現実逃避

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『かぐや様は告らせたい』 第222話 四宮かぐやの無理難題「仏の御石の鉢」編⑦ 感想 : 大仏こばちのアビス... の巻

 

 

さてと。『かぐや様は告らせたい』第222話の感想です。

 

前回,意外な形で石上を巡る恋の当事者に躍り出た大仏こばちさん。

 

「永遠の愛」の存在を否定しつつも,石上の気持ちの変化に怒りを掻き立てる姿は「永遠の愛」というものが存在していてほしいという期待の表われにしか見えませんでした。そしてなにより,自身が石上優に抱き続ける「好き」という感情。

 

本人が恋であることを否定しつつも,それが「真実の愛」であることが明白であることが垣間見えたところでの伊井野さんとのハプニング的な喧嘩別れ,と言うのが前回までのお話。それを受けての222話ですが,ふむ,なるほどそういうことじゃったか...と合点がいった次第ですよ。

 

 

  • なぜ,それなりの距離感で接してきた石上と伊井野さんが険悪な関係に至ったのか。
  • なぜ,大仏こばちは伊井野ミコと石上の恋を推すことができなかったのか。
  • なぜ,本シリーズは「仏の御石の鉢」編だったのか。

 

前回のお話に繋がる形で示された「解答編」となる今回,第222話感想です。

 

 

 

 

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大仏こばちは重ねたい

 

伊井野ミコと風紀委員という繋がりの中で,大仏さんと伊井野さんとかかわりを持つようになった石上優。

 

石上が,その持ち前の「頑張っている奴を馬鹿にする奴は許せない」という信念に基づいて伊井野さんを支えていたのかと思っていたのですが,より直接的なキッカケが別にあったわけなのね。

 

 

風紀委員という嫌われる役回りを続ける伊井野さんに対する疑問とそれに対するミコちゃんの答え。正義の邁進と言う理想の旗の下,「皆がルールを守れば皆が楽しくなれる」「そのための汚れ役なら受け入れられる」という信念。その開示に対して,石上はそのスタンスに賛同したわけだよね。陰ながら応援することにしたんだから。

 

 

 

大仏さんは石上の「陰ながら伊井野さんを支える」という姿に”見返りを求めない優しさ”を見出したわけだ。上っ面ではなく行動の中身で。その行動の源泉となる信念を評価するからこその「支え」だったわけです。

 

それこそ大仏こばちにとっての恋愛観。上辺ではなく「中身を評価する」という姿勢とマッチしていたわけです。見た目とか周囲の評価とか,与えられた分の見返りを求められる愛とは隔絶した純粋な愛。きっと大仏さんは石上のその姿勢に自分の恋愛観を重ねていたわけね。

 

それは結局のところ恋に恋しているだけなのかもしれないけれど,そうやって陰ながら伊井野さんを支える姿に石上の誠実さを,上っ面ではなく中身を評価する姿に自らの理想的な愛を重ね合わせてきた。

 


 

それが彼女の言うところの「恋じゃない好き」

 

まあそうなのかもしれない。結局のところそれは価値観の共有に対する感情です。厳密には恋ではないのかもしれない。でもそんな石上の姿をみて「こういう人と一緒になりたい」「こういう人に好きになってもらいたい」という気持ちを抱くに至ったのであれば,やはりそれは「恋」だったんだろうなと思ったり。

 

 

大仏こばちは諦めたい

そうした「石上優を見ていた」大仏さんの恋は,ある日唐突に終わりを告げる。

 

石上優が見守り続けてきた伊井野さん。

その伊井野さんが相手に気づかないまま「守られていること」に気づく。

 

 

そうなった時に,「物語として綺麗」というどこか客観的な理由で彼女は引いてしまった。救いが必要なのは自分じゃなくてミコちゃんであって,石上は伊井野さんを救っているのだから。救われていることにミコちゃんは無自覚ながら気づいたのだから。

 

ステラの栞によって「陰ながら見てくれている人がいる」と気づいた伊井野さん。そのことに喜ぶ姿に,実際に救われた伊井野ミコという現実を大仏こばちに突きつける。

 

相手が石上であるということが分かっていないことはこの際大きな問題ではない。実際にその贈り主が石上優であり,その石上の行動によって伊井野さんは救われたんだから。それはもし,送り主が石上だと分かれば伊井野さんはきっと石上に感謝しただろうし,もしかしたら石上に恋したかもしれない。この時点において。

 

 

 

そんな2人を「見ていた」大仏さんからしてみれば,それはもうそれだけで自分の関わる場所なんて無いと思うのも仕方がないですよ。石上が陰から支えているのは伊井野さんであって自分じゃない。ステラの栞で支えられて救われたのは伊井野さんであって自分ではない。

 

 

その現実を突きつけれたからこそ,大仏さんは「降りた」わけだ。当事者二人に気づかれることもなく。なるほど。

 

 

大仏こばちは認めない

こうして中学時代からの流れを見ると,伊井野さんと石上の関係は高校当初にみられたような険悪な関係ではなく,それなりに相手を陰ながら気にかけながら支えあっていたわけなんだよね。

 

それが崩壊したのは例の荻野の一件である。

 

  • 石上に「お前は関係ないから」と拒絶されて
  • 拒否されて反射的に石上に反発してしまって

 

それ結果,二人の関係は「断絶」してしまった。それは単なる断絶ではなく,大仏さんからすれば「裏切り」に近い断絶だったわけだ。

 

それこそが大仏さんが伊井野さんを「推せなくなった」理由

なるほど。前回,伊井野さんを推せない理由をアレコレ筋の通らない話をしたうえで,自らの嫉妬交じりの発言であったことを匂わせた時には「やや動機づけが弱いな」とおもったんですよね。こうした背景があったから,というのであれば合点がいくわ。

 

 

大仏さんの視点からすると,これまで石上は伊井野さんをきちんと「見て」陰ながら「支えて」くれた。そんな背景があるにもかかわらず,石上をきちんと「見ない」伊井野さんが嫌。石上が苦しい時に「支えない」伊井野さんが嫌。

 

なぜ伊井野ミコは石上優を信じないのか。それが解せない,許せない。

 

 

だから大仏こばちは伊井野ミコを「推せない」

 

大仏さんからしてみればこれは伊井野さんの石上に対する裏切りである。相手が苦境であるからこそ相手を支えなければいけないのに。結局,伊井野さんは石上優の上っ面をみて「中身を見なかった」のか。そう思ってしまったら彼女の価値観からすれば伊井野さんは推せるわけもない。

  

 

 

考察:大仏こばちは「見ていた」か

 

そんな心情吐露からの,大仏こばちの本音。

 

 

「ミコちゃんのポジションに私がいたら絶対に...」

 

うむ。切ないな...

目の前に存在する彼女の理想の男子,自分だったら絶対に信じてあげるのに。絶対に支えてあげるのに。そんな想いが伝わってきます。

 

しかしまあ,この辺り彼女も自覚的ではあるのですが「自分もまたそうしなかった」という事実も存在するんですよね。自分の想いを伊井野ミコに託して相手がその通り動かなかったから拗ねる。そんな見方もできるわけで,大仏さんが支えたかったら陰から支えてあげればよかったんじゃね?という部分はやはり残るのです。そういう意味で単純に切ないなあ...じゃすまないものがある。

 

 

とはいえ,彼女が何もしていなかったわけじゃない。

当初より荻野事件の真相に疑問を抱き,石上優は言われているようなひどい人ではないのでは無いかという前提で石上を見ていました。(第75話・コミックス第9巻 85話より)

 

 

何もしていないということではなかったと思うのです。

 

 

 

それは伊井野ミコさんも同じで,彼女もまた何度も何度も先生に掛け合って石上優に対する処分が理不尽と抗議をしていたわけで。(第79話 コミックス9巻 89話より

 

 

石上に拒絶されて子どもじみた反応を見せたように見えたミコちゃんですけれど,きちんと石上のことを庇っていたんですよね。

 

石上がきちんと言われた課題を提出していたという事実。その事実をきちんと「見て」,学校の基準と照らし合わせたときに彼に対する処分は不当である。「皆がルールを守れば皆が楽しくなれる」という彼女の正義の信念と照らし合わせてもそれは正されるべきことだったからこそ,石上を正当に評価するように主張したわけで。

 

それは大仏さんが求めた「石上優を信じる」「陰から支える」ということと同義ではないかもしれない。でもやっぱり繋がるものはあるんじゃないかしら。

伊井野ミコは石上を信じていると言えないだろうか。

大仏こばちは石上優を支えていたと言えないだろうか。

 

 

考察2:すれ違いの恋だから

 

この恋にはいくつかすれ違いがある。

 

  1. 大仏こばちは石上優を「見てきた」し「支えている」
  2. 伊井野ミコは石上優を「見てきた」し「支えている」
  3. 石上優は伊井野ミコを「見てきた」し「支えている」

 

その状況下において,いくつか開示されていないことがある。

 

そもそも荻野事件において伊井野ミコを遠ざけた理由

単純に,大友京子を守ろうとした自分の正義感の空振りとその後の展開に対する動揺があったのかもしれない。しかし,伊井野ミコをこのトラブルに巻き込ませないようにしようという心理が働いていたのかもしれないじゃないですか。

 

そしてあんな別れ方をしたうえで伊井野さんが石上を正当に評価させようとした理由

単純に,伊井野さんの正義感が成せる業だったのかもしれない。しかしもしかしたら伊井野さんは石上が自分をトラブルに巻き込ませないようにしようとしていたと気づいていたのかもしれないじゃないですか。

 

確かに伊井野さんはこんな反応しているけれど,実際のところ裏ではきちんと石上を庇っていたわけですしね。

 

 

本当に「関係ないならどうでもいいよ」と思っているなら改めて石上を庇う必要は無いでしょ。実際には石上に突き離されて悲しかったんだよ。それでも自身の正義に対する気持ちから,石上を間接的に庇いに行っているわけじゃん。「良いと思っていない」から悲しかったし,それでも庇った。そうじゃないのかしら。

 

みてください,この顔。大仏さんに上っ面の友達と言われた時と同じ顔しているじゃん...。そう考えると直前の伊井野さんと大仏さんの喧嘩の際の反応も解釈が変わります。きっと伊井野さんは傷ついているし,どこかで泣いているに違いない。

 

 

閑話休題。

そして,「ステラの栞」の秘密

 

伊井野さんは生徒会やら骨折支援やらの出来事で石上優の筆跡を知っている。穿った目でみないかぎり,ステラの栞が入っていた封筒の筆跡と一致していることには当然気が付くはずである。もし石上優が自分を支えてくれた居た事実に「気づいていた」のなら,それは彼女が石上に改めて恋をするだけの十分な理由にならないか。

 

そんなところまでは大仏さんはまだ見えていないわけであって。

今回の心情吐露にある前提がどこまでが正しくて,どこからがまだ不明なところなのか。これは次回以降のお話を見てみないと分からない。

 

 

そして何よりもの疑問は当の大仏こばちについてである。

石上優は大仏こばちが見ていたことに気づかなかったのか?という点である。

 

聡い男である。

相手を見守り,支えることができるいい男。あの秀知院難題美女にして「外面ではなく内面を見られる人と恋したい」と思う大仏こばちのお眼鏡にかなった男である。そんな男が大仏さんが石上を見ていたことに気づかなかった...などということがあるだろうか。

 

証拠はない。

だけれど石上優は「内面を見る男」であり,大仏こばちのこともきちんと「見ていた」と思うんだよな。それはこの案件から推定できる。(第156話 コミックス第17巻 166話より

 

 

団長が大仏さんに振られた時のお話で,団長は秀知院難題美女の4人の一人として大仏こばちを挙げているですけれど,それに対して石上は「一人おかしくないです?」と反応しているんですよね。

 

これ,端的には大仏さんの「外面を」きちんと見ていないということであるんですけれど,逆に言えば石上は大仏さんのことを外面ではなく「内面で」評価している可能性があるんですよね。彼女の良いところは上っ面ではなく内面であると。

 

 

であるならば。であるならばだよ。実際には

 

  1. 大仏こばちは石上優を「見てきた」し「支えている」
  2. 伊井野ミコは石上優を「見てきた」し「支えている」
  3. 石上優は伊井野ミコを「見てきた」し「支えている」
  4. 石上優は大仏こばちを「見てきた」(可能性)

 

ということかもしれないじゃないですか。

ていうか,むしろそうであってほしいですね。読者が面白いから(おい)

 

 

大仏こばちの少女のアビス

 

大仏さんは言います。

 

 「好きって執着ですよ」

「いつまでも引きずっちゃうんです」

  

  

本当にね。完全にそれは四条眞妃ちゃんの「世界ザ・ワールドじゃないですか。

好きだからこそ執着する。好きだからこそ諦められない。だからこそ彼女の無間地獄は続くわけなんですが,その理由は何度でも言いますが「気持ちに決着をつけなかったから」です。

 

自らの好きという想いを。相手に対する気持ちを伝えることなく終わってしまった恋。それだからこそ終わらない少女のアビス。大仏さんもまた,同じ立場になるのか...。

 

 

否である!

 

石上と伊井野さんの恋は未だ決着したに非ず!

まだ彼女が自分の素直な想いを伝える機会は残されているのである。

 

恐らく行動に移すには既に一手遅いのは分かります。

石上優が伊井野ミコとは何なのか「認識」した今,大仏さんに同じ認識が向けられていない以上どうにもならないでしょう。何より石上と積み重ねてきた重みが違います。それは彼女が「一歩引いてしまった」ところから生じているハンデです。

 

 

恋する乙女を前にして,四宮かぐやがどう反応するか。

 

彼女は恋愛は戦と知る人間である。その長い長い恋愛頭脳戦の果てに,ようやくもぎ取った勝利がある。石上優を最後まで挑戦させたように,大仏こばちに対してもまた挑戦を促すのではないか...。そんな気がしますね。

 

石上が子安先輩に想いが伝わらなかったように,大仏さんの想いも通じる可能性は限りなく低い。少なくともどの程度石上が大仏さんを「見て」「評価して」来たか不明です。恐らく伊井野ミコを上回ることは無いでしょう。

 

 

しかし今なら想いを伝えることは出来る

 

 

自分の気持ちを伝えて,しっかりと恋の決着をつけることは出来る。

そうすることで大仏こばちは「少女マキちゃんのアビス」を回避できるのではないか。そのミッションこそ「仏の御石の鉢」だったのかもしれないな,とか思ったり。ということで,今回の感想はまる。 

  

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