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帰ってきた 『ニセコイ』 第139話 スピーチ 感想

「まえがき」今だから思う,139話 感想

 

というわけで,マルーシャ編完結です。

 

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スピーチ

 

当時の感想,色々書いているんですけれど,結構ピントがずれたことを書いているなと今なら思います。千棘と結ばれる可能性を指摘しつつ,本当に千棘と結ばれることを考えていない文章ですよね。

 

このお話のポイントはマルーシャさんが千棘に「あきらめるな」とアドバイスしたところ。楽が千棘とマルーシャさんを区別できるていどに,千棘との日常の積み重ねが進んでいるところ。そういうところを古味先生は読み取ってほしかったのだと思います。

 

マルーシャの失恋はひとつの千棘の恋のシミュレーション,という見立ては悪くないと思います。そのうえで,千棘の恋は「そうならないんだよ」という示唆だったとも受け取れるわけで。

 

そして楽の千棘に対する距離感も,小野寺さんとは別の意味で深まっていたという描写はきちんと描かれていた。そこは公平に見てあげる必要がありますね。

 

それでは当時の感想をどうぞ。

 

 

当時の感想 ( 初出 : 2014-09-23 00:01:00 )@現実逃避

 

さてと。『ニセコイ』139話 スピーチです。


「凡矢理の休日」最終日,いよいよマルーシャさんともお別れです。いい娘だったのに...やっぱり千棘と入れ替わっちゃうのか(ちょ)


始まったときは千棘長編か~という感じで始まっておいて,終わってみれば完全にマルーシャ編であった今回のお話。このままではメインヒロインの千棘さんの立場がありません。というわけで入れ替わりの際の二人の会話がどうなるのかが気になったわけですが...。

そんなわけで二人のヒロインの視点から,今回のエピソードの意義を考えてみる。


『マルーシャ王女』の場合

千棘と入れ替わるときに,千棘の気持ちを確認し,「あきらめるな」とエールを送ったマルーシャ王女。この会話からも,マルーシャさんが楽への想いを既に想い出に昇華させていることが分かりますね。


自分自身は身を引き,王女の立場として生きる決心をする。楽から受け取ったエールがその決意を促したのだとすれば,一条さん万能説にまた新たな伝説が加わりましたね(え)。


でもって,マルーシャ王女が千棘にエールを送った背景ですよね。マルーシャ王女にとっては,小野寺さんも千棘もほんの一瞬の邂逅の存在でしたけれども,片や小野寺さんは両思いの相手であり,片や千棘は自らと同じ立場。

二人に甲乙をつけるわけではないのでしょうけれど,自らに瓜二つの,同じ人を好きな桐崎千棘に「生き鏡」としての存在を感じ取ったからこそ,千棘に自分の分の思いを託してエールを送っているわけなんですよ。ガラス越しに写った姿を見て「鏡」と勘違いした桐崎さんのアクションは,マルーシャさんの想いを含めれば決して勘違いではなかったのです。(な,なんだってー! AA略)


...
......


そして最後のスピーチで,「この国に住んでいる方のことも大好きです」と述べたマルーシャさん。そのとき,楽の顔を思い浮かべながら,でも楽の顔は正面から描かれませんでした

 

 

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昇華した恋心




ここにもマルーシャさんの中で想いが「想い出」に昇華していることが伺えますね。今回のエピソード,マルーシャ側において最も描きたかったシーンがこのスピーチの中のこのシーンだったんじゃないかなとちょっと思ったり。(少し話はそれますけれど,古味先生って描きたいシーンがあって,それに肉付けしていくタイプだと私,確信しております。)


そして最後のスピーチのオチ。
最初読んだときはちょっとずっこけかけたのですけれど,少し消化して考えてみるとこれはこれでいいのかなと思ってみたり。

日本で最も楽しかったことが「ジェットコースターに乗ったこと」。


いや,これこそ王女の滞在中に最も楽しんだ出来事であり,それがジェットコースターな恋の相手であった一条楽さんとの想い出であったからこそ,ソレを取り上げたというのはわからなくもない。
ここでも「ジェットコースター」がダブルミーイングになっているんですけれど,より重要なのは,これをこの記者会見の場で述べることの意味ですよね。


つまり,王女として振舞わなければいけない状況下において,王女として生きる決心をしたはずのマルーシャ王女であれば,個人的な思いを述べないんじゃないかなと思わなくもない。

でも逆にいえば,王女として生きる決意をもちつつ,最語に楽への想いへの別れを惜しみながらの惜別の辞であったと言えなくもない。そういう意味ではこれしかなかったんだろうな,と納得いたしました。



『桐崎千棘』さんの場合

前回,マルーシャと千棘が入れ替わるにあたり,今後の予想を3つ立ててみました。

 

1.一条さんを好きになり失恋したことには触れず,入れ替わって終わり
2.一条さんを好きになったが叶わない恋だと知って「最後のキス」をしたことを言う。
3.一条さんを好きになったが「一条さんには他に好きな人がいる」ことを知りあきらめたことを言う。

 


結果から言うと,大方の予想通り1でした。なんというか,一番肩透かしな奴がきちゃいましたね。無難といえば無難。荒波を立てずにヒロイン千棘は元の世界に戻る。マルーシャさんはパルプンテを唱えたけれど,しかし何も起こらなかった!というやつです。むむむ。


前回,楽にフォーリンラブしたマルーシャさんの眼前で小野寺さんと楽さんの相思相愛ぶりを見せ付けてくれたわけですけれど,マルーシャさんはそのことを特に千棘に告げることはしなかった。結果的に,マルーシャさんと読者だけが「小野寺さんと楽は相思相愛」という事実を認識し,主要登場人物は相変わらず蚊帳の外という...なんだか奇妙な逆転現象が生じています。


一読者としていえば,小野寺さんと楽の関係を改めて示した以上,それをそろそろ主要登場人物に還元してくれないとエピソードとして不完全燃焼感を感じます。無難にエピソードを閉じてしまったので,ラブストーリーとしての積み重ねも無い。

起承転結の結でずっこけるとまでいいませんけれども,「さあ,おあがりよ!」と出された皿にコンビニ弁当がのっていたみたいな気分になったのは否めない。


まあ強いて言えば,マルーシャという客観的視点から,千棘の現状について言及があったことが救いですかね。千棘のツンデレサービスによって千棘もまた楽が好きであることを認識したマルーシャさん。客観的に見て,小野寺さんと楽さんは相思相愛なので,桐崎さんもまた自分同様に「先がない」のを知っているわけです。

 

 

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あきらめたらそこで試合終了ですよ...





しかし,一国の王女として今後生きなければならないマルーシャさんと異なり,常に楽の側にいられる千棘ならここから逆転の可能性は全く無いわけじゃない。だからこそ「あきらめないで」というエールを送ったわけです。


この一言の存在によって,いずれ千棘が「楽と小野寺さんが相思相愛であること」に気がつく可能性が出てきたと思います。そしてマルーシャさんが気がついたときと同じように,自分の無力感やなぜ気がつかなかったのかという焦燥感に囚われるかもしれない。そのとき,マルーシャはあきらめたけれども,マルーシャさんからの一言で踏ん張れる可能性も出てきたような気がします。

 

でもって問題は「いつ」それが来るのか,ですね。

今回はマルーシャさんの物語だったけれど,次こそは桐崎千棘の物語が来るに違いない。修学旅行編なのか,クリスマス編なのか...2年生の終わり頃までには楽と小野寺さんの関係に気づいてくれないと僕も困ります。


だって,後に回せば回すほど一条さんと小野寺さんのラブラブシーンの期間が減っちゃうじゃないですか,やだー!(をい)


正攻法でやる限り,一度桐崎さんリタイア→小野寺・楽カップル成立→でも俺はやっぱり千棘ががが...!いう流れでしかニセコイはたためない。しかも他にもプレーヤーがいるからね,ニセコイは。春ちゃんといい,マリーといい,羽姉さんといい,全員を片つけていったら2年の終わりだって遅いくらいですよ。

 

 



いや,もちろん桐崎さんと楽を最終的にくっ付けなければ時間はたっぷりあるんですけれどね。先延ばしすればするほど桐崎さんの逆転の芽が無くなるような気がするのですが。


それともあれですか,やっぱりマルーシャさんの失恋(偽の失恋)が桐崎さんの失恋(本物の失恋)になる。これでもニセモノがホンモノになる,『ニセコイ』の文脈は成立する言い換えれば,小野寺エンドで『ニセコイ』終了ということになりますけれど。そっちでいきますか!まあそれはそれで当店では超お勧めです(ちょ)


さあ,どうする,古味先生!

 

 


  


*画像は『ニセコイ』 139話 より引用しました。

 

当時のコメント

8 コメント

 

Unknown (ねこみかん)

2014-09-23 10:45:29

無難な結びでしたね。
『ジェットコースター』はダブルミーニングだったのですね。
しかし、あまり感想が出てこない回でしたね。今後につながるような事は何も起きなかった。
 
やはり千棘が楽と小野寺さんの気持ちに気がつかないと話が進まないでしょうね。
でも作者はシリアスな失恋描写を避けてきているので、近いうちにそこが語られる事が想像出来ません。
3年生の2学期位まで今のまま続くんじゃないだろうか・・・。

マルーシャさんは初めてはっきり楽に失恋したヒロインになった訳ですね。
しかし、それでも楽が彼女を振った訳ではない。
これから先も、ヒロインたちは楽に想いを告げることなく失恋することになるのだろうか・・・
マリーに関してはそうはいかないと思いますが。

 

Unknown (ayumie)

2014-09-23 16:14:12

>ねこみかんさん

いつもコメントありがとうございます。

『ジェットコースター』云々は私の解釈ですが,ジェットコースターに乗ったことというのは文字通りジェットコースターに乗ったことと,楽さんとのあっというまの恋を兼ねているんじゃないかと思いました。

いやね。書いておいてなんですけれど,きっとそんなこと作者は考えていないと思うんですよ(ちょ)。でもそんな風に解釈したら,マルーシャさんの会見発言も深まっていいんじゃないか...なんて思ったので。

まあ3年間の「ニセコイ」という縛りが形骸化しているとはいえ最初に作ってしまった以上,一気にお話を進めることができないのはどうしょうもないですけれどね。
なんか毎回同じ所を問題箇所として指摘するのも疲れてきました(うわ)。もうクロードもでてこないし,ニセコイ設定なんかどうでもいいじゃん!とか思ったり。

さて失恋の方法ですが,今回マルーシャさんが自ら身を引くというのをやってしまったので,他のヒロインの処し方が難しくなってまいりました。特に春ちゃんはもう告って散るしかないだろうとか思うと切ないです。

マリーは...もう本人には楽の気持ちは小野寺さんにあることが分かっているんでしょうけれど,それでも前向きにアプローチし続けなければいけない「何か」があるんでしょうね。それもそろそろ描いてほしいのですけれど。

 

Unknown (れぽてん)

2014-09-23 19:01:30

感想が書きづらい回ですねw 唐突に始まり無難に終わった長編でした。で、なぜゲストヒロインのマルーシャさんに4話割かれるのに小野寺さんの長編がないんですかね……まあそれは置いておきましょうかw

最後にマルーシャさんから千棘へのアドバイスがありましたけど、今のままでは、千棘が楽と小野寺さんの関係について少しでも気付かなければ、そのアドバイスは意味を成さなそうです。果たしていつ気付くんでしょうか。

今回もまたシリアスな失恋描写が為されませんでしたが、いつまで通用しますかね。春ちゃんに関してはもう当たって砕けてもらうしかないんじゃないでしょうか。

 

Unknown (匿名)

2014-09-23 20:03:12

もう小野寺小咲エンドでいいですよね
というか現時点で楽と小咲の関係が鉄壁な時点で千棘に勝ち目ないわけですし

 

Unknown (ayumie)

2014-09-23 21:27:49

>れぽてんさん

いつもコメントありがとうございます。
ゲストだからこそ制約なく物語を作ることができるということなんでしょうね。

小野寺さんはラスボス設定があるので,お話をつくろうとしても「今はその展開ができない」という制約が多すぎるんだと思います。だからこそ,小野寺長編は作りにくいんでしょうね。もっとも恋愛に絡めなければいくらでも作れそうな気がしますががが…。

千棘の気付きに関しては,案外さり気ない何かで気がつくんじゃないですかね。こればっかりは人から示唆されるのではなくて,本人が気が付かなきゃいけないことですから。

シリアス展開については…古味先生のさじ加減ですが,もしかしたら女の子が悲しむシーンをあまり描きたくないのかもしれませんね。って,マルーシャさんが失恋したばかりでした(あれ)

 

Unknown (ayumie)

2014-09-23 21:30:30

>匿名さん

コメントありがとうございます。

小野寺ファンとしては小野寺エンド大歓迎なわけなんですが,『ニセコイ』の文脈からいえば「それはない」はずなんですよね。

それでも小野寺さんが鉄壁に見えるくらい,二人の関係が強固に描きすぎたので,今から千棘エンドに向かうプロセスが全く見えないところが問題なんだと思います。このままいきなり「やっぱり千棘ががが… 」と言われても,読者的には「なんじゃそれ?」ですからねえ。

 

Unknown (ねこみかん)

2014-09-24 02:35:04

楽と両想いのラスボスであるがゆえに作者があつかいずらくて出番が少ない・・・小野寺さん不遇ですね。
あとマリーですが、リアルな意見としては、あんな美少女にあれだけ言い寄られて断れる男っているか?と思います。
千棘のこともあるのでしょうが、マリーをスルーするほど小野寺さんのことが好きなら、とっとと告白しろよ!って思います。
ニセコイには作劇上の都合で残念な事になってる部分が結構ありますね。
まあ、こんなツッコミを入れても仕方ないか・・・。

 

Unknown (ayumie)

2014-09-24 06:54:56

>ねこみかんさん

再びコメントありがとうございます。

小野寺さんの出番については過去に複数考察上げたとおりなんですが,今回のマルーシャ編のように「でもなにも起こらなかった」でもお話は作れるはずなんですよね。基本的に小野寺不足はニセコイにおける致命的欠陥なので(え),どうせなにも起こらない話を作るなら小野寺さんでお願いしたいです。

マリーに関しては…どうなんでしょ。好みの問題や,どれだけ今好きな人がいるかによるかと思いますけれどね。リアルであれば,やりたい盛りの高校生ならなにも考えないでOKってなりそうな気がしますが(ぶっちゃけすぎ)

結局,構造的にとっとと告白できない縛りがあるのでどうにもならない…小野寺派がずーと言い続けていることの繰り返しになっちゃいますが。

 

 

 「あとがき」

当時は結末予想もかなりざっくりとしていて,きちんと理論武装されていないんですね。まあそのくらいのニュートラルさで読んでいたほうが読みは外さなかったかもしれない。

 

まあ色々伏線ぽく描かれていた部分はあったにせよ,この直前の「ダイキチ」であの二人の世界でしたからねえ。当時のぼくが意識しなかったのは当然かもしれません。伏線があまりにあからさま過ぎても伏線にはならないから,その意味ではうまく仕込めたということなのかもしれませんねえ。