現実逃避 - hatena

「かぐや様は告らせたい」の感想を書いている漫画感想ブログ

『鬼滅の刃』 175話 後生畏るべし 感想 : 才覚を凌ぐ者たちの産声

今回の『鬼滅の刃』は 巻頭カラーです。

表紙は凛々しい炭治郎とすまし顔の冨岡義勇さん。

 

 

冨岡義勇さんと言えば,先日こういうツイートを拝見して腹抱えて笑ってしまいました。

 

サムライ8、"勇"を失ってるし"義"も見失った
さらに"冨"も失ったのであと"岡"を失うと冨岡義勇が散体する
とかいう謎のレスで死ぬほど笑ってる

(引用元はこちら

 

サムライ8は流し読みしかしていないので,ファンの方がいたら申し訳ないのですが,特にサムライ8についてどうこう思うところはないです。念のため。

 

ただ冨岡義勇さんが取り上げられていたので気に留めました。なんだその天地魔闘みたいな響き...。

 

「富を失い 岡が消え 義を見失い 勇を欠く!」

「いま,冨岡義勇の時代来る!」

 

 

みたいなやつ。ぜひ無惨様に"冨岡義勇の構え"として使ってほしい(おい)

 

ごめん,義勇。君はただ淡々と一生懸命やっているだけなのに。とっても愛おしく感じます。ありがとう,そしてありがとう,義勇。

 

 

 

 

 

「一番弱き者」たちの戦い

一番弱い者が創り出した勝利への譜面。黒死牟は固定され,痣者の柱2人の刃が目と鼻の先に迫る。完璧と言っていいタイミングで刃が届くかと思いきや,ここで黒死牟さんまさかの反撃を繰り出すとは...。

 

 

ええ...!?

そんなんアリだろうか。刃を出しただけで月の呼吸の斬撃を全員に打ち返すとか,普通じゃないでしょ。

刀を振ってすらいないというのに。無一郎の焦りも無理からぬところ。たった一本の刃ですら互角以下の戦いだったのですから,そんなことされたら勝機はかき消されてしまう。

 

かろうじて交わした岩柱・風柱の二人はさすがとしか言いようがないですが,黒死牟を固定化するために刃を突き立てていた時透無一郎は胴を輪切りにされ。玄弥に至っては真っ二つにされてしまいました。と,時透君!

 

 

「戦えない駒」でありながら,熟達した柱の一人らしく「想定外の弱者」としての役割を果たしてきた無一郎。

腕を切られ,脚を失い,大量の血を失って助かる見込みもほとんどない状況であったけれども,ここにきて決定的な胴切りを喰らってしまった無一郎。ぶっちゃけ意識があって刀を突き立てているだけで驚愕である。普通ならとっくに死んでいる。

 

そして玄弥

上半身を脳天から真っ二つにされ,もはや動くこともかなわない。それでも鬼化している分,時透くんより救いの道はあるのかもしれませんが,そんな状態の中でも兄を,師匠を,みんなを守ろうとする玄弥に成長というか,器が大きくなったことを感じます。

 

 

無一郎も玄弥ももはや直接黒死牟を討つことはできない。そんな「弱者」でありながら,今できることを取り組む。敵のリソースも限界まで削り取っている。そんななか,余計な動作をさせられれば勝利への道は切り開ける。

命の灯が消えるかどうかという瀬戸際の中で,炭治郎の言う「一番弱い者が一番可能性を持っている」を実践している二人が痛々しくも頼もしいじゃないですか。

 

 

陽光山の日を浴びて

 

そんな二人が切り開く勝利への道。

意識も途切れんとする中,自分が何とかするという強い意志が新たな道を切り開く。無一郎が黒死牟を固定するために突き立てた日輪刀を強く握った時,刃が赤く変化する。

 

自らが勝てなかった縁壱の刃と同じ「赤い刃」。

これはなんだろな。縁鬼の弱点が太陽であること,鬼殺隊が用いる鬼を絶命できる唯一の刀「日輪刀」は陽光山という日が落ちない山の頂上で太陽をたっぷり浴びた原石で作られていることと関係あるのだろうか。

 

そもそも縁壱の「日の呼吸」という名称そのものが意味深である。数ある呼吸法の中で鬼に致命的な効果を持つ太陽光を表す「日」という呼び名。この呼吸法は太陽光に通じる効果がある,ということなんだろうか。JOJOの波紋法じみてきますけれど。

 

 

日の呼吸を通じてふるった刃は赤く染まり,太陽光を浴びせているのと同じような効果を持つ。それこそ,黒死牟が「内臓が灼かれるような」と称する激痛の正体かもしれないな。

 

言い換えれば無一郎はこの土壇場で「日の呼吸」に通じる呼吸法を行いながら刀を握りしめた。そういうことではないか。単に握りしめただけではなく,呼吸法を伴うものだったから「刀は赤く変化した」。そういうことなのかしら。

 

そして岩柱さんの鉄球に重ねるように切り立てた実弥の剣が被さった時,同じく「鉄が赤く」変化している。これはつまり,陽光山の日の光をたっぷり浴びた鉄を重ね合わせたことにより,「日の呼吸」と同じ効果が出たように思える。

 

 

ふむ。

思うに「日の呼吸」とは,日輪刀に蓄えられた太陽光のエネルギー(とでもいえばいいのだろか)を活性化し,刃先から流し込む,そんな呼吸法なのかもしれないな。

 

才覚を凌ぐ者たち

そしてもう一人の「弱き者」である玄弥もまた,躰を真っ二つにされながらなお意識を保っていた。

 

ぶっちゃけた話,ここまで鬼化が進んだ玄弥が元に戻れる保証はどこにもない。生死の死線をさまよう中で,なお玄弥が思うのは兄の事,仲間の事である。玄弥もまた自分が捨て石になるつもりで実弥と行冥を救おうとするんだね...。

 

 

身体がボロボロになりながら,なお血鬼術を使い黒死牟を固定化する。この時,血鬼術で生み出した樹木に根を張らせながら,かつ黒死牟の血を吸い強化させていくというのがクレバーな戦い方ですよね。すごいじゃん,これ。自分自身の力が及ばずとも相手の力を利用して拘束し,かつ攻撃に回す力も削ぐ。

 

こうして無一郎が抑え,玄弥が固める。その上で行冥と実弥の攻撃を与えていく。そんな中,回想の継国兄弟の会話が意味深でありますね。

 

最強の呼吸の剣士,兄・厳勝は「一個人としての強さ」に拘り,技の継承ができないことについて嘆き。縁壱は「一個人としての強さ」ではなく,鬼を倒そうとする意志を持つ「全ての人間たち」をもって技の継承をとらえる。

 

それはそのまま,二人が選んだ道の違いである。

最強の剣士であることに価値を置くでもなく,いつかその志を継いだものが無惨を倒せばよいと考えた縁壱。最強の剣士であることに拘り,嫉妬と羨望の中強くなるために醜い鬼にまでなった厳勝。

 

 

そういえば最初に無一郎と会った時も,その血脈が継がれているかどうかという観点で黒死牟は語っていましたっけ。彼にとって強さとは「個」に存在するものだったんだね。そうだとすれば縁壱の浮世離れしたふわっとした物言いはさぞかし腹立たしかったことだろう。持てる者がもつ言葉にしか聞こえなかったのかもしれない。

 

しかし,自らの遺伝子の末裔でもある時透無一郎と,「無惨を倒さんとする人間の意思」の象徴である悲鳴嶋行冥と不死川実弥が力を合わせて「日の呼吸」またはそれと同じ効果を持つ「赤い刀」で黒死牟を切った。

 

 

「私たちの才覚を凌ぐ者」が後に続くという縁壱の言葉を,自らの体で実証させられた。そんな展開に胸を熱くしたり。

 

黒死牟こと「継国厳勝」の運命

というわけで産屋敷輝哉の言葉どおり,行名・無一郎・実弥・玄弥の4名で上弦の壱・黒死牟の首を斬りました。

 

無惨を除けば,首を切れば鬼は死ぬ。そのはずですが黒死牟はどうかな。猗窩座の時は首を切られてなお再生しようとしました。最後は記憶の導きによって猗窩座はとどまりましたが,こちらはどうでしょう。

 

状況を見ると無一郎は風前の灯火,玄弥もここかあら回復できるか分からないほどの重症です。風柱・実弥も応急処置で何とか動いている状態。無一郎の「無惨を倒すために二人の柱は絶対必要」という想いからして,ここで決着という方がありそうです。

 

強いて言えば,黒死牟こと継国厳勝は弟を超えるために醜い鬼にまでなり強さを求めた点をどう考慮するか,でしょうか。自身が越えなければならなかった弟・緑壱は自分に止めを刺す前に寿命で死んだため「永久に勝利できない」状況になっています。それ故に,名誉ある死を迎えることができず生きながらえている現状です。

 

 

言い換えれば厳勝が黒死牟として生きている理由はそれだけです。「今更死ねない」という想いが彼を永遠の命につなぎとめている。自らの強さを「個」として継承することに拘った想いも,こうして才覚を凌ぐ者たちの出現により「人間は世代を超えて」継承していく強さを持つことが証明されてしまいました。ここまで来ると潔く弟の正しさを認めたほうがすっきりはする。

 

あとは必死になって珠世の薬を解除しようと四苦八苦している無惨がどういう行動に出るでしょうか。今頃必死になって無惨ネットで黒死牟に語り掛けているのでしょうか。猗窩座はそれを投げ捨てましたが,黒死牟はどうですかね。何とも言えない所である。

 

これまでのパターンですと人間時代の出来事が思い出されて悔い改める...的な収まり方をするんですけれどね。どんなドラマが描かれるのか,気になります。

 

「不死川兄弟」の行く末

黒死牟が「継国厳勝」として死ねるかどうかは,基本的に自らの失敗を認め悔いることができるか,弟を認めることができるかにかかっている。数百年越しの恨み節であるからに,なかなかに厳しい。

 

一方,ひとまず首を切った形になった鬼殺隊ですが,こうなる時になるのは不死川兄弟の行く末である。変わり果てた玄弥を見て実弥はどう思うのだろうか。

弟は鬼殺などに関わってほしくない,人として生きてほしいと願っていた実弥。それと程遠い状況がそこにある。最愛の弟は鬼化が進み,さらには真っ二つに切られて瀕死状態である。どれほどの悲しみが実弥を包んでいることだろう。

 

 

しかし今自分たちが生きているのは,間違いなく「弱き者」であったはずの玄弥がいてくれたおかげである。同じ鬼殺の同志として,この時兄弟はともに戦ったのであった。けっして鬼斬りとして認めなかった弟が,できることを精一杯とりくんで得た成果である。それを否定はすまい。

  

と同時に,いまの玄弥の姿に悲しみを抱いているであろうことも事実である。生かしてやりたい。人間に戻してやりたい。そんな想いが実弥にこみあげてくるのは間違いあるまい。

生かすこと自体はたぶんできる。体をくっつけてやり,鬼を食えばきっと復活する。そこらの黒死牟の残骸を食べれば鬼として復活できるであろう。だが実弥はそれを願うだろうか。

 

あるいは稀血の持ち主である自らの血を分け与えるのだろうか。稀血は鬼を強化する。もしかするとそうすることでも実弥は復活できるのかもしれないね。さらに珠世が研究していた鬼を人間に戻す薬を与えれば,鬼化が進んでしまった玄弥も元に戻れるのかもしれないなあ...。

 

ここまでも何回か感想で書いていたような「不死川兄弟のドラマ」が描かれるのか。それは黒死牟こと継国厳勝の「今際の選択」に影響を与えるのか。そのあたりも含めて,不死川兄弟の行く末も気になるところである。まる。

 

 

 

   

 

 

 

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画像は週刊少年ジャンプ2019年43号 『鬼滅の刃』 第175話 ,同167話より引用しました。

画像引用は中止しました。