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「かぐや様は告らせたい」の感想を書いている漫画感想ブログ

『かぐや様は告らせたい』 第75話 大仏こばちは取り締まりたい 感想

さてと。それでは『週刊ヤングジャンプ2017年第49号』かぐや様は告らせたい」第75話 大仏こばちは取り締まりたい の感想(かぐ活)です。


例の「ミコちゃんを応援したいだけで生徒会には興味が無い」というメガネ少女・ここに来ての再登場です。その名も「大仏こばち」さん。





おさらぎ...大仏かあ。おさらぎといえば大仏次郎(故人)という感もありますが,この名前の登場でなぜ石上会計のクラスメートとして「小野寺さん」が出たのか合点が行きましたよ。


「大仏」と「小野寺」。寺に関係する苗字にしておきながら,大と小で対比する。そしてそれは石上優という男に対する人間評価の対比をも表している。
 
 
 

 


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さて今回,あきらかになった,石上会計が中等部の時に「やらかした事件」







事件の中身については後ほど検分しますが,片やクラスメートの小野寺さんが石上会計が「やったとされたこと(噂)」を文字通り信じてそのように評するのに対し,大仏さんは風紀委員の活動を通じて,伊井野ミコと石上会計のかかわり方を通じて石上優という人物を噂ではなく本人の言動を「見て」評価している。





大仏こばちは考える。

自分が見てきた石上優という人間は,「不器用ながらも理不尽を嫌う人間」である。で,あるならば,石上優がやったとされるような事件が噂どおりの出来事だったとは思えないという。

 




なかなかに慧眼である。

こうしてみると,石上優に対して否定的に行動する人間は一人を除いて人間・石上優を見つめることなく噂や憶測に基づいて彼を評している。それに対して白銀会長や四宮さんや藤原さんは石上優という人間を真正面から見据えて評価している。

だからこそ,噂に惑わされること無く,石上会計に自然に接することができるのである。ともに生徒会活動をし,時に遊び,時にふざけ,時に笑う。そうした自然な空間が生徒会に存在するのは,彼らが石上優という人物を噂ではなく人間として見据えて評しているからであろう。



ただ一人の例外は,「伊井野ミコ」さんである。

彼女は噂に基づいて石上優を評しない。彼女は石上優を正面から向き合った上で「否定的に」評価する。


 



石上優はルールを守らない。
学校内でゲームはするし,机の上に脚をのっけてポテチやコーラを食する。学業には熱心に向き合わず,生徒会室では会長と一緒になって藤原書記にアレコレしようとするし(伊井野さんの主観です),市の実や副会長の制服を借りて女装をする(伊井野さんの捉え方です)。

伊井野ミコはその目に写った石上優をみて「否定的」に評価しているのです。それは多分に漏れず誤解に基づくものですが,少なくとも目を覆って判断はしていない。彼女の目は節穴だし,言動はザルですけれど,少なくとも公正である。正義の人である。


こうした三者三様の人間模様が見て取れます。


...
......


ふむ。
どうやら赤坂先生は今回のエピソードで石上優の過去のトラウマと向き合うつもりらしい。そのために登場人物を大きく二分してドラマを作ろうとしているわけですね。


 



今回のお話の末に記された「そして 石上にとってわすれられない 体育祭がはじまる」というモノローグ,そして「そう,それは"勝利と敗北の体育祭"...。」というアオリ。ここから推定されることは,今回の体育祭のエピソードにおいて石上優は何かを得て,何かを失うということであろう。




その仮説に基づいて,残る登場人物の役割はなんなのか考える。


団長・副団長に対する大仏こばち風紀委員の言葉。

「石上は遊び半分で応援団に入ったわけじゃないと思うので... その...」という言葉の裏返しには,石上優をちゃんと「見て」公正に「評価」してほしいという想いがある。


 



それに対して団長・副団長は言う。
「言われなくても"見て"りゃ分かるって」
「大丈夫 うまくやるから 任せておいて!」



むむむ。
彼らの言葉を信じるならば,石上会計の実際の応援団活動を「見て」そこに石上優の真摯さや良さを本当に評価してくれていると思いたい。ただなあ...気になることがある。



団長・副団長の表情はなぜ描かれないのか。

 



石上優は応援団活動に真剣に向かい合っている。周囲のむき出しの敵意の中に飛び込んで,「怖い」という気持ちと戦いながら頑張っている。であれば,応援団活動そのものは「成功」することで終わらなければおかしい。

しかし今回の応援団活動の中心はこの二人によって組み立てられているはずなのに,表情が描かれない。これまでこういう表現は赤坂先生はしてこなかった。表情を描かない理由は,感情や考えを読者に「読み取らせないため」ではなかろうか。言い換えれば,大仏こばちの言葉に対しての反応が真実かどうか読者に読み取らせないためではなかろうか。



そして副団長の名前,「子安つばめ」である。

竹取物語中納言石上麻呂は「かぐや姫」から燕の子安貝を取ってくるように言われるものの,それは手に入らずに非業の死を遂げる。これは何の暗喩だろうか。これが「体育祭における敗北」につながるのでしょうかね。


竹取物語中納言石上麻呂,は燕の子安貝を手に入れたと思ったらそれはただの「糞が固まったもの」だったということで,幼稚な行動からこのような事態に至ったことを恥じ,世間に知られることを怖れていました。これも暗喩ですかね。

石上会計の「噂」によれば,中学時代に特定の女子にストーキング行為をして,挙句の果てに彼女の付き合っていた男をぶん殴ってしまったという。その後紆余曲折の上,当該女生徒は転校してしまい,石上会計も真実をつぐんだまま登校拒否に至る。



なるへそ。
やはりこれは竹取物語中納言石上麻呂のエピソードをなぞっているよね。


石上会計は持ち前の「正義感」から特定の女子が困っているのではないかと推測した。その原因と思われる「彼氏」に激昂し殴ってしまったものの,「実はそれは石上会計の誤解だった」みたいな顛末だったんですかねえ。全く石上会計に非があるだけじゃないと思いますけれど。

となると,燕の子安貝の暗喩である「子安つばめ」さんは,中学時代の事件の女子生徒の縁戚者・関係者という可能性が高くないですかね。今回,石上会計は自分の失敗を決着させることができるものの,その前に関係者である子安つばめさんには多少「手厳しいこと」をされるということなのかもしれないなあ。


 


最後は,周囲が噂ではなく石上優を見て評価することによって,失敗は失敗として認め,流し,そしてあるがままの石上会計を受け入れるようになる。そんな成功と挫折の体育祭になる...のかもしれないな,と思ったり。まる。



...
......


以下余談。

『今回の伊井野ミコさん』

さて,今回登場したは良いものの,ものの見事に「ザコ」認定されてしまった伊井野さんである。





よ,弱い...。

百戦錬磨の近侍・早坂さんの忍者のごとき「脱法変化」に対処されるのはやむを得ないとして,神っているカップル・柏木さんにも翻弄されるとは。






伊井野さんは正義の人だけれど,馬鹿正直な正攻法しかできないので結果としてザルとなるというかね。法の抜け道の前に取り締まることができない警察・検察さながらである。というか,そもそも証拠を挙げることすらできていないし。まさか友人にまで「ザコ認定」されているとは思ってもいないことであろう。


そんな「ザコ」である伊井野さんに取り締まられる石上優。






それって,石上優もまた「正攻法」しかしらない正義の人だからだよね。バカ正直に伊井野さんに立ち向かう。だから簡単に検挙されてしまう。正論に対して正論で立ち向かうから,善悪がはっきり知り手いる局面では石上は負けてしまう。そりゃ当たり前だわ。


大仏さんが感じていたこと,「伊井野さんと石上優は似ている」というのは読者もうすうす感じていたと思いますけれど,こんなところでもはっきりとわかりますね。この体育祭の結末によって,二人の関係がどう変化するのか,それも楽しみです。再度まる。





画像はヤングジャンプ2017年第49号「かぐや様は告らせたい」第75話より引用しました。
 
 
画像引用は中止しました。