現実逃避

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「かぐや様は告らせたい」の感想を書いている漫画感想ブログ

『かぐや様は告らせたい』 第35話 花火の音は聞こえない(後編) 感想

さてと。週刊ヤングジャンプ2017年第02号』「かぐや様は告らせたい」第35話の感想(かぐかつ)です


いやね。僕はこれまで赤坂アカ先生の作品を読んだことがなかったわけですけれど,ぶっちゃけて言いますね。



赤坂アカ先生は天才である!



かぐや様は告らせたい」の前後編は初めてということで,これまでにない「次の展開を予想する」という視点が初めて入ったわけですけれど,先週の与太記事が恥ずかしくなるくらいの神展開でした。

前回,予想というほどのものでもない予想として,会長はどうやって四宮家に潜り込むのかなとか,連れ出すことができなかったら窓から一緒に見るとか言うロマンチックな展開なのかな,なんてぼんやりと思っていたんですけれどね...。まあ見当違いも甚だしいね。なんといったらいいのか,



自分の凡庸さに赤面したくなるわ!



さすがジャンプ最長ラブコメを読み違えただけのことはある(おい)








だってねえ。前回の,重く暗い闇の中に沈み込んでいくかぐや様のラストシーンからすると,「助けに来てくれる王子様」をただ待つだけの展開なのかと思うじゃないですか。それがどうですか,この燃える展開ときたら。



もう何も見えんのか お前には!!!

どんな壁も乗り越えられると思っていた"自信"!!
疑うことを知らなかったおのれの"強さ"!!
それらを無情に打ち砕く手も足も出ぬ実家の力...!!!

この夏休みにみんなと見たかった"花火大会"!!
なくしたものは多かろう

四宮家という巨大な壁に次々と目の前を覆われておる!!!
それでは一向に前は見えん!
失望と諦めの闇にのみ込まれておる!!

無いものは無い!!!
確認せい!!お前にまだ残っているものは何じゃ!!!



!!?



まだ仲間がいる"よ!!!!








いやまあ,正確には「四宮かぐや自身の意思」と「仲間たちの意思」の両方なんですけれど。

僕のぼんやりとした予想が外れまくっていたのは,要するにアレです,「四宮かぐやとはどういう人物なのか」「白銀御行とはどういう人物なのか」という日頃行われている二人の駆け引きの視点に欠けていたからですね。
そこに視点が行けば,白銀が行動するだけではなく,四宮かぐやもまた自ら行動する,という自明の結論が得られたはずなのでした。てへぺろ(死語?)



物語は冒頭,早坂さんが登場した段階で一気に雰囲気を変える。






かぐや様の嗚咽シーンの後ろからボソっと早坂さんが登場して語り始めたとたん,いつもの「かぐや様は告らせたい」の雰囲気になってくるから不思議なもんです。早坂さんが「会長もかぐや様に会えなくて溜まっているんじゃないですか(意訳)」とそそのかせば,一気にいつもの恋愛勝負師のかぐやモードである。

前回の引きの重苦しさから一気に空気変わりますよね。

相変わらずネガティブハートですけれど,かぐやさんの表情がいつものテンションですから。上手く早坂さんに乗せられて,かぐやさんは本家の執事たちの目をそらしながら仲間と合流するために自宅を脱走するのであった。







と,この物語が上手いなあと思うのは,ここですんなり合流とは行かないところですよ。タクシーに乗り付けたところまではいつもの「できる」かぐや様だったのに,花火会場を目指せば案の定渋滞である。早坂さんに協力までしてもらってこの有様。この夏休み,すれ違いを繰り返してきた「ダメダメ」かぐやモードが浮かび上がってくる。






極めつけは,このすれ違いですよね。
かぐや様が自らの脚でなんとかしようと行動したように,白銀御行もまたかぐや様の思いを実現させてやろうと奔走しているのであった。なのに見事なまでのスレ違いっぷり。ああ,やっぱり今年の夏休みもだめなのか...






だめだった。
一生懸命走ったけれど,花火はすでに終わっていた。




 



と,一気に絶望がかぐや様に降りてくるその時からの,このシーン







 






うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!


くっそ熱いですよね,この展開。まさに神様がくれた奇跡。そう思えるくらいのガール・ミーツ・ボーイなわけですけれど,実際のところそうじゃないんだよね。

この時,かぐや様は「白銀御行がどんな人物であるか」なんて考える余裕はまったくなかったわけですよ。ただ闇雲に,素直になって自分の想いを実現できるように一生懸命だった。ただそれだけだったんです。

それに対して,白銀御行は「四宮かぐや」がどういう人物か考えて考え抜いて,かぐや様がどういう行動を取るか推測して,かぐや様を見つけ出したんです。そこに大きな違いがある。だから



本日の勝敗 白銀の勝利




なのである。

天才たちの恋愛心理戦において,このとき四宮かぐやは全くの無防備。まるで感情に任せて泣き声を上げる赤子のようだったのに対し,白銀はいつもと同様にかぐやの行動を考えて動いていたのであった。



だがしかし。
「いつものに比べれば100倍簡単だったよ」と述べたこの言葉は


嘘である!



ほんとうに簡単だったならば,白銀御行がその頬になど流したりしない。






無論自転車で走り回ったから汗を流しているのでしょうけれど,言い換えればそれだけ必死に探したということですよ。かぐやの行動を推測して,すれ違った可能性を考えて戻ってきて,花火が終わってしまったときに「あのつぶやきをした四宮かぐや」がどんなふうな気持ちでどこで泣いているか考えて,やっとのことで見つけ出したんですよ。

だから白銀は汗を拭くことができなかったのである。(推定)


まあ嘘つきというなら,四宮かぐやも十分嘘つきである。
かぐや様はいう,

「この夏...恋だとか,愛だとかはいりません」
「だからーーーだからせめて私も皆と一緒にーーー」



 



その言葉は一度は夢絶たれたわけです。

それが結果として,白銀の卓抜した時間計算によって「千葉県木更津市」で行われていた花火大会をみることができたわけですけれど。神はいなくても天才はいた。全ては白銀の計画通りことがすすみ,無事,かぐや様は皆に一緒に花火を見ることができたというところからの



「誰もが花火に目を向ける」
「皆が私のために見せてくれた花火」
「だけど ごめんなさい」
「その横顔から 目が離せない」








うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!(二度目)





素晴らしい引きだね。完璧だね。赤坂アカ先生は,マジ天才だね!

前回の,外出を禁じられ,皆と一緒に花火が見られない故の絶望の象徴としての「引き」と。
今回の,白銀御行に視線が固定され生じた「心臓の音」故の恋心の象徴としての「引き」と。


花火の音は聞こえない



という同じ事象を両極端の感情のベクトルで表したこの「引き」は,考えに考え抜かれた取っておきの「引き」だったのだと思います。

正直に言いますが,僕は感動したのである。



というわけで。
この夏の恋はいりませんとか言いながら,アレほど待ち望んだ「皆と一緒に花火を見る」をそっちのけで白銀御行の横顔に夢中なかぐや様は大嘘つきなのであった。この勝負,かぐや様の完敗である。





ずっと,認めるのが怖かったーー
でも,そろそろ認めなきゃならないな......
そう,こいつにーーをしてるんだと。


 

 


?


 


(おまけ1)

石上会計と藤原書記。かぐや様の率直な気持ちとして,彼らもまた「仲間」として認識されていることを再確認できました。よかったですね。


人間として認められていて(ちょ)




(おまけ2)

東京の花火大会が8時で終わるのに,千葉県は8時半。本当かよと調べてみたら,本当だった


木更津すげー!千葉すげー!千葉県はやっぱり偉大だった。




(おまけ3)

やだイケメン...
(当然ながらドライブレコーダーを悪用したりしなかった模様)




(おまけ4)

でもって意味深な次回予告。


ちょっとまあかぐや様が盛り上がっていますけれど,さてどうなるんですかねえ。

ここまでラブがコメったらニヤニヤが止まんないくらいのものを見せてほしいですけれど,このままだとかぐや様がやられっぱなしなので,当然ながら「白銀もテンパっていた」という展開が微粒子レベルで存在する。

というわけで,次回,花火の後の天才たちの恋愛心理戦が見られるのかもしれない。ワクワクが止まりません。



(次週の感想にツヅク...かも?)








画像はヤングジャンプ2017年第02号「かぐや様は告らせたい」第35話より引用しました。
 
 
画像引用は中止しました。