現実逃避 - hatena

「かぐや様は告らせたい」の感想を書いている漫画感想ブログ

『鬼滅の刃』 187話 無垢なる人 感想・考察 : 傷ついた心と美しい世界

引き続き,縁壱の回想です。

無惨と対峙した縁壱。これまで何度か断片的に回想が流れてきましたが,その時何が起きたのかついに明かされます。

 

その縁壱からみた無惨の印象は「暴力的な生命に満ち溢れ」「火山から吹き出す岩漿を彷彿させる」「全てを飲み込もう」としていた男。

 

 

 

改めて確認しておくと,無惨は「太陽の陽の克服」することを目指していますけれど,もともとは病を直すために治療していたんですよね。それが鬼となり,身体的には生物界最強ともいえるほどの頑強さと強さを身につけた。結果,この能力を維持したまま太陽の陽を克服したいという風に望みが変わっていく。

 

己の強さをなすがままに行使し,その力にふれて斃れた者は「天災にあったようなもの」と切り捨てる。自分のことしか考えず,他人は踏みにじって当然のものという彼の生き方が分かるような,縁壱の受けた印象どおりですね。

 

 

 

コミックス

 

鬼滅の刃 18 (ジャンプコミックス)

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  • 作者:吾峠 呼世晴
  • 出版社/メーカー: 集英社
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[まとめ買い] 鬼滅の刃

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VS「無惨」

というわけで始まったる無惨戦。

 

手をサイコミュのように伸ばして斬撃し,かつ毒ないし鬼化の血を注入するというのはこの頃に確立されている戦い方なんですね。これ,歴代柱たちと比べても強い現在の柱たちが軒並み食らったことを考えると,かすりもしない縁壱の強さが抜きん出ていることがわかります。

 

 

そして一瞬で見切る無惨の体の秘密

心臓が七つ,脳が五つある。なんだその聖帝サウザーもびっくりな仕様は...。脅威の再生力と不死身度合い,圧倒的身体能力の秘密がこれ。それなら首を斬るだけでは死ぬはずもないですよね。

 

そんな「透き通る世界」で無惨を見て一瞬で「型」を作れるあたり,縁壱の才能が本当に抜きん出ていることがわかります。自分を持ってして「この男を倒すために特別強く作られて生まれてきた」と感じるだけのことはある。

 

瞬時に斬られて再生ができなくなる無惨。なるほど...。無惨の再生を封じるためには七つの心臓と五つの脳すべてを同時に斬ること,赫刀によって斬ることで実現するということか...。

 

 

この回想,読者には縁壱視点の記憶が絵として見られますけれど,炭吉の記憶を呼び起こしているだけの炭治郎には「縁壱が口で語る事実」しか伝わっていないんだよね。つまり,具体的に十三番目の型がどうやるのかは伝わっていない。このあたりは炭治郎が自分で透き通る世界を再現し,無惨の弱点を見切るしかなさそうですね。

 

参考調査

 

 

閑話休題。

ここで例の縁壱の怒りのシーンですね。うたたちの死を背負う縁壱としては当然問い詰めたくなるところである。この時,無惨は怒りで打ち震えていただけではなく,縁壱に対する恐怖を感じていたのも以前の描写からわかっています。

 

だからこそ,その後の無惨散体

 

 

うむ...。1800の肉片に分かれるか。

前々から和風ジョジョぽいお話だけれど,ますますそれっぽいなー。憎き肉を思い出してならない。破壊を司る無惨と解毒を可能とする禰豆子も吉良と仗助みたいな対比だしなあ。いや,それっぽく感じられるところがあるという「個人の印象」であってお話は全く違うんですけれどね。

 

しかし天才・縁壱をもってすら1500ちょっと斬っただけで残りは取り逃がすとなると,今の鬼狩りたちが無惨を再生不能にできても逃亡不可にできるのかなという懸念は残りますけれど。そのあたりは,無惨が身体を分割して逃げられるという「情報」が炭治郎に伝わったことが意味を持つのかもしれないね。

 

 

結局,縁壱VS無惨の唯一無二の勝負は「戦術的に勝ったけれど戦略的には負けた」形に。

この後,縁壱が生きている間は無惨が姿を表さないというの,本当に小物臭満載で素晴らしいですね。普段あんなにマウント取りまくっていても,縁壱一人が怖いか...。戦えば死ぬという確信があればでで来れるはずも無いですけれどね。 

 

 

縁壱と美しき世界

こうしてみると縁壱の人生,あまりにも重すぎる。

 

無惨を倒せるほどの強さを持ち得て生まれ,それを自覚すること無く過ごしていた幼少期。その兄のため出奔し,妻を娶り子を作るごく平凡でささやかでかけがえのない小さな幸せを無惨のために取り零してしまう。

 

鬼狩りとなってからは,その人生に課せられた無惨を討ちもらし,千載一遇の機会をのがす。一方で兄・厳勝が自分に対する嫉妬を抱いていたことも気づかず,為す術もなく鬼にしてしまう。仲間からの追放。何も成し遂げられなかった自分に対する虚無感。

 

振り返るだけでも悲しくなってくる,あまりにも深い業。それは全く縁壱のせいではないのに。鬼舞辻無惨という産屋敷が生み出した汚点にすべての責がある。それでも自分にできたはずのことが出来なかったという気持ちが自らを責め立ててしまう。

  

 

この先,自分と同じように親や兄弟を奪われるであろう多くの人たちのことを思えば...現実に,炭治郎を含めていま鬼殺隊に加わっている殆どの隊員の身に起きた事実を思えば,「しくじった」自分というものが悔いて悔いて,悔やみきれないのは当然である。

 

そんな縁壱にそっと抱っこを迫る,炭吉の娘・すみれ。

高く抱き上げ,心の底から無邪気に笑うすみれの姿を見て縁壱が涙するのはなぜか。そこに,縁壱が美しいと思った優しい世界がある。

 

かつて自分が求め,手に入れることができなかった愛する妻と無邪気な子どもとともにある世界。自分が手に入れることは叶わなくても,こうして生きていることの美しさを具現化する力強い生命がそこにある。

 

 

自分しくじったせいでこの先奪われる命がある。と同時に自分が戦ったことで救われた命もある。かつて自分が願い,手に入れることができなかった「美しい世界」は確かにここにあった。だからこそ,それゆえに,この愛おしい生命を抱きしめながら縁壱は涙を流す。

 

事情はわからずともそっと縁壱をなでて「大丈夫よぉ」と励ますすみ子が優しい。史上最強の剣士,縁壱がまるで小さな子供のように撫でられる姿に,類まれなる業を背負ったその心が癒やされることを切望してならない。炭吉と,炭治郎の目を通じながら,一読者として同じように願わずにいられませんでした。

 

まる

 

 

余談:187話コソコソこぼれ話

①無惨と厳勝

冒頭「呼吸を使う剣士にはもう興味がない・・・・・・・というセリフ。この戦いの後に兄が鬼となったことを知る縁壱に対する「前フリ」なんでしょうけれど,聴きようによっては厳勝に対する無惨の率直な評価のようにも見える。

 

 

呼吸を使う剣士を鬼にしてみたいという「無惨の欲求が満たされた」というのはそのとおりなんでしょうけれど,なんというか興味がないという言い方は鬼にしてみたけれどまあこんなもんか,もういい分かったみたいな扱いの軽さを感じる。割と上弦の壱として頼りにしている風ではあったのにね。

 

実際のところ,鬼となってしまった以上厳勝の命は無惨の気持ち一つで取れるわけですし,ビジネスパートナーのようなものといっても厳密に上下関係があるわけですから扱いが雑になっていてもおかしくはないんですけれどね。

 

その後の縁壱と無惨の戦い一つ見ても,厳勝と縁壱の才能の差が歴然としていると言うか。仮に厳勝が鬼となる前の時点で「透き通る世界」が見えていたとしても,縁壱のように戦い切ることはおそらく出来なかっただろなというのが分かっちゃうから辛い。

 

②縁壱と鬼狩り

敗戦処理。

戦術的にに勝ったものの戦略的に負けてしまった縁壱。無惨を取り逃がしたという「やらかし」のあとに,兄が鬼となった事実を聞かされる。なかなかに救いがない。

 

しかしその結果を当時の鬼狩りたちが責めるってのはちょっと違う気もするんだけれどなあ。無惨を倒せなかったのは残念ですけれど,初見で戦って戦闘不能にまで追い込めたのは縁壱だからこそですよね。他の柱たちだったら鬼にされるか毒で死んでいた...。

 

縁壱ならば無惨が倒せるという事実,おそらく無惨はもう縁壱が死ぬまで姿を表さないという予測,それによって無惨を倒せる可能性がなくなる。その結果,この後大勢の人が死ぬというのは「そのとおり」で縁壱が悔いるのは分かるんだけれど,鬼狩りたちが責めるのは筋違いじゃないかなー。

 

そんな中,一人柱たちをなだめる当時の炎柱さんが優しい...。うたが殺されてしまった時に縁壱の家にやってきた柱ですね。縁壱のことを理解している分,縁壱のせいではないことも認められるんだろうなあ。煉獄さんの祖先らしい行動である。

 

③珠世の戦い

縁壱が無惨の首を斬った時,珠世さんの目がきらきらと希望の光で輝いていた件。

 

 

珠世的には無惨に恨みこそあれその生を願う理由はどこにもないのである。無惨が死ぬ=自分の死でもあるわけですが,無惨が死ぬこと,そして家族を殺めた自分が死ぬことに希望を見出していたんでしょうね...きっと。

 

無惨は1800もの体に分かれ,そのうち1500は切られたものの300ほどは逃げおおせてしまった。

 

 

思わず「鬼舞辻無惨」の名を叫んでいますけれど,呪いが発動しなかった。この時,無惨が弱っていたので支配から開放されていたんですね。

ただ縁壱の回想では「一時的に」と表現されているので,この機会に恒久的に呪いを外せるよう珠世が自分で呪いを外したのかもしれませんが。

 

それにしても,珠世は縁壱の時代から無惨と戦い続けてきたんですね。戦国の世から考えると足がけ400年余りか...。結局彼女が生きているうちには無惨は打ち取れなかったわけですが,そんな彼女が作り上げた「人間に戻す薬」がどこで発火するのか。珠世の肉体はなくなっても,珠世の戦いはまだ続いている。

 

④縁壱と炭吉

二年前には神楽の継承を不要とした縁壱。実際には竈門家に神楽として伝えられただけではなく,その耳飾りもまた伝承されてきています。

 

そうなると流れ的にはこの後に「神楽」という形で竈門家に日の呼吸の知識が伝達されたんでしょうかね。それ以外の日の呼吸については無惨と黒死牟によって潰えている以上,このタイミングでしか神楽を伝えることは難しそうですが。

 

 

実際,老いた縁壱が厳勝と対峙した際には神楽の耳飾りはつけていない。これもこの時に引き継がれたのでしょうかね。そのあたりも描かれるのか,気になります。

 

おわりに

 

さて,次週も回想編が続くのか,戦列復帰するのか。

回想は概ねやり尽くした感がありますが,VS厳勝編は縁壱の心情描写のためにあって良さそう。ですが既に黒死牟戦は終わっていますし,今回の縁壱の涙のシーンと前後する内容ですからそこは割愛ですかね。 ちょっと気になりますけれど。

 

 

そろそろ禰豆子が到着するか,愈史郎が助けられたぐらいでしょうし,タイミング的には炭治郎復活なのかな。ただこの後戦列復帰するためには無惨と対抗できるだけのパワーアップがなされている必要があります。縁壱の口から語られたことからは十三番目の型が炭治郎に伝わっていないのは明らかなのでどうなりますかね。

 

「情報」として,無惨には5つの脳と7つの心臓があり,それらを全部バラバラにしても分割して逃げることができるということは大きいですけれど。透き通る世界が見える悲鳴嶼さん,炭治郎。おそらく見えているだろう,不死川実弥。ここに冨岡,甘露寺,伊黒が入れれば同時に攻撃して「再生を不可能にする」ところまでは追い込めますかね。

 

その上で分割させないように策を設けられれば,「無惨を日の当たる場所にあたらせる」ことは可能なのかもしれない。そんな単純な話じゃないかもしれないけれど。個人的には「無惨が日にあたった時に人間に戻り,奴は消失できない」という展開が来るとおもっているのですが,果たしてそういう流れになるかどうか。

 

以上となります。再度まる

 

   

 

 

 

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*画像引用は中止しました。