さてと。『週刊ヤングジャンプ2017年第36・37合併号』「かぐや様は告らせたい」第64話 かぐや様♥アクアリウム の感想(かぐ活)です。
前回,「恋愛(少女)漫画を読ませてかぐや様に恋したくさせちゃう作戦!」を敢行した白銀御行。その策は結末のネタバレの上,相手にされなかったという壮絶な敗北を喫したわけですが,今回はまさかのそのお話の続き。
なるへそ。
あまりにも淡白な反応で会長の一方通行だなと思いきや,案の定かぐや様視点のお話をぶっこんできましたか。壮絶な空振りとなったように見えた会長の奇策でしたが,実はジワジワと効いていたとは恐れ入る。さすが天才の所業(←調子のいい褒め言葉)
なんだこの「計画通り」は。
白銀御行は夜神月ばりの天才じゃったか。当の本人に策が成功したことが伝わっていないところが,白銀御行ですけれど。
そんな訳で,今回の「かぐや様」は少女漫画モードで進められております。
ふーむ。
基本,会長とかぐや様の恋愛心理戦なんですけれど,同時に二話続けて「漫画あるある」なメタな話になっているところがニクイ。
謎の男子とぶつかり!
謎の男子キラキラ!
謎の飛び散る花!
謎のキラキラ瞳!
謎の煌く星!
謎のこれまでのお話!
なにこの,オールダウト...
こんなん笑うだろー。
あったあった。なぜか少女漫画には謎の三段ぶち抜き広告があった。何気なく見過ごすところですけれど,ちゃんとフォントが丸文字になっていることから判断してこれは赤坂先生お手製ですよね。すご。
そう,今回のお話には少女漫画あるあるが詰まっている。前回に引き続き漫画内で漫画を取り扱う,漫画メタな構成もまた二話続けての対構造になっていたのですね。奥が深い。
その影響か,サブタイトルまで普段と違います。いつもは"「名前」は「行動」たい"がサブタイトルになっているのに。このパターンは初めてでしょうかね。ある意味記念すべきお話なのかもしれない。
...ていうか,赤坂アカ先生の少女漫画観っていま現在のリサーチに基づくものなのか知らん。
もう十数年は少女漫画なんて読んでいない僕でも「あー」って思うポイント多々あるんですけれど,最近の少女漫画もこんなピュアなんですかね。以前のお話では割と性描写過多になりがちというお話でしたが。「今日の甘口」はそういう系統じゃないんですかね...。
...
......
で,今日のかぐや様です。
すっかり少女漫画脳になっておられる。あんなに目つきがわるいところが好きだった会長の瞳は綺麗に映っているし,虫けらとしか思っていなった石上会計にすらドキドキしてしまう有様です。
このね。ギャップがいいですよね。あの四宮さんがどんどんアホの子になっておられる。
通常なら絶対にあり得ない世界なわけですよ,これは。「人を見れば支配しろ」の姿勢でしか人と接することができなかたあの四宮さんがですよ。瞳キラキラさせて男子"たち"を眩しそうに表情で眺めているわけです。
まさに少女漫画脳。漫画に影響を受けて現実世界にまで持ち込んでしまう。これが「かぐや様」の世界で起きていると思うと意識ギャップがものすごいことになってきますよね。四宮さんが石上会計に頬染めるってどんなサバトだよ!
中二ならいざしらず,まさか高二の四宮かぐや様がそんなお痛いことなってしまうところが面白いですよね。
以前,風邪を引いた時に白銀会長に対して「何も知らなかったからこそ,毎日いろんなことを教わって嬉しい」的なことを言っていましたけれど,こうして中二的妄想を繰り広げられるようになったのも白銀会長と巡りあったおかげというわけか(策を弄したのは白銀だし)。
一方で,お話自体はいつもの恋愛頭脳戦そのまんまなんですよね。
恋愛脳となった四宮さんが,会長からデートに誘ってほしくて水族館のペアチケットを用意する。それを会長が見つけて,勇気を出してデートに誘う。
少女漫画な世界に入り込んでしまったディケイド...もとい四宮かぐやの世界観はあくまでかぐや様視点の空間視点であって,生徒会室ではいつものとおりの風景が繰り広げられているわけですよ。
それは藤原さんが乱入してくるシーンに顕著に現れますよね。
藤原さんが主体的に行動しているコマだけ,いつもの空間に戻っているんです。キラキラスクリーントーンもなくなるし,いつもの醒めた冷たい目で藤原さんを眺めるかぐや様に戻っているんです。
視点は四宮さんの妄想世界(少女漫画像)だけれど,現場(リアル)はいつもの「かぐや様」の空間でいつものかぐや様の行動というね。この構図が実に面白いです。
先に告らせたほうが勝ち。告った方が負け。
少女漫画脳にやられながらも,きっちりと恋愛頭脳戦を仕掛けているあたり,四宮かぐやもまた怪物哉。しかもまた,それが功を奏して嵌っているところがすごい。見事会長から水族館に誘わせることに成功しているんですから。
ああ...なのに...。
断った!
このシーンがねえ。いいんですよ。
ここね。描写はかぐや脳の少女漫画な世界が続いているんですけれど,同時にいつもの「かぐや様」の世界が重なっているように見えるんですよね。
「私にとってここが水族館」というセリフとその表情は少女漫画そのまんまなんですけれど,これがもしいつもの「かぐや様」の駆け引きだったとしても全く同じことをかぐや様は言ったんじゃないかって。そんな風に見えるシーンなんですよね。
四宮かぐやさんの内面がもろに表れたこのシーンがとっても素敵なんですけれど,結果から言えば「勇気を出して白銀からデートに誘われたのに断ってしまった」だけになっているというオチ。
素に返ってみればかなり凹むでしょうね。
作戦通り白銀から誘わせたのに!
あんなに!白銀から告白させることを熱望し,日頃から策を弄しては失敗しまくっているのがやっと成功したのに。
すべては今この瞬間の幸せに浸りたい。そんな乙女の快楽と,命より大切なプライドとの等価交換。
白銀御行は負けた! が,ある意味四宮かぐやも負けたとも言える。
それでも四宮かぐやさんが「完敗」にならなかったのは,保健室に手を引っ張ってもらうなかで,水族館デートしているような「幸せ」をかみ締めることができたからである。
でも,あとで転げまわって悔しがりそうですけれど。まる。
それにしても如何に恋愛脳空間とはいえ,あの四宮さんが石上にドキドキとは驚きです。路傍の石や虫けらにドキドキしているようなもんですよ?(いつものかぐや視点)
げに少女漫画脳とは恐ろしいものです。
とはいえ,リアル世界においても実際に普通に石上が四宮さんに水族館のお誘いをかけたり,保健室に連れて行ってあげたりしようとしているんですよね。あの石上がですよ? 四宮さんを見ただけで目を逸らし,ガタガタ震えるような石上会計がですよ。
これは変である...と言いたいところですが,ちゃんと裏がある。
少女漫画脳になった四宮さんは,リアルにおいてもあんな風に「お可愛く」なっていたということですよ。いつもだったら覇王色の覇気で一瞬で石上を干からびさせるようなあのオーラが出ていなかったということなんです。
故に石上は普段とは異なり,かぐや様の眼を見て普通に話しかけたり,水族館にお誘いをかけることができたに違いない。
振り返ってみると,それはそれで「なんて恐れ多いことを!」と後でガクブルしてそうな感じがしなくも無いですけれど。さすがにこのエピソードは今回でお仕舞ですかね。
何気にはぶられている伊井野さんはどうなったのかも気になります。
それとも次回は伊井野さん視点の「今日あま」な話になるのかしら。ちょっと引っ張りすぎな感もしなくも無いですけれど。ラブがコメることに期待したい。再度まる。
画像はヤングジャンプ2017年第36・37号「かぐや様は告らせたい」第64話,及び第63話より引用しました。
前回,「恋愛(少女)漫画を読ませてかぐや様に恋したくさせちゃう作戦!」を敢行した白銀御行。その策は結末のネタバレの上,相手にされなかったという壮絶な敗北を喫したわけですが,今回はまさかのそのお話の続き。
なるへそ。
あまりにも淡白な反応で会長の一方通行だなと思いきや,案の定かぐや様視点のお話をぶっこんできましたか。壮絶な空振りとなったように見えた会長の奇策でしたが,実はジワジワと効いていたとは恐れ入る。さすが天才の所業(←調子のいい褒め言葉)
なんだこの「計画通り」は。
白銀御行は夜神月ばりの天才じゃったか。当の本人に策が成功したことが伝わっていないところが,白銀御行ですけれど。
?
そんな訳で,今回の「かぐや様」は少女漫画モードで進められております。
ふーむ。
基本,会長とかぐや様の恋愛心理戦なんですけれど,同時に二話続けて「漫画あるある」なメタな話になっているところがニクイ。
謎の男子とぶつかり!
謎の男子キラキラ!
謎の飛び散る花!
謎のキラキラ瞳!
謎の煌く星!
謎の作中広告帯!
なにこの,オールダウト...
こんなん笑うだろー。
あったあった。なぜか少女漫画には謎の三段ぶち抜き広告があった。何気なく見過ごすところですけれど,ちゃんとフォントが丸文字になっていることから判断してこれは赤坂先生お手製ですよね。すご。
そう,今回のお話には少女漫画あるあるが詰まっている。前回に引き続き漫画内で漫画を取り扱う,漫画メタな構成もまた二話続けての対構造になっていたのですね。奥が深い。
その影響か,サブタイトルまで普段と違います。いつもは"「名前」は「行動」たい"がサブタイトルになっているのに。このパターンは初めてでしょうかね。ある意味記念すべきお話なのかもしれない。
...ていうか,赤坂アカ先生の少女漫画観っていま現在のリサーチに基づくものなのか知らん。
もう十数年は少女漫画なんて読んでいない僕でも「あー」って思うポイント多々あるんですけれど,最近の少女漫画もこんなピュアなんですかね。以前のお話では割と性描写過多になりがちというお話でしたが。「今日の甘口」はそういう系統じゃないんですかね...。
...
......
で,今日のかぐや様です。
すっかり少女漫画脳になっておられる。あんなに目つきがわるいところが好きだった会長の瞳は綺麗に映っているし,虫けらとしか思っていなった石上会計にすらドキドキしてしまう有様です。
このね。ギャップがいいですよね。あの四宮さんがどんどんアホの子になっておられる。
通常なら絶対にあり得ない世界なわけですよ,これは。「人を見れば支配しろ」の姿勢でしか人と接することができなかたあの四宮さんがですよ。瞳キラキラさせて男子"たち"を眩しそうに表情で眺めているわけです。
まさに少女漫画脳。漫画に影響を受けて現実世界にまで持ち込んでしまう。これが「かぐや様」の世界で起きていると思うと意識ギャップがものすごいことになってきますよね。四宮さんが石上会計に頬染めるってどんなサバトだよ!
中二ならいざしらず,まさか高二の四宮かぐや様がそんなお痛いことなってしまうところが面白いですよね。
以前,風邪を引いた時に白銀会長に対して「何も知らなかったからこそ,毎日いろんなことを教わって嬉しい」的なことを言っていましたけれど,こうして中二的妄想を繰り広げられるようになったのも白銀会長と巡りあったおかげというわけか(策を弄したのは白銀だし)。
一方で,お話自体はいつもの恋愛頭脳戦そのまんまなんですよね。
恋愛脳となった四宮さんが,会長からデートに誘ってほしくて水族館のペアチケットを用意する。それを会長が見つけて,勇気を出してデートに誘う。
少女漫画な世界に入り込んでしまったディケイド...もとい四宮かぐやの世界観はあくまでかぐや様視点の空間視点であって,生徒会室ではいつものとおりの風景が繰り広げられているわけですよ。
それは藤原さんが乱入してくるシーンに顕著に現れますよね。
藤原さんが主体的に行動しているコマだけ,いつもの空間に戻っているんです。キラキラスクリーントーンもなくなるし,いつもの醒めた冷たい目で藤原さんを眺めるかぐや様に戻っているんです。
物語は妄想の中で起きているんじゃない!現場で起きているんだ!
視点は四宮さんの妄想世界(少女漫画像)だけれど,現場(リアル)はいつもの「かぐや様」の空間でいつものかぐや様の行動というね。この構図が実に面白いです。
先に告らせたほうが勝ち。告った方が負け。
少女漫画脳にやられながらも,きっちりと恋愛頭脳戦を仕掛けているあたり,四宮かぐやもまた怪物哉。しかもまた,それが功を奏して嵌っているところがすごい。見事会長から水族館に誘わせることに成功しているんですから。
ああ...なのに...。
断った!
「だって私にとってここが水族館ですから」
このシーンがねえ。いいんですよ。
ここね。描写はかぐや脳の少女漫画な世界が続いているんですけれど,同時にいつもの「かぐや様」の世界が重なっているように見えるんですよね。
「私にとってここが水族館」というセリフとその表情は少女漫画そのまんまなんですけれど,これがもしいつもの「かぐや様」の駆け引きだったとしても全く同じことをかぐや様は言ったんじゃないかって。そんな風に見えるシーンなんですよね。
四宮かぐやさんの内面がもろに表れたこのシーンがとっても素敵なんですけれど,結果から言えば「勇気を出して白銀からデートに誘われたのに断ってしまった」だけになっているというオチ。
素に返ってみればかなり凹むでしょうね。
作戦通り白銀から誘わせたのに!
あんなに!白銀から告白させることを熱望し,日頃から策を弄しては失敗しまくっているのがやっと成功したのに。
すべては今この瞬間の幸せに浸りたい。そんな乙女の快楽と,命より大切なプライドとの等価交換。
白銀御行は負けた! が,ある意味四宮かぐやも負けたとも言える。
それでも四宮かぐやさんが「完敗」にならなかったのは,保健室に手を引っ張ってもらうなかで,水族館デートしているような「幸せ」をかみ締めることができたからである。
でも,あとで転げまわって悔しがりそうですけれど。まる。
?
それにしても如何に恋愛脳空間とはいえ,あの四宮さんが石上にドキドキとは驚きです。路傍の石や虫けらにドキドキしているようなもんですよ?(いつものかぐや視点)
げに少女漫画脳とは恐ろしいものです。
とはいえ,リアル世界においても実際に普通に石上が四宮さんに水族館のお誘いをかけたり,保健室に連れて行ってあげたりしようとしているんですよね。あの石上がですよ? 四宮さんを見ただけで目を逸らし,ガタガタ震えるような石上会計がですよ。
これは変である...と言いたいところですが,ちゃんと裏がある。
少女漫画脳になった四宮さんは,リアルにおいてもあんな風に「お可愛く」なっていたということですよ。いつもだったら覇王色の覇気で一瞬で石上を干からびさせるようなあのオーラが出ていなかったということなんです。
故に石上は普段とは異なり,かぐや様の眼を見て普通に話しかけたり,水族館にお誘いをかけることができたに違いない。
振り返ってみると,それはそれで「なんて恐れ多いことを!」と後でガクブルしてそうな感じがしなくも無いですけれど。さすがにこのエピソードは今回でお仕舞ですかね。
何気にはぶられている伊井野さんはどうなったのかも気になります。
それとも次回は伊井野さん視点の「今日あま」な話になるのかしら。ちょっと引っ張りすぎな感もしなくも無いですけれど。ラブがコメることに期待したい。再度まる。
画像はヤングジャンプ2017年第36・37号「かぐや様は告らせたい」第64話,及び第63話より引用しました。
画像引用は中止しました。