さてと。『かぐや様は告らせたい』第216話の感想です。
なんとかれこれ1ヶ月ぶりです。この感想が無事投稿されているということは,「動いている...ボクの心臓はまだ動いているぞ」(by三杉淳)ってことですね。ヨカッタ。
冗談はさておき,久々の感想である。かぐや様は当然のように毎週読んでいますし,感想も書きたいな~と思いつつ,感想更新前の週の前半がめっちゃ忙しくてですね。なかなか書けませんでした。無念である。
(以下読み飛ばして差し支えない部分です)
そんな僕の近況とかどうでもいいんですけれど,最近のお気に入り漫画は「葬送のフリーレン」です。突然別の漫画の話で申し訳ないですが「前フリ」と思って読み流してください。いや,面白いよねぇ...これ。
めっちゃ派手な描写があるわけでもない。でもその登場人物の生き様とかに惹きつけられるわけですが,それに加えて凄いなぁというのはお話運びと言うかセリフ回しですよ。ファンタジーってどうしても設定とかもろもろ説明的な要素を入れないと読者を世界観に引き込めない部分があると思うのですけれど,登場人物のセリフ一つで世界とか人物がどんな存在なのか表現できているのが凄いと思うんですよね。
例えば今週の「葬送のフリーレン」のフリーレンのラストのデンケンの言葉なんかも痺れるんですよね。たった一コマのセリフで勇者一行の魔法使いフリーレンの凄さを言い表している。そしてそのラストのシーンによる余韻。これがねえ,なんとも僕好みなんですよ。じんわりと「面白れぇ!」って感情が湧き出てくる。そんな作品です。
そしてもう一つ好きなのが週刊連載時の柱に載っている「前号まで」でまとめられているこれまでのあらすじですよ。限られた紙幅でこれまでのあらすじを紹介するわけですが,その末尾はだいたい前回のセリフからチョイスされています。これがなんともクスリと面白い。担当編集者は妙な遊び心があるなと感心してみたり。
そんなわけで(長い前振りだった),前回も描けなかった感想の代わりにフリーレンの前回のあらすじを模させて導入にしてみようと思ったんだけれど,いやこれ難しいわ。
【前号まで】
家柄良し,将来を期待された秀才が集う秀知院学園。その生徒会で出会った四宮かぐやと白銀御行はたがいに惹かれあう。が,プライドが高い二人は"如何に相手に告白させか"ばかりを考えていた。そんな恋愛頭脳戦を繰り広げてきた二人だったが,苦難のはて付き合い始める。前回は「いくら出せば黙っててくれますか...?」。
ムズい。
何が難しいって,要約するところがとても難しい。最後は前回のセリフの中からすっとぼけた印象の残るものを抽出すればいいんですけれどね。仕方がないからコミックス21巻の前説を一部要約させていただいたんだけれど,あんまり面白くなかったですね。サンデー編集部・フリーレン担に修行をつけてもらう必要がありそうです。
というわけで(どんなわけ?)本当に読む必要が無かった前フリはここまでとして,『かぐや様は告らせたい』 第216話の感想です。
近刊コミックス 【単行本】
伊井野ミコは羨ましい
すでに周知の出来事ですが,御行とかぐやのお付き合いが公になってしばし時が経ったと思われし今日この頃。すでに新任教員にまでセッ...クス(言えた)をしていることまでバレているとなればもはや怖いものなしです。所かまわず盛りまくるのが陽の者,約束の地カナンにたどり着いたカップルの権利です。
昼休みともならばお手製の弁当をいそいそと差し出し,彼の口にそっと卵焼きを運ぶ。その弁当はいつか見た白銀御行特製卵焼き・タコさんウインナーを要した弁当とくりそつです。さすがは婚家の味にいち早くなれようとする出来る女・四宮かぐやらしいこと...ってやつです。
しかし光もあればまた闇もある...
長き恋愛頭脳戦(?)の彼方に成就した熱い二人の愛が存在するとしたら,一方で傷心の想い人に告白することもできず陰の者として闇に潜む存在もあるのであった。ていうか,伊井野ミコだった。
はしたない,とか窘めつつわざわざ二人っきりになっている屋上までいって覗き見ているのはお役大事な風紀委員だからだろうか。さりとて清く明るい男女交際を取り締まってはただ彼氏がいない者の僻みとなす。信念と羨望。二つの気持ちが混在する伊井野ミコとしては,ただその場を立ち去るしかない。老兵は死なず,ただ去るのみってやつですよ(違)。
そんなバカップルに対する羨望の気持ちがつい,ただ漏れてしまう。
だって...女の子だもん。
貧弱貧弱ゥ!な石上の食事を見て,かーーー!わっしも愛しの石上に弁当でも作ってやりてぇなあ(意訳)なんて気持ちがただ漏れてしまったのが運の尽き。決して気持ちを知られてはいけない
藤原千花は助けたい
藤原千花。
ここまで無二の親友であるところの四宮かぐやと,可愛い後輩の石上優の恋の結末に全く関与できなかったラブ探偵です。なんて顔...してやがる..藤原ァァァッ!ってくらい悪い顔してやがりますね。楽しそうだなぁ...
問い詰めるラブ探偵に対して韜晦する伊井野ミコ。
まあ仕方がないですね。これまでの実績が実績だけに,藤原千花という人物に対する評価が地に落ちているのはやむを得ないことです。なまじ恋心なんか知られた日には,どんなおもちゃにされるか分からない。
しかし豈図らんや,案外と藤原千花はまじめにミコちゃんの恋を応援しているし,助言する気持ちがあるのであった...。意外ッ!それは本気ッ!思わず千花の目にも涙ってやつですよ。
実際,ほどんと察せられているし?
状況証拠は全部抑えられているし?
そう考えると否定することの意味もないし,頼れる先輩味方になってもらったほうがいい...と,思うじゃん?(よねやん先輩)
なんて顔,してやがる...伊井野ォォォォッ!
真人も宿儺もビックリのゲラゲラ展開です。なるほど,そうくるか。かつて,白銀御行と四宮かぐやも通り過ぎて行ったあの道を伊井野さんも辿ることになるのか...。
読者的にはこの感情は分かるけれどもこと恋愛に持ち込む場合には「面倒くさい」し「益なし」であることは天才たちの恋愛頭脳戦(笑)で散々見てきたから知っています。長らく面倒くさい二人を眺めてきた読者には一目瞭然ですね。これ,伊井野ミコは自分から「好き」って告白できないタイプだ。
伊井野ミコは挑みたい
それは藤原千花の助言を受けた後の行動からも見て取れる。
伊井野ミコは「良い子」ちゃん。法を守り,ルールを守り,清く正しく美しく生きてきたわけです。だからこそ,失恋の痛みにある石上優につけこむことなく冷却期間を置こうと思ったり,相手(石上)の気持ちを慮っていこうと思っていたわけです。
そこにぶつけられる藤原千花の助言が草ァ!その例えが的確過ぎて草ァ!
余りにも説得力がありすぎる事例の前に,我々は再びある事実を思い出させられる。そう,恋愛は戦!単純にして明快なことをラブ探偵は伊井野さんに気づかせてしまったわけですね...。なんてことしてくれたんだ,藤原。
- 「心の整理が付いて恋愛できる状況になった時にこの人と付き合いたい」という関係性の構築。
- 異性として意識させる,恋愛ターゲットとしての認知。
- その中でも優位なポジションをとるための好感度アップ!
助言そのものが的確過ぎて否定できない事実なんだけれど,そこから生み出された
なんだ...急に術力が向上して....?
「良い子」でいなければならない
恋愛感情を伝えるほどでもなく,かつ自分を「女」として意識させるアプローチ。かつ周囲の情勢に「私は石上と皆さんと異なる距離感で接していますよ」というアピール。この「やだ」,からーの「一緒に行こ?」がお可愛すぎる。
なんて顔,してやがる...伊井野ォォォォッ!(二回目)
その爆弾発言を放った伊井野さんの顔が見えるのは唯一ターゲットたる石上優だけ。読者にもクラスメートにも見せないその表情はどんな顔をしていたのだろうか。
良い子の仮面を恋愛では外してもいい。こうなった時の伊井野さんはつよつよですよ!言うならば轟焦凍が冷だけではなく炎の力も使うようになったようなものです。まさに,「伊井野ミコ:オリジン」である。
この行動が伊井野さんにとって都合のいいことは,先に藤原さんが示した3つの要素(関係性の構築・恋愛ターゲット認知・周囲への牽制)を確保するために,恋心を明かすことなくアプローチできるところです。
前章で推測したように,伊井野さんが自分から好きって言えない・告白できないタイプであるならばどうしたらいいか?相手から告白させればいいんだよ!
Re:ゼロから始める天才たちの恋愛頭脳戦
恋愛頭脳戦,再びである。
かつて冠タイトルに添えられる形で挙げられてたこのキャッチフレーズが,ごみ箱から再び蘇って登場する予感がします。
そもそも伊井野さんの立場は四宮さんとは大きく異なります。裏主人公と裏ヒロインという立場に位置付けられ,将来はカップリングすることが予測された二人でありますが,そもそも表の主人公二人と違って伊井野さんにはハンデがある。そもそも石上が伊井野さんに恋愛感情を抱いていない,という点です。
伊井野さんはまず自らを相手に「惚れさせなければならない」。惚れさせた後に初めて「相手から告白」というプロセスに移れます。伊井野さんの立場は四宮かぐやじゃない。白銀御行だったんだよ...! ここからの恋のプロセスは見ものやでぇ...!
さぁ,盛り上がってきました!
人はなぜラブコメを読むのか?
そこにラブコメがあるからだ...みたいな陳腐な答えもいいでしょう。
しかし敢えて掘り下げて言えば,そこに恋愛の駆け引きが,プロセスが,物語があるからだよ。恋愛成就は恋のゴールではない。むしろ成就してからが長いけれど,恋愛で最も面白い時期はやはり「くっつきそうでなかなか結ばれない,そんな恋が実るまで過程」なのです。
いま一級魔法使いに最も近いと言われる魔法使い・デンケンも,かつて魔王を倒した勇者一行の魔法使い・フリーレンも言っています。
"恋愛というものは恋が実るまでの過程が一番楽しい"
まさしく至言ですね(言ってない)。
伊井野ミコの戦いがどうなるのか。楽しみで仕方がない...ってところで,今回の感想はまる。
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