現実逃避

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「かぐや様は告らせたい」の感想を書いている漫画感想ブログ

『かぐや様は告らせたい』 最終話 グッバイ秀知院! 感想 : お可愛いこと...!永遠の秀知院の仲間たち!... の巻

さてと。『かぐや様は告らせたい』最終話の感想です。

 

最後はナンバリング(第271話)ではなく「最終話」。本当に物語の終わりなんだなと感じます。前回も少し書きましたが,本作品が始まって7年半。連載開始1年半ほどで後追いする形で書き始めた感想ですが,ついに最終話までお付き合いさせていただきました。

 

僕は「面白いラブコメがある」と気づいた人が増え始めた最初期の頃からの作品ファンと自負していますが,映画・アニメ・イベント・スピンオフ作品と非常にコンテンツが大きくなった中で映画を除いてほぼ「原作」の感想一本に特化してきました。そういう意味では「作品の熱狂的なファン」というわけではないでしょうし,僕自身コンテンツ全体を楽しめていないもどかしさはあります。

 

そういう意味では僕は「傍流」のファン...。

コミックスが1900万部売れている作品となった本作品読者の一人に過ぎないのです。

 

そんなちっぽけな1ファンではありますが,こうして6年間もテキスト感想を書き続けてこれたのは単に赤坂先生が描かれる作品の持つ魅力のおかげであります。「かぐや様は告らせたい」は間違いなく漫画・ラブコメの可能性を再認識させてくれた傑作でした。

 

その作品に対する最後の感想をアウトプットすることで作品と作者の赤坂先生への感謝の念を表すとともに,僕自身の漫画感想生活の一つの「区切り」としたいと思います。というわけで,かぐや様は告らせたい」最終話,感想です。

 

 

 

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天才たちの学び舎

時は流れて最終回は卒業式です。物語の終わりが「卒業」であることは以前より予告されていました。

 

もちろん白銀御行は飛び級スタンフォード大学に進学してしまっているので既に秀知院の学生ではない。故に学友の卒業式が終わるのを外から見守るという形に相成ったわけですが,そんな中,元学び舎の中に入り卒業式を眺めることを促す白銀父(結局名前は明らかになりませんでしたね)の姿がありました。

 

これね。自分の体験をちょっと思い出させられましたね。

とある私学の学校に通っていたんですけれど,転居によってやむなく途中で転校せざるを得なかったんですね。最終学年での転校だったので寂しかったわけですけれど,卒業シーズンになった時に「お別れ会に来ないか」と声掛けをいただいたのです。

 

完全に立場が白銀御行と被っていたんですけれど,旧知の友人たちが卒業証書を受け取るのを眺めつつ,最後は卒業写真にもなぜか一緒に入れてもらって,最後に会食して...みたいなことがありました。そのことを思い出してふと懐かしさのあまり涙が出そうになったり。

 

 

閑話休題

 

学び舎の中を一人歩く御行の目に映る学内を通じて,作中の色んな出来事を思い出させられましたね。

 

正面玄関前の庭でのかぐやさんと柏木さんの恋愛相談のこととか。期末テストの発表や生徒会長選挙の後のかぐやさんと御行のそれぞれの反応とか,もろもろ思い出しましたし。音楽室では藤原ママと御行会長が音痴をなくすために必死の特訓を行ったり。家庭科室では魚をさばけない白銀を藤原ママが指導したり。

 

屋上では寝そべりながら星を見つつ御行が浮いた言葉をかぐやに投げかけたり,ウルトラロマンティックな告白をしたり。美術室では芸術の授業選択の駆け引きや,御行とかぐやがお互いを描くために必死になっていたり。

 

そんな諸々の「作品のこれまでの思い出」に感情がぶわっと蘇ったりしてですね。ああ,滅茶苦茶コメディとして楽しかったな...とか,文化祭の告白とかあの時夢中になって読んで感想を書いたな...なんてことが思い起こされます。

 

こうした諸風景がそのまま作中の様々なエピソードを想起させることで,読者自身にもかぐや様は告らせたいという作品からの卒業」追体験させているわけですね。

 

 

天才たちの生徒会室

肝心の卒業式の様子ですが,大林先生(もうちょっと活躍の場があったらよかったですね)の計らいで御行も見ることができました。

 

中退した御行と無事卒業した恋人・四宮かぐや。本来は同じ壇上で同じように卒業証書を受け取ったであろう二人がこうして別々に卒業式を迎えているのも,白銀御行という男が先々の人生のためにとった「選択」の違いを強調させていますね。

 

この卒業式で印象的だったのはとにかく四宮かぐやの「笑顔」ですね。

入学当初,白銀と関わること自体を拒絶していた二人が,御行からの仕掛けによって相手を意識するようになり,いつしか勉学によって競い合うようになり,やがて男女の仲を意識するようになる。

 

その後の恋愛頭脳戦は言わずもがなですが,全てに絶望したような表情のない女の子だった四宮かぐやが,こうやって学業生活を振り返り生徒会の思い出を語る。その思い出がとても楽しかったこと,白銀会長をはじめとする生徒会の面々との日常が「笑っちゃうほど楽しかった」と。感慨深いじゃないですか。

 

かぐやは言います。

 

「人は楽しいと笑うんですよ」

「この世界でこの場所だけはいつだって笑っちゃう位楽しかった」

 

そんな風にかぐやを変えたのは御行と生徒会の面々たちなんですよね。

白銀御行に恋をして,相手に告らせようと恋愛頭脳戦(?)を繰り広げる。傍目には喜劇的な恋のやりとりも,藤原書記や石上,伊井野さんといった生徒会の仲間との楽しかったやりとりも,全部秀知院学園生徒会室で行われた。

 

かぐやのこの言葉こそ,「普通でありたい」と願い続けてきた,ごく普通の高校生の楽しかった高校生活を象徴していてですね。秀知院学園で過ごした日々がかぐやと御行(と周囲)を成長させたんだなと。その集大成としての卒業式なんだな,って思ったり。

 

そしてあれだけ口にすることを「敗北」と捉え,それを言わないために延々と繰り広げられた恋愛頭脳戦が何だったんだ...と思うくらい自然に「会長が一番好き」というセリフが滑らかに出てくること。ここにも四宮かぐやの成長と変化を見出すことができますね。

 

天才たちの卒業式

まあ今度はいかにして相手からプロポーズさせようか...などと思っているあたり,構図的には「相手に言わせたい」というのは演出として残りましたけれど。

 

さすがにお付き合いしていて40歳まで結婚しないのどうなの...とも個人的には思いますが,もはや二人には「相手に言わせなければいけない事情」なんて無くなっていますしね。もう自分自身を社会的側面で飾り立てたり,自分自身に嫌悪感を持つ事も無いわけですから...。愛されていることは人に自信を持たせる

 

 

そんなかぐやさんから御行への最後のサプライズ。「御行も共に卒業する」ことですね。

 

自分も経験したから分かるんですけれど,実際に卒業期間まで一緒に過ごさなかったにしてもこうしてともに学生生活を過ごした友人を祝福してくれる。これ,とっても嬉しいことなんですよ。

 

気分的には「もう自分はここに所属していない」という寂寥感,疎外感がある。一方で「かつてここで共に学友と過ごした」という帰属意識もある。このギャップはね,途方もなくあるんですよ。先に出て行ってしまった者としては。

 

それに対して「あなたもまた私たちと同じ仲間だよ」「一緒に卒業しよう」といってくれるのはね...本当に嬉しいんですよ。不覚にも涙ぐむ白銀御行の気持ちがよく分かるんですよ。

 

 

そんな白銀の姿を見ての懐かしの四宮かぐやさんの名台詞がですね。感慨深いですね。

 

「あらあら まぁまぁ」

「お可愛いこと」

 

恋愛頭脳戦が終わり,ついぞ見かけなかったこのセリフを最終回に持ってきてくれましたね。それはかつて白銀御行が想像した上から煽るようなかぐやではなく,満面の笑みを浮かべた四宮かぐやのセリフです。

 

きっとね。ここまでもずっと四宮さんは笑顔でこれを言っていたんだと思うんですよ。実際には。だって楽しいもんね。恋する相手を可愛らしいと思う瞬間なんて,顔がにやつかないわけないんですよ!

 

 

そんなかぐやの笑顔にいつものように引きつるでもなく,頬を染めて恥じらうあたりも二人の関係性の変化と成長を感じます。最後の恋愛頭脳戦は「四宮かぐやの勝利」ですけれど,本当はもうきっと勝敗なんてどうでもいいんだよね。今この瞬間,白銀御行と共に卒業するという本来は無かったはずの機会を実現させたのですから。

 

 

グッバイ秀知院!... グッバイ「かぐや様は告らせたい」!

というわけで物語はお終いです。

最後はいつものようにいつものメンバーでお別れです。道すがらの会話もまた,これまで彼らが歩んできた青春そのものを象徴するような内容で,離れても「何も変わっていないいつもの日常」を思い起こさせます。

 

実際にはこの先々の人生は別々のものとなります。かぐやもスタンフォードに進学し,藤原千花や早坂愛も別の道を歩みます。残された伊井野ミコ会長と石上優の物語も会長たちのこれからの生活とは別に進んでいきます。

 

しかし卒業とはそういうものです。

一つの区切り。ある出来事が一つ結実した「区切り」でもあり,別の道へのスタートでもある。

 

 

ここまでかぐや様は告らせたいというラブコメ作品を楽しんできました。

当時「ニセコイ」というラブコメ作品が終わり,毎週漫画感想を書くという生活から一区切りつけていた自分にとって「かぐや様は告らせたい」との出会いは衝撃的であり,ラブコメの新たな可能性を見出しました。

 

物語がどのように展開し,どのように楽しいエピソードが積み重ねられてきたのか,二人や周囲の恋路がどう展開してきたのか,そうした物語のプロセスも十二分に楽しめました。

 

 

しかし,それも今日で終わり。

 

すでに「ほぼ出来上がっているカップルもの」というジャンルは成熟し,ある種飽和状態となっています。メジャー作品では「からかい上手の高木さん」に始まり,この「かぐや様は告らせたい」がこのジャンルを確立させたのは事実ですが,ジャンルとして見たらもはやどこかで見た手法という風景になりつつあります。

 

ブコメに一つの時代を築いだ本作が終わってしまうの非常に残念であり,寂しくもあるのですが,これもまた読者にとっての「作品からの卒業」でもあるんですよね。そして卒業とは「終わり」ではなく新しい人生のスタートでもあるわけです。

 

 

作者の赤坂アカ先生におかれましては,7年半もの間の長期連載お疲れさまでした。一ファンとして本作を通じてとても楽しめたこと,ラブコメというジャンルに新しい可能性を感じさせてくれたことに心から感謝申し上げます

 

本作品は一先ず終了ということになろうかと思いますが,まだまだ漫画家としてお若くその才能を発揮する機会はあると思います。新たな漫画家人生のスタートとして,並行して連載されている「推しの子」,そして大上貴子先生と作られるであろう新作に期待しております。

 

 

そして漫画感想ブログを続けてきた自分にとっても「かぐや様は告らせたい」感想は終わりです。「作品からの卒業」と相成るわけですが,寂しくもあります。

 

と同時に,今後出てくるであろう素晴らしい漫画,ラブコメとの出会いも当然拓けているわけです。そういう意味では新たな作品との出会いを待つ「再スタート」としての作品からの卒業ということにもなりましょう。いまはまだ見ぬ素晴らしい作品とのめぐり逢いを楽しみにしています。

 

 

最後に,これまで拙い感想を毎週読みに来てくれた皆さまに感謝申し上げます。

 

感想として必ずしも十分ではなかった部分も多々あったと思います。たくさんいただいたコメントにも反応できないこともあり,申し訳なく思っています。このブログはあくまで一個人の漫画感想を綴る場所であり,作品ファンとしての想いをつらつらと書き連ねるだけのものでしたが,ここまで続けられてきたのは「かぐや様は告らせたい」という作品の魅力と感想を読んでくださった皆さんのおかげです。

 

ありがとうございました。

 

 

というわけで「かぐや様は告らせたい」最終回の感想はまる

 

 

追伸:「かぐや様を語りたい」のG3井田先生も4年間お疲れさまでした。本編最終話に合わせたお話,素晴らしかったです。

 

 

追記;赤坂先生から連載が終わってのコメントがTwitterで出ました。作画あり漫画家としては引退だそうですが,その才能を様々な分野で活かしてほしいです。今後の活躍をますますお祈りしております。

 

【出典】赤坂アカ https://twitter.com/akasaka_aka/status/1587986787569651712

 

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*画像引用は行っておりません。文章は個人の感想です。