現実逃避

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「かぐや様は告らせたい」の感想を書いている漫画感想ブログ

『かぐや様は告らせたい』 第83話 かぐや様は連れ出したい 感想

さてと。それでは『週刊ヤングジャンプ2018年第07号』かぐや様は告らせたい」第83話 かぐや様は連れ出したい の感想(かぐ活)です。


 



センターカラーですね。
YJを読む時にそういう概念もって無かったけれど,いちおうYJもアンケとか掲載順によっていろいろあるんでしょうなあ。人気作だからアンケ出そうとかあまり考えたこと無かったけれど,ふとそんなことに思いを至らせたり。


しかしこの表紙はなかなかに意味深である。

かぐや様の眼がやけに赤いんだけれど,さてこれは何の暗喩であろうか。普段とは違う色使いですよね。四宮かぐやの名のとおり,月の姫からの連想で月のうさぎのイメージだろうか。それともこれから巻き起こる早坂さんとの戦争で泣きはらした目の暗喩でしょうか。

そして服装
シックな大人っぽいドレスの早坂さんに対して,カジュアルなかぐや様。これは姉妹の暗喩ですかね。早坂さん自身が述べていたように,主人と使用人という関係性に加え,妹と姉という擬似的な関係に近いふたりだからこそ,お姉さんが妹を可愛がる(?)ような,愛しむような,ある意味からかうような雰囲気が混じった感があります。

しかもこのかぐや様の服装,よく見てみると今回の早坂さんが着ている服そのまんまである。身代わりとしてトラブルに突っ込んでいった,早坂さんの「身代わり感」を表しているのかな,と深読みしてみたり。
 

 


?


 



というわけで,今回のお話のテーマはずばり「愛」である。


四宮かぐやVS早坂愛

日頃固く結ばれた主従関係であり,擬似的には姉妹関係でもある二人がどうしてこんなことに...というのはあるのですが,ここに来て赤坂先生はかぐや様と早坂さんの関係性について少し掘り下げにきたようですね。



事の発端はいつものように事案が発生し,それに対処することを迫られた四宮かぐやさんの無茶振りである。


白銀会長,体よく合コンに拉致される事件。

んまー,白銀さんはモテるといっても「モンスター童貞」なので,そこらへんの機微がわからんというか。ちょいと何人かイケメンあつめて,初めて会う連中とカラオケをする。そりゃ普通に合コンだわさ。そんなことも気付かずに誘い出されてしまった会長をいかに連れ戻すか,というのが今回の「表面上のタスク」である。




 


の流れがまた,イムリで二度吹けるというわけです。
うーん,今回のお話は流れがキレッキレで,読んでいるこっちがいっそ清清しいくらいの回転ドリル展開である。



そんなかぐや様の冷たい仕打ちに思わずやさぐれるハーサカさんの姿がそこにあった。ていうか,早坂愛さんだった。知らぬは会長ののみばかり,なわけですがいつぞやの早坂風呂回を思い出させますね。





「かぐや様はもっと私を大切に...」と湯船に浸かりながら呟いていたあの心境同様に,この早坂さんの「ぼやき」は要するに「愛」に飢えた声である。主人と近侍という関係を超えた,擬似的な姉妹関係にある二人。早坂さんからしてみれば,そんな姉のような自分にもっと愛情を持って接してほしいのは当然である。

一方で,早坂さんも気づいていないことですけれども,そんな風に早坂さんを頼るのはまさしく妹が姉に甘えるが如しのソレなのである。お姉ちゃんに妹が甘える。一見都合のよい行動に見て取れますけれど,「甘える」というのもまた実は「愛」の表現の一つであるわけで。




なんとなくラストの展開から「姉妹戦争」みたいな空気を感じ取られたかもしれませんけれど,早坂さんはを求め,それに対して四宮さんはきちんとを表現している。そんな構造がこの段階で見て取れるってのは指摘しておきたい。



それはさておき,早坂さんも四宮財閥から金をもらって仕事をしている「プロ」ですから仕事はきっちりこなすわけです。今回の早坂さんと会長のやり取り,なかなかに面白いですね。







普段,四宮さんとの頭脳戦においては「相手もまたこちらを狩るつもりでいる」という前提に基づいて戦っていることもあって,そう簡単に四宮さんに好き勝手にやられたりしない白金会長ですが,今回の早坂さんは違います。あれがあの白銀会長かと目を疑うくらい,恋愛心理戦において撤退戦を強いられているじゃありませんか。






会長的には「ハーサカさん」との恋は「振ったので終わり」な関係でしかないのですけれど,それを逆手にとっての心理的駆け引きは早坂さん,なかなかもっての狩人よ。こんな風に迫られてベッドまで行っちゃうのが男の性だよなと思いつつ,まあ会長は一線は動じない人なんでそこの心配は微塵も無いんですけれどね。


面白いのは,白銀会長が機敏に反応したのは「早坂さんの素の部分」「演じていない部分」であったということですよ。四宮かぐやに対する愚痴から見えた素の部分は,まさに主人でもあり妹でもある四宮との素の関係,いうならば「擬似姉妹の絆」みたいな部分ですよね。






ここは割となんだかんだで早坂さんは四宮さんに対する「愛情」を抱いていたり,相手からも不十分と感じながらも「愛情」を受け取っていることを認めているように見えるわけです。肝要なのはその先,ですよね。





ふむ。
これはもちろん四宮さんとの関係も含んでいるのかもしれませんけれど。むしろ文脈的には四宮さんのことを指していないとおかしいんですけれど。ただもっと根が深い感じがありますね。

早坂さんの四宮さんに対する不満は「愛の不足」に対する不満だと思うんですよね。「もっと私を大事に...」というセリフからも,大事にしてもらっていないわけではなく,「もっと」なわけですから。ただ,それが「忠実な僕を演じているから」,あるいは「擬似的な姉として妹に対して振舞うことを演じているから」受けている愛なんだと考えているかどうかは,まだよく分かりません。






「人は演じないと愛してもらえない」「ありのままの自分が愛される事なんて絶対無い」という愛情観は,むしろ四宮家的なものをちょっと感じます。四宮家はそもそも愛とは奪って支配するものという家訓でしょうから,早坂さんが抱く愛情観は四宮家のそれとは違います。むしろ早坂家に由来する愛情観のような印象を受けますね。

早坂さんといえば,母親との関係が大きそうでしたよね。
幼少の頃,ベルマークのついた交換日記で親子愛を確認したり,体育祭に来てくれなかったことに対して切れていたり。そんなエピソードから伺えることは,早坂さんにとって親から受ける愛とは「親がそうであってほしいと願う姿を見せることで得てきた愛」というものだったのかもしれないな,とぼんやり感じたり。

早坂家は四宮家との抗争に破れ傘下に入ったようですけれど,結果として愛する母は四宮家のビジネスのために奔走する。多忙な母は娘を省みる時間も無い。忙しい母に甘えることも自制し,わがままを言うことで母を困らせないように言われるがまま幼少期から氷のかぐや様の従者を演じる。

そこに早坂さんの「人は演じないと愛してもらえない」「ありのままの自分が愛される事なんて絶対無い」という愛情観の根源があるように感じます。




つまり本エピソードの奈辺は決して「早坂愛が本当に白銀御行を落としにかかるのか」てところではなくて,早坂愛 ――― 名前に「愛」を冠するヒロインが,四宮かぐやと白銀御行の関係の中で愛とはなんなのかってことを知るって部分なんだろうなあと思ったり。


今回,早坂さんが突然「会長を落とす指令」を思い出した"振り"をして延長戦に入ったのは,他ならぬ四宮かぐやに対する二つの愛の確認をするためであります。

一つは四宮かぐやが白銀御行をどんな風に愛しているのか確かめるため。それは裏返しで白銀御行が四宮かぐやをどんな風に愛するか確認することでもあります。そしてもう一つは四宮かぐやが早坂愛をどんな風に愛しているのか確かめるため,です。



白銀会長を落としにかかります,という早坂の行動に対して四宮かぐやはどんな風に振舞うのか。相手に告白させることを念頭に,「相手を屈服させる愛」にこだわる四宮さんは火急のときにどんな反応を見せるのか。いざ自分の愛する人が自分の愛するに奪われそうになった時,一体全体四宮かぐやはどんな反応を示すのか。

きっと四宮さんなりに「必死」に会長奪回に動くと思うのですよね。もしかしたら,親愛なる「姉」ですら攻撃を厭わないほどに必死になるかもしれない。その行状に四宮かぐやにとっての「愛」とはなにか推し量ろうとしているのではないでしょうか。


また,白銀御行については「四宮かぐやを愛している」という点については既に前回の告白で分かっています。これを本気で落とせるとは早坂さんはたぶん思っていない。早坂さんが今回「本気顔」になったのは,自分の愛する妹を白銀御行はどんだけ愛しているのか。ふだんは駆け引きで見せることが決してない,






「背伸びも虚勢も無く 弱さを全て隠さない本当の白銀御行」を自分に対してなら見せられるのではないか。あわよくば,その場に四宮かぐやを誘導することにより,その姿をかぐやに見せたいのではないかと思ったり。

無論その裏返しで,「背伸びも虚勢も無く 弱さを全て隠さない本当の四宮かぐや」の姿もまた,早坂さんは日頃見てきているわけです。今回の予想外の早坂の行動に,四宮さんは焦りがあるでしょう。そんななりふり構わない四宮さんの姿もまた,あわよくば白銀御行に見せてやりたい。

そんな「姉」としての愛が行動の裏に隠れているのではないかと思ったり。



じゃあ本当に早坂さんは白銀会長にときめいていないのか,というとまあそこは「含むところ」はあるかもしれません。

物語の文脈的に,この物語はほぼ99.999%出来上がっているカップがどっちが先に「相手を屈服させて」告白させるか,というのが肝なわけで,その意味で早坂さんの恋愛面での出番はない。そんなことは当の早坂愛自身が一番よく分かっているわけです。

でも白銀会長が垣間見せた優しさを,自分に対する思いやりを,嬉しく思わなかったはずはありません



落とせるとは思わない。でも前回は本当に演技でアタックしたあの告白にちょっとだけ想いを乗っけてみたら...。意地の張り合いでいつまでも結びつかない二人を見て「一度位 私もあれ位 誰かを好きに......」と思ったあの感情は依然そこにある。





そんな早坂さんの気持ちがちょっとだけ乗っかったリベンジアタックは見られるかもしれませんね。


結果は明らかです。そんなこと早坂さんが一番分かっているし,これはあくまで四宮さんと会長を推し量るための演技である。「そんな演技だったんですよ」というところを二人に披露するところまでが早坂さんの演技であり,本当にあったかもしれない気持ちは一人胸の奥にしまっておく。





そんな演技派な早坂さんの「愛」の物語が待ち構えているのではないかと妄想したり。まる。



...
......


まあ早坂さんにとってこれは「愛」とはなんなのかということに対する「気づき」のエピソードであって,本番であろう親子の愛についてはこの後のお楽しみということになるんでしょうなあ...。
 


で,早坂って名前なんですけれど。


いまさらなんですが,早坂ってあの元首相の秘書をやっていた早坂から取っていたんですかねえ...。赤坂先生の出身地から輩出したコンピュータつきブルドーザーといわれしかの人物の秘書の。

そんな人間関係をもし模しているとするならば,早坂母の役割的にはやはり四宮当主の秘書とかそういうそんな可能性も微粒子レベルで存在しますかね。なんかこう,もしそうだとしたらいろいろ面倒くさそうな背景も出てきそうですけれど。

というのも早坂父でてこないしね,全く。一度は四宮家との抗争に破れているそうですしね。力で相手を支配するタイプの四宮当主がむにゃむにゃ...とか,実はかぐや様と早坂さんは...みたいな設定が後からでてきたら怖いのですが。世界観的にそんなにドロドロさせないと思うのですけれど,こと「家族問題」についてはなにが起こるかわからないのが赤坂ワールドであります。

そんな不穏な空気も感じ取りつつ,今回の「愛」のエピソードがどうなるのか。次週も気になるところです。再度まる。




画像は週刊ヤングジャンプ2018年第07合併号「かぐや様は告らせたい」第83話,同第5巻42話より引用しました。
 
画像引用は中止しました。