも人間だけが持つ者ではないと思いますけれど,人間はセッ...クスという行為自体に特別な意味を見出していく。

 

そしてそれは理屈だけではなく,その裏に相手がどれだけ自分を愛してくれているのか。好きな人ともたらすその行為がどれほどの快楽と愉悦を与えてくれるのか。情愛なり欲なりといったものを埋めていくものとしてセッ...クスという行為を特別視していくわけですね。

 

 


だからこそ「運命なんてなかったり」「行きずりのトキメキ」すらなかったりする層がセッ...クスに対して斜に構えた感情を抱いてしまうわけですね。お前...いま,森田おとうとを笑ったか...?(地獄兄弟感)

 

 

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森田さん,タイミング良すぎぃ!(「スナックバス江」 第174話より)



このタイミングでぶっこんでくるスナックバス江さんが狂おしいほど好き。そんなトキメキを感じた「かぐや様は告らせたい」第208話 男と女のABC④ の感想です。

 

 

  

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かぐや様は語りたい

 

日ごろ忙しい秀知院学園後高等部生徒会ですが,本日は各々が我が道を行く展開。

石上はなんのかんのでつばめ先輩と「友達」関係が続けられているようですし,伊井野ミコもまた風紀委員としての職務に邁進している様子。そして藤原千花はTG部で宇宙人狼をやるといって去っていきました。これは来るな...Amoug us回...

 

という小ネタも気になるところですが,そうなると引き算の問題で生徒会室に残されるのは白銀御行と四宮かぐやという「思春期真っ盛り」な付き合い始めて3ヶ月ほどの「機が熟したカップル」だけという事に相成るわけであります。

 

 

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意識しすぎぃ!



ふむ。
ふたりっき(ふたりきり)という空間はお付き合いしていれば特別なことではなくなってくるはずである。お付き合いしていれば自然と二人で過ごす時間は増えていく。以前のかぐやさんなら,この機会に隙あらばアプローチしてキッスでもねだっていたことでしょう。

 


駄菓子菓子(だがしかし)。

先日のボーイズトーク&ガールズトークを経たばかりのかぐやさんからしてみれば,二人切になるという事はそのまま性のステップを一つ上がりかねない「ある種の危機感」を有するのは無理からぬことである。いかに天才にして数々の修羅場を乗り切ってきた四宮かぐやといえども,女子としてセッ...クス初体験ともならばその人生が大きく変わるような出来事である。意識してし過ぎることはない。

 

 

一方の白銀は自分の発言が伝わっていることを知らない。故にふたりきりという空間が持つ意味とか考えず,自然体にふるまってしまうわけです。

 

そりゃそうである。「いつかはやりたい」ということと「いまやる」という事は全く別物です。いくら性長期真っ盛りな白銀御行といえども生徒会室で事に及ぶことなど想定すらしておるまい。二人だけで語らうことは,それだけで楽しくもあり居心地のよい時間である。ましてやそれが愛する四宮かぐやから放たれた知的な会話とならばなおさらである。

 

性なる話題から一先ず離れた形で繰り広げられるそれぞれの人生の意味は,それぞれの生き方そのものであり,ある種対照的である。

 

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白銀御行にとっての人生

 

ずっと努力しつづけてきた御行の背景には「こうありたいという理想」が先に合ってそれに近づくことが人生である。くしくも四宮かぐやに恋をして対等になろうと決めたその日から,今日に至るまでの白銀御行の奮闘がそれを裏付けている。その究極の形が「世界平和の達成」というのも,白銀らしくて面白い。


他方,四宮かぐやもまた「こうありたいという理想」が先にある。常に他者に支配され,他者を支配する方法を教育されてきたかぐやにとっての理想とは「誰にも支配されていないこと」である。

いま現在,彼女が抱えている四宮家の問題もまた他者からの支配そのものであり,それを克服しようとしている。彼女が四宮かぐやとして過ごしてきた時間,御行と関わった以前・以降で趣は変化しつつも揺るがない事実である。その究極の形が「世界征服の達成」というのも,四宮かぐやらしくて面白い。

 

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四宮かぐやにとっての人生



一見対象的な二人の理想。しかしそれを受け止めて「四宮が征服した世界はきっと平和だろうから」と言える白銀の言葉から,二人の間が表層的ではない,より深い関係になっていることが分かりますね。

 

 

かぐや様は帰りたくない

そんな二人の帰り道,仲良く手を繋いで歩いて帰る姿。なかなかに感慨深い。


恋愛頭脳戦の下で死闘を繰り広げた二人とも思えぬ仲睦まじさ,かつて歩いて登校することも叶わず,せかされるように送迎の車で早坂近侍のレクチャーを受けながら「普通に歩いて登下校すること」を羨ましく思っていた事を思えば隔世の感がある。これも四宮かぐやと白銀御行が成し遂げたことの一つ。


そんなかぐや様も,家に帰ればいつも通りの,以前以上に緊張しくつろげない日々。早坂を補助する名目で追加された世話人は比較的仲が良い次男の嫁経由とはいえ,「ひきょうもの」の次男(第21巻「よくわかる!四宮家」より)の息がかかっている。家に帰っても愚痴の一つを聞いてくれる侍女はおらず,気が休まることもない。故に,

 

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かぐや様は帰りたくない

 

「ずっとこのまま帰り道が続けばよいのに」

 

という言葉は文字通りの本音である。
こうして愛する人の手を繋いで学校から帰るひと時。そんな安らぎの時間が続くのなら,その方がどんなにその方が幸せだろうか。白銀が自宅で夕食を誘ったのも,そんなかぐやの心情をくみ取ったからなのでしょう。

 

 

駄菓子菓子(2回目)。

自宅に誘うという事は即ち自室に招き入れるということ。思春期真っ盛りにして一たび性を意識したらどうにもならない微妙なお年頃な二人にはあまりにも危険な空間である。そう,「ラッコ鍋」空間である(ゴールデンカムイ)。

 


一たび意識してしまえば,紡ぎ出す言葉一つ一つに意味が出てしまう。

四宮さんにとっては掘っ立て小屋に等しいであろうオートロック・エレベーター付の賃貸マンションの狭い一室。しかしそんな空間ですら,白銀御行の取っ手はこれまで存在しえなかった奇跡みたいな空間であって,思わずベッド自慢をしてしまったのも詮無いことですよね(え)

 

 

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トリガーオン!



しかしベッド→寝心地→エチエチという連想に二人が至るのは,光速ですら鈍いと思えるような一瞬であった。こうなったらもう駄目である。白銀父の人生溢れた助言すらも最早生々しい。なまじ「そういう意味」だっただけに,それに勘づける程度に賢い天才二人にとっては,もはや全てが意識に繋がるシチュエーションとなってしまっているのであった。

 

 

そんな時に限って親父は飲み会で帰ってこない。
圭ちゃんは藤原萌葉に拉致されている。

 


流れ流され揺り揺られ。
全ての状況が一つの方向性を指し示している。もう無意識だった二人には戻れない瞬間である。

 

時は今 雨が下たる 五月哉(明智十兵衛光秀)

 

相手のことは好きである。いつかそういう日が来ることも分かっている。それが「いつ」か分からなかったけれど,そうなってもいいと思えるくらいに相手を愛している。情愛と性欲。感情と欲求。生きとし生きるものの中で,人間だけが「綺麗事」にも等しい理屈をつけて成されるその行為を前にビビる白銀,試すかぐや。

 

 

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かぐや様は...



「帰ったほうが良いんですか?」というかぐやの言葉からは,暗に否定を求めるそれがある。だってかぐや様は帰りたくない。白銀御行とは「そういうこと」になってもいいと思っているから。そして御行もまた,四宮かぐやとは「そういうこと」になってもいいと思っているから。


そんな二人の会話のたどり着いたところがこの最後のセリフとなったわけであります。

 

 

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麒麟が来る!

 

来たッ!(by不死身の杉本)

この二人が本当に「それ」をするところまで描かれるのか,今時点に至っても半信半疑なのですが,赤坂アカ先生はどうやら本気のようである。本当に白銀御行の麒麟が来ちゃうのかしら?(ピーン!)

 


とはいえ一体全体この後どうなってしまうんだろうね。ちょっと想像つかない。
いざことに至る直前に無粋なオヤジが帰ってくるのでしょうか。そんなキムチみたいな展開はそれでそれで議論になりそうですし,特段邪魔が入らない限り事に至るまで進むしかないようにも思えますけれど。


青年誌に掲載されているラブコメなのにパンツ一枚描いてこなかった作品が,とうとうここまでやってきたのかという感慨深さすらある。「かぐや様は告らせたい」も,ついに青年誌への一歩踏み出すのかしら。

 


え〜?本当にぃ〜? と思いつつドキドキが止まらないのである。

というわけで以下次号!まる

 

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*画像は週刊ヤングジャンプ2021年第13号 『かぐや様は告らせたい』208話,『スナックバス江』第174話より引用しました。