現実逃避

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「かぐや様は告らせたい」の感想を書いている漫画感想ブログ

『かぐや様は告らせたい』 第94話 四宮かぐやの無理難題 「燕の子安貝」編① 感想

さてと。それでは『週刊ヤングジャンプ2018年第19号』かぐや様は告らせたい」 第94話 四宮かぐやの無理難題「燕の子安貝」編① 感想(かぐ活)です。


最新刊・第9巻は4/19日(木)発売だとか。YJは印刷版も電子版も同時刊行となったのがうれしいですね。

「俺も買うから君も買え」と昔偉い人が言っていましたけれど,「かぐや様」に関して言えば即買いがデフォルトです。毎週ヤンジャンを買っている僕ですから当然過去話は蓄積しているんですけれど,この作品については当然のように単行本を買います。ファンですから!(キリッ!)




それはさておき,今回のお話はついにやってきた「燕の子安貝」問題です。

「きたか...ボディ(無理難題)...。」とディオ様が思わずつぶやいてしまうほどに予想された展開ではありましたが,とうとうこの日がやってまいりました。石上会計の処刑日が(まて)




いやね。まあね。
読者の皆さんなら当然ご存知のことながら,「かぐや様は告らせたい」は竹取物語を背景に人物設定されております。もちろん,そのまんまズバリではありませんが。

四宮かぐやが「なよ竹のかぐや姫」であるならば,石上会計は「石上麻呂」がモチーフとなっているのは明々白々です。そして今回のも一人の登場人物である,子安つばめ先輩竹取物語に出てくる「燕の子安貝」を暗喩した人物であることも。

*名前を修正しました(追記

 


?


 

 
竹取物語における「燕の子安貝」難題】

かぐや姫に懸想した石上麻呂は,結婚の条件として「燕の子安貝」をもってこいというお題を与えられます。とはいえ,鳥である燕が貝を産むなんて事は当然あるはずもなく。非実在性青少年のごとく,実在しない宝物をもってこいとは,体よく断られているわけです。


しかしそこはかぐや姫に熱を上げている石上麻呂,あらゆる手段を通じて入手しようと試みます。燕が産むんだから巣を見張っていればいいんだろとばかり,大勢の家来を使って手に入れようとします。

でも,燕もデリケートなお年頃ですからね。出産シーンをムサイおっさんどもに見られるなんて恥ずかしいとばかり巣に近づきません。立会い出産は平安時代には早すぎたのかもしれない...。


そこで智恵を授けられた石上麻呂。みんなが見張るんじゃなくて,出産の瞬間に巣を確かめればいいんじゃないかと教えられました。ということでしばし遠くから見張っていると,照れ屋さんの燕女子も出産の兆しを見せました。

これはチャンスとばかり家人に確かめさせますが,燕が貝を産むはずもなく「ありません」との言葉。そんなばかなと信じられなかった石上麻呂,ええい,俺がやると巣に突撃! その手を巣に突っ込むと,明らかに卵ではない「何か」があるじゃあ~りませんか!(チャーリー浜)。


喜び勇んだ瞬間,石上麻呂を燕の巣まで持ち上げていた籠が落っこちてしまいます。その結果,石上麻呂大怪我を負って寝たきりになってしまいます。とはいえ,ついに手に入れたと燕の子安貝。ヤッター!と思いきや,よく見てみるとそれはただの燕の古糞だったというオチ。


さすがに哀れんだかぐや姫,励ましの和歌を送ってあげました。「貝はなかったけれど,やった甲斐がありました」ということで,現在の「甲斐があった」「甲斐がなかった」という物言いが成立したとかしないとか。(糸冬)


はい。

というわけで,メタ的な意味では石上は「死ぬ」ことが決まっております!


かぐや様に炊きつけられ一念発起したものの,石上優会計は燕の子安貝の暗喩たる子安つばめ先輩と結ばれることは無い。無いのです!(非道い)

まあ作中でも自分で自分に対して「死ね死ねビーム」を打っていましたからね。死ぬことは無くてもカップルとしては成立しない。かぐや様は告らせたい」の漫画世界の中でも石上優会計の恋は破れることが暗にほのめかされているわけです。


 



他ならぬ石上会計自身が述べているように,彼女は超高嶺の花です。顔良し,性格良し,距離感良しがすべて揃った彼女ですからもてない筈が無い。私がモテなくてどうすんだ!を具現化したような存在で,その評判はさほど他人に興味があるとも思えない四宮さんの耳にまで届いている有様である。

四宮さんが述べているように,おそらく彼氏がいるのでしょうし,比較問題でいくならば石上会計より見栄え良く,頭良く,力も財力もある良家の男子が雲霞のごとくいるのが秀知院学園です。まあぶっちゃけ無理ゲーです。


だが,四宮さんはもう一ついいことを言いました。

 


「でも告らなきゃどこまでもズルズル行くわよ」



四宮かぐや今年一番の,渾身の魂の籠もった言葉である。かぐや様史上最高の名言の一つといって相違あるまい。なんだこの,このお前が言うな感...。


でもそうなのです。つらい恋もありました。苦しい恋もありました。惚れた腫れたで傷ついて,やってきましたバージンロード。
雨が降ろうが,槍が降ろうが,もうその手を離すなよ!というバージンロードに至るためには必ず勇気を出して「告白しなければならない」




それができなくて涙を呑んだ何百万のサブヒロイン(英霊)の屍を乗り越えるにせよ,加わるにせよ,告白しなければその気持ちに決着をつけることはできない。成功するもしないにも,告白しなければズルズルいってしまうのです。連載が


というわけで,見込みがあろうと無かろうと,恋の気持ちに区切りをつけるためには石上優は子安つばめ先輩に告白して散らなければならない(散る前提かよ)。

もちろん,四宮かぐやはああいう人ですから,こうと決めたら万全の体制でサポートをして石上優の見込みの無い恋の成就可能性を少しでもあげるように努力するでしょう。ほかならぬ四宮かぐや自らが石上会計をけしかけて無理難題に挑戦させているのですから。負けるつもりで戦をする四宮さんじゃありません。


やると決めたらとことんと。その策とは「学年順位50番以内に入ること」だそうです。うーむ...


 


まあ,これまでドベ常連だった石上優さんがいきなり学年順位50番以内という結果(知力)をつければ大いに目立つかもしれませんね。少なくともその努力は認められるべきだし,結果を出せれば本人も自信がつく。子安先輩もびっくりして褒めてくれるんじゃないかと思います。

しかしそれが「恋」に結びつくかというと,やっぱり弱い気がするんですよね。そもそも「頭の良さ」を子安先輩が恋の評価ポイントにしているかどうか分かりませんし。おすし。

知力を評価しているのは,他ならぬ四宮さんが白銀会長を好きであるからで,学年1位という結果は白銀会長に付随する属性に過ぎません。秀知院学園で負け知らずだった四宮さんにとっては意味のあることだったのかもしれませんが,普通に考えて学年1位だから好きになるわけじゃないですよね。

それはそのまんま石上会計の恋に通じるのである。仮に石上が結果を出したとしても,それが子安先輩の恋の琴線に触れるかどうか未知数である。

加えて言えば,50位以内というのは石上会計にとっては高い目標ですけれど,子安先輩にとってはそんなに高いボーダーラインじゃないのかも知れない。いま好きな人,または付き合っている人はもっと順位が上かもしれない。応援団団長とかね。


そう考えると割と穴がぼっこぼこに開きまくっている作戦なのである。これは四宮さんらしくない。



まあ考えていることはなんとなく想像つくのですが。四宮さんは石上優というコマを磨き上げたとしても,彼の想いが通じることは無いことを知っているのではないでしょうか。





子安つばめさんに懸想する幾千数多な男子の数を把握しているということは,当然彼女の素行調査ぐらいは済ませていると思われます。恐らく,子安さんには既に付き合っている人がいる。

それを織り込んだ上で,石上優に対してできることは何か無いか。出来の悪い後輩の面倒をかぐや様なりに見てあげるとき何を考えるか。恋が破れることは仕方がない。見込みの無い恋にいつまでも執着させることも,石上のためにもならない。変な奇行に走られても困りますからね。


であれば,それを石上優の「成長」という形で終わらせてやることは出来ないか。竹取物語で言うところの「甲斐あり」ですよ。そう考えたのでしょうね。石上優の卑屈さ。その原因である成功体験の少なさをなんとかしてやりたい。

であれば,振られることは折込済として,そこに至るまでの努力の過程が「結果」として現れるようにしてやれないか。その一つが「期末試験の結果」ということなんじゃないでしょうか。


それを裏付ける言葉がこれである,


 


「そうすれば誰もが貴方を見直すわ 勿論子安つばめも
 そして あなた自身もね」



おわかりいただけただろうか。

これが子安つばめを本気で落とすことが真意であるならば,「そうすれば子安つばめも貴方を見直すわ」となるはずである。しかしこの言葉は,「誰もが見直す」「子安つばめも」という並立した流れになっており,最終的な力点は「そしてあなた自身もね」の部分であることは明白である。


これまで結果を出せなかった石上優が,勉強することで結果を出せるのならば。

何をやっても駄目だった,いい加減でモラルの無い石上優のイメージを払拭することが出来る。石上優に残るネガティブイメージの一部を解消し,勉強もできる点を評価する生徒からは扱いがかわるでしょう。もちろん教師からの扱いも変わるでしょう。

なにより,成績という数字で現れる結果は,「やればできる」という結果を石上優にもたらす。すなわち,成功体験として石上優に定着できるものなのである。




つまり,四宮かぐやは「難題」として子安つばめを手に入れろという言葉を用いながら,その実真の難題は「テストで結果を出す」というものにすり替えているのである。それが如実に分かるのが最後のあおりである。

「嘘と本気の2学期期末テスト」


難題の表の目的はかぐや的には「嘘」である。しかし裏で達成させたいことは「本気」である。


現代のかぐや様が石上に与えた難題,それは石上自身が自分の価値を見出すこと,その成功体験を通じて自分も他人も石上に対する評価を改めること。そこにあるのが,四宮かぐやの無理難題「燕の子安貝」なのだと思ったり。

というわけでひとまずまる



...
......



それにしても今回のお話は面白かったですね。


「どんな手段を使ってもいいから子安つばめを手に入れろ」という無理難題は,行為者が四宮かぐやであるならばそれこそライバルを陥れてでもやり遂げる課題なのでしょうけれど,それを石上がやったらただのストーカーじみた行為になってしまう。


実際,石上会計の策ときたらストーカーじみたものばかりでしたからね!





まあ,こんな石上会計にとっての「ロマンティックな告白」という価値観が,一般女子にとってそうは感じ取れないのは当然至極なこと。

だがしかしである。
あ,サヤ師はどうなったんだっけ?(違)。


そんな不気味と評されるアプローチを受け入れている人物がいましたよね。ええ,生徒会のどこかにね。


というわけで,ここで竹取物語における「燕の子安貝」の難題について振り返っておきましょう。(知っている方はワープをどうぞ)





叩かれて涙すること幾年月であった伊井野ミコさん。彼女の心の支えは,名も知れぬ人がくれたメッセージと栞であった。


あ,はい。
これはもうほぼ100%間違いなく石上優の仕事ですね。現場は語るといいますが,これ以上石上っぽい行動はあるだろうか。いやない(反語)。


 



そして問題は,そうしたアプローチを伊井野さんは「気色が悪い」とか「気持ち悪い発想」とか「相当恐怖」とか「常軌を逸している」とは思わなかったという事実ですよ。おわかりいただけるだろうか。

前回の仲直り作戦も半ばホラー仕立てでしたけれども,振り返ってみればほら二人の価値観は良く似ている。一般的に「気色悪い」「ストーカーじみた」行動であってもロマンティックと考えられる二人ならば...ひょっとかして受け入れる余地はあるんじゃね? という期待感



今回,石上会計に成功体験をさせてやりたいというスタートではじまった本作戦ですけれども,恐らく恋愛的には結びつかないだろうというのは先に述べたとおり。しかしですよ。かぐや様の難題に挑戦し,実際に石上会計が50位以内の結果を出すことが出来たならば。

いい加減で,やる気も無く,モラルもへったくれも無い石上優が「やれば出来る子」という結果を出すことによって見る目が変わる部分はあるのではないだろうか。前回,「いいところが一つも見つからない」と言ってのけた伊井野さんですけれど,石上が努力の結果を出したならば,ものの見方を若干変えるという変化を促すかもしれない。

 


もちろん伊井野さんは学年1位の秀才ですし,石上が50位以内に入ったところで下に見ることは変わらないかもしれません。でもいまは50位でも次はトップ10に入るかもしれない。いつしか伊井野ミコに打ち勝ってやるというやる気を出して,学年1位をとるほどまでに成長するかもしれない。


そんな栄光の未来の第一歩となる(かもしれない)のが今回の四宮かぐやの難題その1であり,それは意外な形で伊井野さんと石上の関係を変えていくのかもしれないなあと思ったり。



それに石上が「知力」という形で評価を改めることがあれば,徐々に周囲の見る目も変化していくでしょうからね。ひょっとかして,石上に懸想する下級生とか現れるかもしれない。そんなときに,腐れ縁である伊井野さんがどんな心情になるのかというのも楽しみではある。



...
......



さて。さてさて。

それにしても今回のお話は面白かったのですが(2回目),例によって例のごとくかぐや様の客観モードと主観モードの切り替わりが楽しかったですね。

石上優にぶつけたそれはそのまんまブーメランで自分に突き刺さる。


客観的には理解できることでも,自分に当てはめてみるとそれができない。それが出来れば苦労しない。でもってこのときの石上会計の反応もまた面白いですよね。「わかってますよ」には二重の意味がある。



 

おっしゃることは分かります,という文字通りの肯定の意味。そしてもう一つはそんな態度をとっても四宮先輩が白銀会長のことが好きで好きでたまらないのは分かっている,という意味です。

こちらもまた客観的に見てみれば,かぐや様の恋の相手など一目瞭然だということです。こんな二重構造の会話がとてつもなく面白い。



こうしてみると先輩・後輩という間柄ではありますが,二人もまた似たもの同士というか。ある意味,姉弟のような関係にも見えてくるから不思議なものです。出来の悪い弟の面倒を見ている優秀なお姉ちゃん...。しかしその実,姉ちゃんの方もザコだった!という不思議な関係。


 


そんな生暖かい関係をかぐや様と石上会計がもてるようになったのだな,と思うと感慨深いです。ここでもまた,二人は成長しているのだなと思ったり。

というわけで今回の感想,再度まる



 

 

 

   

 

 





画像は週刊ヤングジャンプ2018年第19号「かぐや様は告らせたい」第94話,弟93話,「ニセコイ」第229話 より引用しました。
画像引用は中止しました。