さてと。本日発売・月刊アフタヌーン2023年2月号,「メダリスト」Score30 浅い動機の感想です。
本日発売のアフタヌーン2月号は「次にくるマンガ大賞2022」第1位の『メダリスト』が表紙! 最新単行本7巻も絶賛発売中!
— アフタヌーン (@afternoon_manga) 2022年12月22日
そして歳末スペシャル読み切り『逮捕しちゃうぞGP』も大注目! あの伝説の婦警コンビからのクリスマスプレゼントです!
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僕はコミックDaysで作品単位で購読しているんですけれど,本当,昔と違って漫画を読む環境はめっちゃよくなりましたね。自宅の布団に居ながら午前0時には最新話を買って読める。いい時代になったものだ。願わくば「メダリスト」がめっちゃ盛り上がって大勢の方に読んでほしい。
さて前回は「公式練習」で4回転サルコウを一発かましてライバルに宣戦布告した結束いのりさん。ここで先制パンチをかますことでライバルたちの作戦変更によるリスク高を狙う作戦であったかと思うのですが,今回はそのライバルたちのターンです。
いや,本当に「にわか」のフィギュアスケート漫画読みなもんでアレなんですけれど,前回も書いたようにフィギュアスケートは総力戦なんだと思いますね。技術と構成だけじゃなく,手札をいかに切るかという作戦の妙,競技順序やライバルたちの得点をみながらの駆け引きなど必ずしも実力だけは無い,幸運も含めたバトルである。
で,全日本ノービスAでは第5グループに属するいのりさんは今回も後攻。ここまで名前が挙がってきたライバルたちの競技が終わってからの後攻めである。そこでライバルたちの演技を見て研究するかどうかといった要素も絡んできて,今回も駆け引きがめっちゃ面白かったです。
「4回転サルコウを降りられる」ことを実地で見せた結果,噂以上にマークされることになっている点も前回のブロック予選との大きな違いですね。あの時はほぼノーマークで「完成度勝負」で勝利ももぎ取ったわけですけれど,今回は結束いのりが4回転を降りたとしての想定点を基に駆け引きがなされるわけで。
そんな駆け引きの結果,ライバルたちの競技をみて前回とは違う精神状態に置かれたいのりさん,それに対してライバルの競技を敢えていのりに見せず役割分担を提案した司先生。ここまではいい感じですよね。鹿本すずちゃんに助けられた面もありますけれど,いのりさんのメンタルは回復したし,これまでいのりにはほぼ空気だった瞳先生のDEBANもあったし。
心配なのは明浦路司先生の方かな。
ここで気になるのは「経験の差」です。経験の差は他者の経験や事前準備で補うことができる。前回感想でそのように主張したわけですけれど,実際に全日本選手権を「勝利」で終わった経験が明浦路先生には無い。ライバルたちの演技を見た上で,いのりさんにとっての最善構成を考えられるのか。そこもめっちゃ気になります。
第1グループの最後に優勝の基準点を作り出した鹿本すずちゃん。長野合宿でシードを得た全国の強豪たち,新潟のダークホース亜昼美玖ちゃん,そして圧倒的女王として君臨する狼嵜光ちゃん。第2グループの演技を見た後で,果たして司先生は冷静に最善手を考えられるだろうか。
例えばライリー・フォックスの愛弟子の一人,平新谷萌栄ちゃんがいのりの4回転サルコウを見よう見まねで真似ようとした時,めっちゃ動揺していたよね。
手札を晒すということは手札を読んで対抗される可能性もあるということである。直前に申し出てやらせてみるコーチとしての胆力もさることながら,こうして司先生といのりの動揺を図るあたり策士でもある。
スターフォックスSFCのエースは「胡荒亜子」でしょうから,うがった見方をすれば平新谷萌栄ちゃんを使って胡荒亜子のライバルとなり得るいのりの動揺を誘った可能性すらある。
これがフィギュアカードバトル総力戦..!って感じで面白いんですけれど,前回のブロック予選では無かった「明浦路司先生に対するプレッシャー」がどう左右するのか,気になりますね。
そこが今回の一つの肝のような気がしますね。今回の全日本選手権が司先生にとっても一つの壁,コーチとしての壁を破ることができるかというのが今後のいのり・司コンビの未来を占う気がしてならないのですが...
とまあ,諸々先走りましたが,今回は近畿ブロック最強を誇る鹿本すずちゃんのターンが凄かった,Score30 「浅い動機」の感想です。
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Score30 浅い動機
それにしても毎回1番滑走の申川りんなさんは面白いな。TSSアナウンス表示だけでおわってますけれど,80.07点も取っている。彼女もまたブロック予選から10点上積みしてきたわけで,第1滑走のプレッシャーも何とやら,この子の胆力も応援してあげたいですね。可愛いし。
しかし「可愛さ」を尺度としたら全てを自分の可愛らしさで回す女,鹿本すずちゃんにおいて右に出るものはあるまい。今回の主役は彼女である。これまでノービスBで2回銀メダリストで終わっているすずちゃん。限りなく狼嵜光に近い存在ながら超えることができないその姿は現代の鴗鳥慎一郎かといったお立場です。
しかしである。
彼女の凄いと思うところはその勝利(センター)への執着ですよね。彼女にとっての全ては「表彰台の真ん中でピースする」ことである。実に浅い動機...そんなことで厳しい練習や敗北の苦しみに耐えられるんか?って思うところでありますが,彼女にとって「大舞台で金メダリストになり真ん中に立つこと」は「可愛い」を価値観とする彼女にとっての全てなんですよね。
一つ間違えると「舐めてんのかい?それとも...すっごく舐めてんのかい?」ってヒソカ・モーロウに切り刻まれそうですけれど,いやいやどうしてよ。言っていることは「常にフィギュアスケートで金メダリストを目指している」ってことだからね。それは重要ですよ。
恐らくフィギュアスケートをやってきて金メダリストを目指さない者の方が少ないと思います。亜昼美玖ちゃんみたいなスケートをもう少し続けるために上位入賞を目指す...なんてのは例外なわけで。全ての大会で金を獲るつもりの狼嵜光ちゃん。その光に挑戦する結束いのりをはじめ,銀メダリストの弟子・八木夕凪などすべてが金色のメダルを目指して頑張っている。
そんな中,彼女が特筆して凄いのは「実際に金を取れる可能性のある実力を持ち,かつ結果を出している」という点なんですよね。パフォーマンス,ジャンプ,スケーティングの全てにバランスよく高水準というのは,いのりさんが前回やった「完成度の高さ」を期待できる選手であるということですし,実際にトリプルアクセルを含めた構成で完走しきれるその実力は「金に近き者」であることに違いない。ただ,
フィギュアスケート は技術のみで決まらず。また運のみで決まらず。
ただ,結果のみが真実!
な競技であるゆえに,最後に必要なのは結果につなげられるだけの技術・作戦・幸運,そして勝利への執着心が必要となる。その点,彼女にはそのすべてが備わっているんですよね。
だから成功率の低かったトリプルアクセルを構成に入れても降りられる。
転倒無しで完走しきるだけの実力もある。
「本番強さ」と明浦路司先生は言っていたけれど,やはりこれは鹿本すずさんの持つ技術・勝利への執着心の賜物だし,それを支えたコーチの作戦だし,その二つが合わさって起きた3回転アクセルの奇跡という幸運によるものなんだと思いますね。
一見,浅い動機に見えたものの中にある「金メダリストを獲る」という圧倒的執着心。そんな彼女が描かれた Score 30 だったと思います。
というわけで,今後の展開予想(与太話)
というわけで,鹿本すずちゃんのTSSは110.55点でした。やはり予選から10点底上げしてきましたね。結束いのりちゃんが「進化する魔人」と言ってもいいくらいの急成長を遂げてきたのと同様に,ライバルたちもわずかな期間で10点底上げしているわけだ。
当然,司先生は光ちゃんが底上げしてくることを念頭に今回の構成を考えてあると思うんだけれど,4回転サルコウを加えたとして110点台を越えられるのか。恐らく光は110点台後半以上を出してくると思いますが,そうなるとブロック予選からプラス35点以上の上積みがいのりさんには必要です。
普通に考えれば無理である。4回転サルコウを単独ジャンプで構成するのではなく,連続ジャンプの中に組み込めばまた違うかもしれませんが,そこまで難易度を高めるのはさすがに厳しすぎる。この辺,コーチとしての明浦路司先生の実力といのりさんの総合力が求められます。
さらに言えば,ここから強豪揃いの第2グループの演技である。
鹿本すずさんの110.55点が一つの「メダルの壁」として設けられた以上,ここを上回る演技が出てくるかどうかがポイントでしょう。現時点で金メダルを目指す鹿本さんの点数を上回る可能性があるのは当然のごとく女帝・狼嵜光。あとは3位以内をめざす亜昼美玖ちゃんか。彼らの競技が終わった後にいのりさんの出番がある。
狼嵜さんについては,安定の3回転アクセルからさらに上積みがあるのかどうかってところですよね。単独ジャンプの難易度としてはこれ以上は4回転しかないんですけれど,光ちゃんも4回転が飛べるのか...てのがポイントの一つ。もう一つのポイントは夜鷹純の知識・技能・経験を吸収してきたことによる総合力の向上といったところでしょうか。
亜昼さんについては,すでに示されているポテンシャルの高さに加えて完成度をどこまで高めて来ているかですよね。予選で90点台だった彼女は当然「まとめる力」で攻めてくると思いますが,基礎技術も高まっているかもしれませんし。4回転は諦めていましたが,3回転アクセルが飛べないとは言っていない。この辺も興味津々であるとともに,いのりさんにとってどれだけ高い壁になるのか気になります。
そして今回もう一つ気になるのは,いのりさんが「第5グループ」であるということですよ。「第6グループ」の演技が丸々残っている。仮に4回転サルコウを成功させ,狼嵜光ちゃんと勝ち負けができたとしても「第6グループ」から伏兵が出てくる可能性はないか。中部予選ブロックでいのりがノーマークだったように,突如成長する選手が出てくる可能性にも注目です。
そんなわけで,今回の感想は感想はまる。
【まとめ】現時点で判明している全日本選手権結果
見出しは以下の通り
ランキング・選手名・地区予選点数・クラブ・指導者・(他のコーチ)
- 鹿本すず・110.55点・蓮華茶FSC ・亀金谷澄覚 (蛇崩 遊大,伊文里青紫,家森朝緑)
【参考】全日本選手権出場選手地区予選ランキング
見出しは以下の通り
ランキング・選手名・地区予選点数・クラブ・指導者・(他のコーチ)
- WD・狼嵜光・101.16点・名港ウインドFSC ・夜鷹 純 (鴗鳥慎一郎,雉多輝也)
- 鹿本すず・101.23点・蓮華茶FSC ・亀金谷澄覚 (蛇崩 遊大,伊文里青紫,家森朝緑)
- 亜昼美玖 ・91.10点 ・ NSUプラントFSC ・ 鴨川洸平 (白鳥ジュナ)
- 胡荒亜子 ・ 90.44点 ・ 東京スターフォックスFSC ・ ライリー・フォックス
- 子出藤絋 ・ 89.50点 ・ 蓮華茶FSC ・ 亀金谷澄覚 ・ (蛇崩 遊大,伊文里青紫 ,家森朝緑)
- 小雀白花 ・N/A・ やまびこFSCコーチ ・ 日瀧常
- 大蜘蛛蘭 ・N/A・ 福岡パークFSC ・ 布袋野蕨一 ・ (布袋野兎太)
- 鉱森神楽 ・N/A
- 蝉丸ひまり ・ 86.00点 ・ 荒川グローGSC ・ 蜻堂緋沙子
- 百瀬繭香 ・ N/A
- 雨宮蛍 ・N/A
- 浅利伽奈 ・N/A
- 子出藤環 ・ N/A ・ 蓮華茶FSC ・ 亀金谷澄覚 ・ (蛇崩 遊大,伊文里青紫 ,家森朝緑)
- 結束いのり ・81.20点 ・ ルクス東山 ・ 明浦路司 ・(高峰 瞳 )
- 八木夕凪 ・ 80.02点 ・ 名港ウインドFSC ・ 鴗鳥慎一郎 ・(雉多輝也)
- 大和絵馬 ・ 80.01点 ・ 蓮華茶FSC ・ 蛇崩 遊大 ・ (亀金谷澄覚,伊文里青紫 ,家森朝緑) ・*予選落ち
- 九猪桃子 ・ 78.20点 ・ 仙台スクエアFSC ・ 西まみ郡志
- 美波鮎 ・N/A
【その他の出場選手】
- 炉場愛花 ・ 72.62点 ・ 愛西ライドFSC ・ 五里誠二 ・ (王仁敦士)
- 古部多まいん ・ 71.220点 ・ 名城クラウンFSC ・ 竜宮アキラ ・ (千羽倫太郎)
- 申川りんな ・ 70.04点 ・ 名港ウインドFSC ・ 鴗鳥慎一郎 ・(雉多輝也)
【出てくる可能性がある選手】
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