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『かぐや様は告らせたい』 第229話 Adolphe Pescarolo は守りたい 感想 : 子どもを守るために教師にできること...の巻

 

 

さてと。『かぐや様は告らせたい』第229話の感想です。

ついにここまできたか...229話おめでとうございます。(個人的感傷)

 

 

今回のタイトルは「Adolphe Pescarolo は守りたい」。前回の流れから打って変わっての子のタイトルに一瞬誰?ってなりますが,秀知院学園高等部の校長ですね。アドルフ・ペスカローロって発音するんだっけ。

 

校長といえば普段はのらりくらりとしていて何を考えているのか分からない,子ども心を持った「大人」として描かれていますがなかなかどうしてよ。物語の重要な局面に関与している人物でもあるんですよね。石上の進級しかり。生徒会への働きかけ然り。

 

一見いい加減に見える段取りも,裏付けられた狙いがある。秀知院学園もまた四宮家の一私物に等しい存在なわけですが,そんな四宮の名の下における教育の中で彼がもつ信念とは。四宮かぐやに対するその態度の裏が垣間見える,第229話感想です。

 

 

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四宮家は底知れない

フランス校との交流会ですが,1年前と違って今回の主催はフランス側です。いや,開催国がホストになるんじゃないの?という気もしなくもないですが,訪問してくる側が主催するとは返礼的な意味もあるのかの。当番制のようですが。

 

さてそんなフランス校の代表はと言えば,懐かしのベツィー!ベツィーさんじゃないか!

 

剃刀の舌を持つと言われながら,フランス語が通じなかったという自然防波堤によって白銀御行会長を切り刻みそこなった女です。というか逆に伝えるつもりのなかった四宮さんに伝わってしまったので,返り討ちに遭って地獄のような恐怖を味わったベツィーさんですね。あの日見た脅迫をベツィーは忘れない(あの脅)。

 

 

ふむ。

完全にトラウマになっておられる。かぐや様世界ではどうなっているか分かりませんが,現状の本邦の経済力を考えれば国内随一の財閥とはいえそれほどの力があるのかしらんと思わなくもないですが,なんかこうベツィ―の言葉から滴る雰囲気から判断して四宮家とは単なる財閥ってよりもマフィアに近いんですかね。

 

かつて穏健派との抗争においては血で血を洗う事態となり,ついには死者を出すに至った故に穏健派の独立脱藩に至り「四条家」の創出に至ったことを鑑みれば,「四宮」が金と暴力の双方を肯定する組織として海外でも認知されているのは分からなくもないですね。

 

そうなんだよなあ...。

白銀御行が愛した女はそんな世界の住人なのである。それを「守る」ということがいかに途方もないことで,大変なことが伺える一コマだったりします。

 

 

ベツィ―会長は助けられたい

そういえば四宮と四条はフランス銀行の買収でも抗争を行って,四条が資本的には対等となったことで大騒ぎになったみたいな話もありましたしね。フランスでも四宮の名が知れ渡り,恐怖におびえているのも分からくもないことよ。

 

しかし四宮を怖れているから「手打ち」のためにパーティーをするのか...。その準備不足・不手際を補うために白銀御行が巻き込まれているのは笑ってしまいます。おいおい,その男はあなたが恐れている四宮かぐやの彼氏ですよ?何とも言えない空気感です。

 

 

「ちょと」とか言っているけれど絶対ちょっとじゃない。これ結局会長がほとんど引き受けざるを得なくなる前振りですよね。見える...見えるぞ...。御行が手伝いに奔走した結果,会長とのゆったり時間を奪われて激おこぷんぷん丸(死語)の四宮かぐやが見えるぞ!

 

まあそんな会長の優しさに「素敵...」ってなるところまで背中が煤けていやがるわけですが。そんな意味ではベツィーさんも多分に「許される」とは思うので心配いらないんですけれど,ここから校長の話に流れていくのがポイントですよ。

 

 

Adolphe Pescarolo は試したい

ふむ。

そういえばそうだったね。昨年は無理なスケジュールを無理やり組んで,白銀の生徒会長としての能力を測るようなそぶりを見せたアドルフ校長。とまあ一見そんな感じなんですけれど,実は...てのが今回の話の主題なわけですね。

 

 

試す。

生徒会長としての技量を測るというのは,まあ嘘ではないのでしょう。実際問題,この学校の生徒は優秀でかつ恵まれた環境で過ごしている者が多いですが,逆にそれが子供たちの学校生活を縛ることもある。

 

四宮家を頂点とする日本のクラースな方々が集うからこそ生じる問題。本来,家や大人とは切り離して考えるべきが学校生活にそうした「背景」に伴う序列や対立関係が持ち込まれることは周知のとおりである。

 

いわんや理事長が四宮黄光ということになれば,実質四宮家の私物です。四宮の意向に反する人物の排除や生徒の実家に対する影響力の行使は日常茶飯事であることは容易に想像がつくというもの。お父さんがカンボジアに飛ばされた人もいたしね。

 

そうした大人の人間関係が持ち込まれた時に,日ごろ権威や金銭で結びついている間柄は支配・被支配の関係から「当然あるべき問題解決をとることができなくなる」という異常状態を生じさせやすいわけですね...。

 

なるほど。そういう意味では白銀御行は実社会の権力構造の枠組みから外れた例外,故に生徒内でそうした忖度なしに動ける人物である。それゆえの期待,それゆえの試練をアドルフ校長は与えたというわけか...。

 

 

Adolphe Pescarolo は守りたい

そんなアドルフの本当の狙いは,四宮かぐやを守ること。ふむ...?

 

一般論として「外部権力に慮ることなく動けるか」という試練の裏にあったのは,四宮かぐやを守れる人間かどうかの見極めだったという訳です。たしかに四宮かぐやを巡る騒動や,彼女を守る話を教師サイド側の視点で第215話「大林ヒカルは守りたい」でも言っていましたけれどね。

 

 

当然,御行はその理由を問うわけですけれど,そこにアドルフ校長の教育理念が示される。人間,その人が持つ状況や背景,能力の中で勝負していくしかない。だが高校生である生徒たちはまだ自分がどこまでの能力と機会が与えられるか分からない。大人になればいや問うほど思い知る社会の制約,それを知るまでは子どもを守るのが彼の信条,教育理念だということなんですね。

 

石上に対する措置なんかも見てもこの言葉は多分本当だし,彼がそう思って御行に四宮さんを託しているのは分かるんですけれど。少なくとも御行だけなく,四宮かぐやもこの先どこまで自分に自由機会やその能力を行使する立場が与えられるか不透明ですからね。

 

それはそうなんだけれど。

ここに至って四宮かぐやという一生徒の運命に対してそこまで思い入れて御行に守らせようとするのは,なんかもうちょっと「裏事情」がありそうですよね。そう,多分彼は以前「守れなかったことがある」んだ。

 

 

 

四宮支配のこの学園において,高等部の校長を続けてきているのはこれまでの描写通りである。そしてこの年齢...。多分に長年高等部の教師として勤めあげてきたんでしょうね。

 

そうなるとその「守れなかった人」とは誰かと問えば,おのずから答えは出てくるであろう。四宮かぐやの母親,名夜竹さんである。

 

名夜竹さんは,四宮雁庵の妾として手籠めにされ,その結果かぐやが生まれている。ではどこで二人は出会ったのかとすれば,それは恐らく秀知院学園を通じてだったのではないかしら。世代的には当然四宮雁庵が理事長をやっていてもおかしくないし,あるいは当時から理事長だった黄光が雁庵に名夜竹を差し出した可能性すらある。

 

そんな彼女が「大人の権力関係」に巻き込まれてその意に反して手籠めにされたのだとしたら。教師としての矜持から彼女を守ろうとしたアドルフもまた,「大人の権力関係」のために何もできず見過ごすことになったのだとしたら

 

 

そういうことがあったのだとしたら,名夜竹の娘である四宮かぐやを何としても守りたいと思うんじゃないかしら。選択肢も自分の能力を拓く機会も与えられないまま大人に作られた運命に翻弄されるだけではない,「もがく機会」を与えるために尽力したのではないかしら。

 

 

そう考えると,前任生徒会長から白銀御行の生徒会入り・生徒会長への流れや,御行がそこで気づき上げてきた「強い人間関係」もアドルフ校長の教育的誘導が影響している可能性が高いよね...。

 

そんな妄想がちょっぴり浮かびつつ,いよいよ四宮かぐやを巡る最終局面が近づいているとともに,この物語の終わりもぼんやりと見えてきたのかな...と思う第229話感想でした。まる。 

 

 

  

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