さてと。『かぐや様は告らせたい』第261話の感想です。
おお。サブタイトルが「日常」じゃない!日常じゃないぞぉっ!
ここまで生徒会役員共,四宮さん,伊井野さんの日常で回してきたかぐや様。てっきりこのまま「日常」シリーズで最後まで回していくんじゃないかと思っていたのですが,ここでラーメン回か。ラーメン四天王最後の男,高円寺のJ鈴木登場です。
しかしまあ,今回のお話を読んでみても描かれていることはやっぱり「日常」なんですよね。作者並びに我々読者は一連のお話を「ラーメン回」として描き・読みますけれど,作中の藤原千花を眺めてみれば,そこにあるのは彼女にとっての「日常風景」に過ぎないんですよね。
だってそうじゃないですか。ラーメン回の基本構造は
- 藤原さんがラーメン食べたくなり,ラーメン屋に入る
- たまたまそこに「ラーメン四天王」が居合わせる
- ラーメン四天王は藤原さんの食い方に勝手に脳内で絡んでいって,ラーメン回が(四天王の頭の中で)領域展開される
てなパターンです。
藤原さんの主観的視点でみてみれば,お腹すいたからラーメン食べに来て食べた,それだけなんですよね。これは藤原千花の日常の物語。
そんな風に読んでみた,第261話の感想です。
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J鈴木は競いたい
そんな風に捉えてみると,ラーメン四天王回の最終局面であり満を持して登場した高円寺のJ鈴木との「絡み」が暖簾に腕押し,一方通行さんになっているのもわかるんですよね。
これまでのラーメン回の構図通り,四天王側と藤原さんは一切会話がありません。J鈴木の脳内で勝手にバトルが始まり,勝手にバトルが集結します。この構図は4回とも同じなので読者的にはあまり代わり映えがしないかもしれない。
逆に4回目ともなると,J鈴木側の脳内レスポンスが滑り気味にすら感じられてきます。
タクシーの運転手としての鈴木さんとは異なるその一面に,「お前ラーメン食うときはそんな面倒くさいやつなのかよ」というツッコミを入れたくなるわ,脳内で進行するバトルの一人相撲感に苦笑しちゃうわけです。元々ラーメン回はそういうギャップを楽しむお話なわけで,それは最後までいつものフォーマットでしたね。
藤原千花は食いたい
そんなJ鈴木の脳内バトルについてくるのはいわゆるモブギャラリーさんたちです。マガジン系漫画でよく見かけるバトルの解説をしてくれる名もなき観客さんたちですよ。
これがまたマガジンテイストで,「特効の拓か?」ってくらい今回はルビが多かったですね。ルビ大好きayumieさんとしてはシンパシーを感じましたよ。
そんな周囲の進行に対して最後「なんか周囲がうるさかったな」,これに集約されていると思うんですよね。藤原さんにとってラーメン屋の食事は「食べたかったから食べました」ってだけの話なんですよ。ラーメンバトルしているつもりもないし,人生の最後に食べる食事でもない。
気ままに過ごしている何気ない日常の一コマ
としての一杯のラーメンに過ぎないんです。
今回,サブタイトルに「日常」はなかったんですけれど,描かれていることは藤原書紀のある日の一食事にすぎなくて,これもまた日常シリーズの流れの中にあるお話だったんだろうなあ...などと思ったり。
「日常」シリーズは後日談なのか
第251話「かぐや様は告らせたい」において改めて二人の気持ちを確認した後って,基本的に物語を終わりに結びつけていく一連の過程のように思います。はっきりと後日談感が出たのは第257話「かぐや様は見送りたい 後編」からですけれど。
思うにメインのエピソードはあのヘリコプター上の告白で終わりとなっていて,今は緩やかにお話をたたむ感じで「物語の終わった後のエピローグ」を描いているのかなって。「日常」以降はドラマティックな変化を描くでもなく,淡々と過ぎていく毎日の一コマを切り取った風に描かれているのはそういうことなのかなと思ったり。
いろいろまだ読んでみたいエピソード,描いてほしい(読者の脳内の)ワンシーン,物語はあるかもしれませんが,それこそ「それはあなたの心のなかに」みたいなまとまり方になるのかもしれませんね。
僕はそんな穏やかなフィナーレもまたいいんじゃないかと思ったり。てなわけで,今週の感想はまる。
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