現実逃避

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「かぐや様は告らせたい」の感想を書いている漫画感想ブログ

『かぐや様は告らせたい』 第267話 伊井野ミコと石上優の最終回 前編 感想 : 恋愛は戦!先に好きになった方が負けなのである!...の巻

 

さてと。『かぐや様は告らせたい』第267話の感想です。

 

弊ブログ,割と連載初期の頃からかぐや様の感想を書いている方であると認識しているのですが,「かぐや様は告らせたい」が一つのコンテンツとして大きくなり,メディア展開やイベント展開など間口が広まっている中であまりアニメとかイベントとか追えていないんですよね。

 

アニメも第1期は全部見られましたし,実写版の映画も2本とも映画館で見ているんですけれど,なかなかいい歳した社会人ともなるとアニメを全部視聴する時間が無かったり,イベントに参加するには躊躇したりしてしまったり。そういう意味では漫画原作に対する感想一本鎗で作品を追いかけている感じです。

 

ファンアートとかが描けるわけでもなく,作品ファンとしては全然コアじゃないと思うんですけれど,なんのかんので物語終了まであと5話まで迫りました。オールドタイプらしく最後までテキスト感想で作品を応援・見送りたいと考えております。

 

 

とまあ,前振りが長くなりましたけれど,第267話です。ついに来たか...伊井野ミコと石上優の最終回。それぞれ別視点でお話を進めるかと思っていましたが,二人一緒でやるのね。まあ尺が足らないって問題もありますからね。

 

となると残りは,こんな感じの構成でしょうか。

 

第268話 伊井野ミコと石上優の最終回 後編

第269話 藤原千花の最終回

第270話 四宮かぐやと白銀御行の最終回 前編

第271話 四宮かぐやと白銀御行の最終回 後編

 

あれ,白銀父や四条帝の最終回は無いのか...(そらそうよ)

1年生夏もやると以前赤坂先生は呟かれていたように記憶していますけれど,第270-271話あたりでお話に含めていくんですかね。

 

そんな終わりが見えてきた中で,久々の「かぐや様」らしさを感じた第267話の感想です。



 

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伊井野ミコは組閣したい

さて,大仏さんの最終回において無事満願成就して生徒会長に選出された伊井野ミコさんである。かつて正義に邁進した秀知院学園の風紀委員は,無事秀知院学園の生徒全体を考えられる会長に進化したわけであります。

 

そんな進化した伊井野ミコさんですが,残念ながら課題山積です。伊井野さんの進化はあまりにも早すぎた。「君は,ついてこられるだろうか 進化した伊井野ミコの世界のスピードに」(*かぐや様第49巻巻頭より)って奴ですよ。(*嘘つけ)

 

生徒会役員候補がいない。

これまでの布陣のうち,会長・副会長・書記の3名が3年生なので引退。伊井野さんの友人関係では大仏さんは最初から降りることを宣言していますし,生徒会選挙を共に戦った強敵はポンコツです。奉心祭以降マブダチとなった小野寺さんに至っては柄じゃないと切って捨てられました。

 

だってよ...! シャンクス!....役員がっ!!

 

麦藁のルフィのように絶望の声を上げる伊井野さんが目に浮かびます。

考えてみれば伊井野さんの成長の中心は旧生徒会役員共との関わりや,彼女の限られた友人関係の枠組みの中で行われました。もとより交友関係が狭かった故の悲劇です。

 

 

伊井野ミコは追いかけたい

いやいやいや。でもよ,こんなんおかしいじゃないか!もう一人いるだろ!「石上優」って男が。

 

石上優。

生徒会役員共の一員としてこの1年苦楽を共にしてきた男である。行き違いから対立してきた時代も遠くなりにけり。既に石上優とは信頼関係もあり,昨今は男女の仲として見てもいい雰囲気の二人である。

 

生徒会役員という枠組みの中で,ある種人間関係が固定化している状況の中,それだけ二人の関係が進化していれば当然,石上優は伊井野ミコを支えてくれるものだと伊井野さんは考えていたわけですよね。

 

この辺り,白銀第2期体制役員人事との対比がみてとれます。

副会長に当然任命してくれると思っていたかぐやさんが,なかなか指名してくれない白銀会長にドギマギしたあの構図においては,任命権者の白銀会長は当然指名する前提で動いていて,その内示が来るまでかぐやさんがやきもきするという展開でした(第59話より)。

 

ですが今回は違います。

任命するつもりだった伊井野さんに対して,石上優は生徒会を離れることも含めて「考え中」というわけです。任命される側じゃなくて任命する側の会長(伊井野ミコ)の方に「弱さ」がある。

 

完全に追いかける側は伊井野ミコであり,選択権は石上優にある状態なんですよね。これが白銀・四宮カップルとの大きな違いです。

 

今回のお話では伊井野さんが

 

「私に会いたいって思うべきでしょ!」

「まあ私はどっちでもいいけどね!!」

 

といった,四宮かぐやを彷彿させる表情をみせてくれてこれはこれで微笑ましいわけです。伊井野さんの妄想の中の石上のリアクションといい,この空気は「かぐや様を読んでいるなぁ」というワクワク感を思い起こさせます。

既に脳死状態である「恋愛頭脳戦」を思い出してはニヤニヤしちゃうんですけれど,でも今回の伊井野さんのソレは本質的には会長らのそれと違いますよね。

 

四宮かぐやと白銀御行はお互いがお互いを好きな状態の中で,いかに相手に告白させるかという部分で「勝ち負け」をしていました。それに対して石上優は,心の中では伊井野ミコのことを好きだし追いかけたい気持ちはあるんだろうけれど,それを表に出していません。だから伊井野ミコの一方的な「追いかけ」に見えてしまう。

 

それが貴方のいいところ ~天才たちの恋愛頭脳戦~

でもそれは仕方がないんです。

本作第1話から物語の本質は語られています。

 

 

恋愛は戦!
先に告白好きになった方が負けなのである

 

 

伊井野さんの素直な気持ち。

自分には石上優が必要であるというのは冗談でもなく本当のことです。

 

振り返ってみれば,石上優は最初から伊井野さんのいい所を認めて来て,それを陰ながら支えてきました。行き違いにより色々ありましたけれど,本質的に伊井野ミコの良いところは認めたところからスタートしています。

 

それに対して伊井野さんは石上優のいいところを認識しつつも,行き違いにより一度は評価を覆し,マイナスから石上との関係を再構築してきました。その過程はこれまでの物語のとおりであり,現在の関係まで至ったのは伊井野さんの進化の結果です。

 

石上優の良いところを少しずつ見つけ直し,そんな彼の良さに惹かれていった。石上はある一定のラインの好感度をもちつつも緩やかに関係性を進めてきたのに対し,伊井野さんはこの1年で急速に石上優に対する好感度を高めてきたのです。その急角度たるや常願寺川か?ってなもんですよ。恋愛の速度が違うんです!

 

 

だからこそ,いじめを受けている下級生に対する石上の対応に素直に心打たれるわけです。

 

かつて石上本人が味わった理不尽な周囲の反応。そんな中すりつぶされ続けてきたプライド。そんな彼の心を救ってくれた,白銀御行ら生徒会や応援団の先輩たち。そんな自身の経験が,先輩たちが自分にしてくれた行為が石上優の糧になっている。だから通りすがりに見かけただけの下級生に対しても,そのいじめの原因を掘り下げ,それを救おうとすることができる。

 

そこに,伊井野ミコは石上優の成長と,白銀御行ら尊敬する先輩から受け継がれた「黄金の精神」を見たわけです。(石上の奇妙な冒険 第4部)

 

 

 

だからである。

そんな石上だからこそ,生徒会の一員として引き続き共に力を携えてやっていってほしい。いや生徒会一員としてではなく,他ならぬ自分自身の支えになってほしい。

 

思わず零れた「私には 石上が実が必要 ...なの」という言葉は,彼女自身がいみじくも認めるように「告白そのもの」である。傍から見ても告白に見える。それは彼女にとって心の底からの本心であり,羞恥心も駆け引きも無く出てきた真の言葉である。

 

恋愛は先に好きになった方が負けである。

そのようにして始まった恋愛頭脳戦のもう一つの結末としては,伊井野ミコは負けを認めたに等しい状況である。でもそんなことどうでもいいくらい,伊井野さんはこう思っているに違いないのです。

 

 

...それくらい好きになっちまったから

だから...きっと,もうどうしようもねぇんだ...

 

と。

 

 

Re : 石上から始まる恋愛頭脳

 

というわけで,ほとんど告白に近い状態での第267話の引き。いやぁ,久しぶりにワクワクしましたね。恋愛はやはり成就するまでが一番華があるよなあ...というのを実感したところです。

 

で,言われた方の石上ですよ。

これまで石上の感情の動きはほとんど描かれていないんですよね。ある時点まで石上はかなり伊井野さんのことを意識していて,恋愛的にも距離を詰めることも含めてあれこれ気持ちが揺れ動いていたわけですけれど。

 

それが夏休みの「語学留学」あたりから,急に石上の伊井野ミコに対する気持ちが描かれなくなったんですよね。夏休みに距離を詰めるでもなく,生徒会選挙が終わっていよいよ伊井野体制になったところでも生徒会に率先して参加しようとするでもない。

 

逆に自らの力を高める方向に力を注いでいる(語学とか勉強とか)。まあ多分にですけれどね。会長をなぞらえている部分はあると思います。2つの意味で。

 

「伊井野ミコのことが好きである」という肯定的感情があるというのは大前提なわけですけれど,それに対して石上がどう考えたかである。きっとかつての白銀御行のように考えたんじゃないかな。

 

少なくとも自分はこれまで全力の努力をして「結果を出し切った」わけじゃない。四宮かぐやによる無理難題は未だ達成できていない。努力はしたけれど成績という形で結果を出せているわけじゃないんです。

 

かつて白銀御行は四宮かぐやに並び立つ男となるために必死の勉強をしました。その結果,学力一本で四宮かぐやの頭の上に立ち,「四宮かぐやの隣に立つにふさわしい男」として他者に認められる存在となったわけです。

翻って,石上はどうかと言えば,まだそうした結果を出せていません。いうまでもなく伊井野ミコは学力においても入学以来学年1位を取り続けている「結果を出した女」です。直近では生徒会長選を勝ち抜き,生徒会長に就任している。

 

それに対して石上優はまだ何も結果を出せていません。だからじゃないかな。石上が伊井野ミコを支えたり恋仲になったりする方向で努力をするのではなく,己を高める方向に進んだのは。石上優は「伊井野ミコに並び立つ人間」になりたいんですよ。これが第一の要素。

 

そしてもう一つは当然,「恋愛は好きになったものが負けである」という恋愛頭脳戦の構図ですよ。かつて白銀御行と四宮かぐやはお互いの好意が見え見えの状態にもかかわらず「相手に告白させる」ことに固執しました。それは持たざる自分に対する不安感,相手から承認されることによって得られる安心感を得たいということが背景にあったわけですけれど,石上優がそんな風に考えても当然おかしくない。

 

伊井野ミコに比して持たざる自分。並び立つにふさわしい実績を持たない自分。そんな心と,加えてちょっとしたプライドと,諸々加味されて得た結論が「伊井野ミコから告白してほしい」という気持ちだったんじゃないかな。これが第二の要素です。

 

恋愛は先に好きになった方が負けである。どちらが先かと言えば一概に伊井野ミコの負けとは言えないわけですけれど,ここまでの経緯を見れば伊井野さんが追いかけて最終的に告白したような構図です。石上優からみれば眩しくてしょうがない伊井野ミコという存在から必要とされる。好きでいてもらえる。かつて四宮かぐやと白銀御行が抱いたそんな気持ちから,自然と石上に「恋愛頭脳戦」をやらせたんじゃないかな,とか思ったり。

 

 

というわけで,その結末は次回後編に続く...なんですが,休載ですね。まあここまで来れば二人の最終回がどうなるかは見えてきたはず。そんなフィナーレを楽しみにして,第267話感想はまる

 

 

 

最終話まで残り5話

 

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