現実逃避

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「かぐや様は告らせたい」の感想を書いている漫画感想ブログ

『メダリスト』 つるまいかだ先生 Score27 金の卵 & Score28 消える銀盤 感想 : 最高の銀盤の物語がそこにある...! の巻

 

 

いま,『メダリスト』(つるまいかだ先生)が最高に面白い!

 

 

あの「かぐや様は告らせたい」も通った「次にくるマンガ大賞」コミックス部門第1位となった名作品である。いや,これはマジで最高の作品ですよ,奥さん!

 

 

主人公は小学生の結束いのりさんとそれを支える明浦路司先生

片や銀盤に憧れつつもスタートラインに立つことが許されなかった少女であり,片や試行錯誤の末に銀盤に乗れたにもかかわらず結果を出せなかった青年である。そんな二人が師弟となり,オリンピックの金メダルを目指す...! という熱い物語。

 

この作品の凄いところはですね,単に才能があるにも関わらず開花していなかった少女の夢物語で終わっていないところなんですよ。そこには奇跡はない。フィギュアスケートの銀盤に立つことの困難さ,必要となる家族や適切な指導者の支え,たゆまない努力と適切な練習管理,一つ一つの課題をクリアしていくための段階的努力がある。

 

確かに結束いのりさんは”漫画的な意味”での「天賦の才」はあるのかもしれない。けれども,それが本物の天才として描かれている狼嵜光ちゃんと戦う場に立つまでのプロセスは実にリアリティがある。奇跡や魔法では無い,いのりと司先生による一つ一つの課題設定とその克服が実によく描けていてですね...それがめっちゃ面白いのですよ。

 

もちろん,フィギュアスケートをやっている方々からすれば「漫画」な部分はあるのでしょう。でもその競技に精通しているわけでもない僕たち一般読者からは,十分に「漫画的ではない」リアリティと面白さがある。二人のステップアップのプロセスを見ては感動し,このさきどうなるのだろうというワクワク感がある。

 

そんな素晴らしい作品であるところの『メダリスト』,10月25日に最新話が更新されました。それも一気に2話分です。(前回はつるまいかだ先生がコロナに罹患してしまいお休みだったのだ)

 

ちょうど7巻収録最後となるまでを描ききった今回,思わず感想を書きたい衝動にかられて書いちゃいました。もし作品に興味を持ってくれた人がいたなら,ぜひコミックスを買って読んで欲しい。そんな思いを込めた『メダリスト』Score 27・28 の感想です。

 

 

コミックス 【新刊】

 

 

 

 

 

 

Score27 金の卵

前回,4回転サルコウに挑戦して無事着氷したいのりさん。

 

ここまで狼嵜光ちゃんを目指して頑張ってきたわけですけれど,3回転アクセルを始めとする圧倒的技量により100点超えの構成ができる光ちゃんと,3回転フリップ・ルッツも未習得で「完成度の高さ」によるGOE+5で80点越えのいのりさんでは元より勝負になりません。

 

ハーネスによる練習で一度はフリップもルッツも取得したにもかかわらず,司先生の事故により怪我に対する無意識の恐怖を覚えてしまったのためにいずれも降りれなくなってしまっていた。このままでは全日本で勝負どころじゃありません。

 

その解決のために魚淵先生が出してくれた策が「困難な3回転ルッツ再取得よりも高得点が出せる4回転サルコウ」だったわけです。4回転サルコウの基礎点は9.7,満点なら14.55という圧倒的な武器。3回転アクセルを主力武器とする狼嵜光ちゃんを超えることが狙えるところまでついに来た。

 

 

ここで対比となるのが二つ結びメガネっ娘としてオタク心をくすぐる亜昼美玖さんですよ。シード権ありの選手を含めても全国2位90点台をブロック選で叩き出した彼女は,全国のフィギュア有識者が認める「金の卵」である。

 

 

この娘はまさしく,いのりさんの対比となるキャラクターである。

 

美玖さんのスケートは丁寧で堅実。

その指導を担う洸平コーチと振り付け担当・珠那の対比はあるものの,ベースはコーチの洸平さんのポリシーに基づいて指導されている。その特徴は明らかで,

 

  1. 確実に成功する技の構成でプログラムを組む
  2. 完璧にミスのない構成で全体の完成度でGOE+勝負する

 

といったものです。

これはある意味正しいアプローチです。僕もコーチだったらどちらかというとこういう構成を好むかもしれない。実際「2」のアプローチは中部ブロックで司先生がいのりさんに授けた策そのものです。

 

でもそのスタンスはやはりいのり&司コンビとは全く異なる,というかだと思う。目指しているものも,スケートに対する姿勢も,師弟の関係も。

 

 

Score28 消える銀盤

美玖さんといのりさんはまず「目指すところ」が違う。

 

金メダリストの頂を目指してフィギュアスケートに取り組むいのりさん。

練習場所が無くなることで,すっぱりとフィギュアを辞めるつもりの美玖ちゃん。

 

スタートからして全く異なります。

片や4歳の頃から現在の体制で指導を受け,技を磨いてきた美玖ちゃんにとって「スケートができること」は当たり前であり,適切な指導者の下で緩やかに,かつ堅実に成長してきた。

 

片やいのりさんはスケート場に入ることすらままならず,指導者を得ることもなく。母親にはスケートを始めて暫く経つまで理解されず,ようやく手に入れた「滑る環境」です。失われた時を取り戻すように超猛スピードで急成長するその姿も美玖ちゃんとは対照的です。

 

また指導方法も異なります。

なすべきことを全てコーチの判断に委ねてきた美玖ちゃんと,金メダリストになるために自分で選択することを促されたいのりさん。そうした指導に対する「選択」の違いが,そのまま「3回転で完璧な構成を目指す美玖ちゃん」と「4回転で勝機を狙ういのりさん」の対比になっている。

 

才能もある。技術もある。

今この時点で上に立つ美玖ちゃんは間違いなく「金の卵」だけれど,本人も周囲もそれを孵化させる気がない。同じく猛爆スピードで進化し続け,4回転サルコウの練習を通じて一躍「対・狼嵜光のトップ選手」として注目されている結束いのりもまた「金の卵」だけれども,卵を温めるコーチも,卵からでてくるつもりの選手がいるのはいのり司先生の方なんだよね。

 

 

そして,全日本ノービス大会が始まる

ここまですべての大会を金メダリストとして君臨する女王・狼嵜光。そんな彼女が脇目も振らず一目散に向かったのは「結束いのり」の下でした。

 

この世界に存在する全ての優秀な金の卵たち。その中で,戦うことを楽しみにできる相手として認識しているのはもしかしたらいのりただ一人なのかもしれない。これは「金メダルを獲る」その覚悟があるものだけが許される立場(挑戦者)なんですよね。

 

 

その今回の全日本ノービス大会,いのりさんが光ちゃんに勝てるのか?と言ったら多分勝てないのでしょう。メタ的に予想してしまえば。

 

 

前回の中部ブロックと今回の全日本ノービス大会は全く状況が異なります。

全くノーマークで滑りもジャンプも構成も未知だった中部ブロックと。4回転サルコウを引っさげて注目の的となっている全日本と。マークの有無は当然戦う相手の戦法にも影響します。

 

敵は狼嵜光と夜鷹純だけではない。

全国の金の卵たちが「結束いのり」を意識したプログラム構成で反撃の構えを取っている。

 

上位の相手に最強の技・4回転サルコウをぶつけるいのりさんが「ギガストラッシュ!」だとすれば,相手はそれを理解した上での「天地魔闘の構え」である。この勝負は何らかの理由で多分恐らく勝てないのでしょう。そのプロセスもまた楽しみであるんだけれども,こればっかりはお話を読んでみないとわからない。

 

 

ただ一つわかっているのは,こうやってより強く,美しく,高みを目指すいのりちゃんの姿を見て,亜昼美玖さんもまた変わるのだろうな,ということです。

 

彼女はトップを目指していない。

自分の技を極みに持っていくための挑戦も,そのための努力の判断も,スケートを続けたいという執着心もまだ見せていない。そんな彼女がいのりちゃんの全力の戦いを見て影響されないはずはないんですよね。

 

 

全日本では不完全燃焼で終わるかもしれない美玖ですけれど,残された勝負である「ジュニア選手権特別出場」の場において,おそらく仕切り直しの戦いが描かれるんじゃないかなと思ったり。

 

それは多分,いのりと光の戦いにおいても。

 

そんな想像が溢れてやまない,Score27 金の卵 と Score28 消える銀盤 でした。というわけで僕の最初のメダリスト感想はまる

 

 

 

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*画像引用は行っておりません。文章は個人の感想です。