さてと。『映画 ニセコイ』 の 感想です。
「ニセコイ公開おめでとう」という声をたくさんいただき、感激で思わず涙😂
— 映画『ニセコイ』公式アカウント (@nisekoi_1221) 2018年12月21日
平成最後の冬⛄️寒さも吹きとばすハイテンションムービー『#ニセコイ』が一人でも多くの方に届きますよう、キャストスタッフまだまだがんばりますので、引き続き、応援よろしくお願い致します🙏🙇♀️
冬休みは #ニセコイミニコイ pic.twitter.com/ol5OZz5oth
昨日,実写版ニセコイこと『映画ニセコイ』を観てまいりました。Twitterで既報のとおり,ヤマカムの山田さんと千葉県のYさんと3人です。すごいメンバーでしょ。
山田さんは日本一の漫画感想レビューサイト「ヤマカム」の中の人であり,同時にオノデラスキー・コサキニストでもあります。『ニセコイ』連載時からちょろちょろと絡ませていただいたことがあるのですが,ニセコイファン・小野寺ファンとして観に行こうと今回の企画となりました。
また千葉県のYさんとは『ニセコイ』連載時から交流があって,オフ会レポも2回ほど書かせてもらっています。それが今回実写版映画に出演されると伺ったので「じゃあ一緒に映画を観て,その後にオフ会でもしましょうか」みたいな話になり,3人で映画を観に行くことになった所存。
てなわけで早速,『映画 ニセコイ』の感想にいってみよう。
( なお若干の配慮はあるけれど,映画の感想なんだから内容に言及があります。未視聴者は注意)
「映画 ニセコイ」の構成について
まず漫画の実写化についてですけれど。
一般論として既にメディア展開されているものを実写化するのは成否のバランスが難しいところなんですけれど,こと『ニセコイ』に関して言えば「とても良くできていた」と思います。
その構成。
映画ですから2時間弱の枠の中で物語を落とし込まなければならない。当然,漫画と全く同じものを描くのは無理なわけですが,その中でも漫画版の骨子はきちんとの残しつつ,かつストーリー展開が自然で分かりやすいものとなっていました。
個人的に物語とはプロセスであるという意見なんですけれど,原因が合って結果がある。そんな因果関係の積み重ねによって物語は進行していくものです。そんな因果の積み重ねとお話の進行が整っていて,観ていてストンと落ちるというか,「面白い」と思いました。
『ニセコイ』は楽と千棘の物語ですけれど,漫画版はその過程を描くために色んな要素が絡み合う物語でした。
例えば「約束の女の子」という軸がありますが,漫画版ではかなりその部分を拾ったわけですけれど,実写版に関してはその軸は殺すことなく,あくまで楽と千棘の物語を描く過程の一部として描かれています。「約束の女の子」と楽のエピソードは原作から大きく改変されることもなく,でもスムーズに進行するように処理されていて,違和感なかったですね。構成が上手いと思いました。
ですから最後の楽の行動も,二人がどうやって結ばれるのかも,ちゃんとしっかりと筋が通っていて「ええ話やん...」と素直に受け止めることができましたね。
物語の範囲は最初の千棘転校から文化祭の劇まで。骨子はほぼ崩さず,その事象が起きた因果関係がとってもスムースに描かれていて思わず納得ですわ。一言で言えば不自然さがない。これ,とっても大きいですね。観ている側がストンと腑に落ちるというか。
例えば,林間学校で楽と小野寺さんがペアになりますよね。その後楽は千棘を探しに行くのですが,楽がどうしてそういう行動をとったのかという原因については原作とちょっと違うのだけれどほぼ同じである。
でもその行動を取る前に,小野寺さんと楽は手をにぎるところまで行っていないんですよ。
たったそれだけの違いで「小野寺さんが置いてかれた感」が無くなっているんですよね。このシーンも「お,来るぞ... 」と覚悟の扉を開けるつもりで待っていたのですが,そんなちょっとした気配りで「楽が千棘を助けに行く」って行動が自然に見える不思議。よく考えてあるなあと思いました。
そしてクライマックスの文化祭の劇ですけれど,これもヒロイン役が二転三転します。
そもそも例の絵本自体が「ロミオとジュリエット」に設定が変わっているのですが,そのこともロミジュリをやることになった経緯をきちんと説明している。
その配役。最初に千棘が選ばれたこと。次に小野寺さんに役が移ったこと。何故最後に千棘に代役が行ったのかということ。千棘と楽が劇を演じることになるプロセスが非常にスムーズというか因果関係がしっかりしていて,「なるほどー」と思わされるものありましたね。
最後に恋の顛末についてもそうなんですが,きちんと「約束の女の子」の設定は活かされるし,小野寺さんと楽の想いもきちんと処理されます。どうして楽がそういう決断を下すに至ったかも,きちんと劇中の「伏線」があって,納得の行くものになっています。
2時間という短い時間にほぼ1年分の連載のフレームを落とし込んだわけですが,それは本当によくできていて面白かったなと思いました。
『映画 ニセコイ』のキャストについて
そんな映画版の構成を良くしていたのはキャストと演じられたキャラの「味付け」がとても上手かったからじゃないかと思います。
主役の一条楽役の中島さんですが,きちんと一条楽になっていたと思います。
いろんな番宣やインタビューにおいて「見どころは楽の変顔です」みたいなのを見た記憶があるますが,個人的に『ニセコイ』の面白さは恋物語としてのお話でしょ...と思っていたので観る前はどうなんだろと思っていました。
それが物語の展開の中で,きちんと一条楽は「一条楽らしく」演じられているなと。例の髪留めのバッテンも目立たない色のそれに抑えられていて,極端に漫画めいていないのも好印象でした。
そして千棘役の中条さんですけれど,実写版の功労者はある意味彼女なのかなと思います。
千棘というキャラは難しいキャラです。環境に翻弄され,うまく周囲に溶け込むことができず,結果としてコミュニケーションに苦労する人物である。と同時に,一条楽に対する複雑な想いから時に素直じゃなかったり,時に想いを殺したり,いろんな顔を持つ人物です。
そんな千棘のキャラが漫画表現をする必要がない実写版においてはかなりマイルドに描かれていました。等身大の,自分に与えられた環境の中で精いっぱい生きようとする女の子。それが漫画ではなく中条さんの表情や姿を通じて描かれると非常に自然に見えましたね。
もちろん展開としてかなり千棘の性格や言動が和らいでいることも要因にあります。映画を見ていた方は気づいたと思いますが,千棘が自分の気持ちと他人の気持ちを考えられる子として描かれていますよね。
それが中条さんの演技を通じてみると,千棘の切なさや思いやりがしっかり伝わってきてですね...僕は良かったと思いました。
小野寺さん役の池間さんですけれど,女優業は初めてとあり演技はかなり初々しかったですね。
お話展開としては楽と千棘の物語に焦点があたっていることもあってそんなに出番は多くないです。それで良かったと思います。
物語の骨子である,楽が憧れている女の子であり「約束の女の子」という設定に変わりはありません。しかし楽と関わり合う(映画的な意味での)時間が短いこともあって,10年来の恋の「重み」みたいなものがそもそも薄かった。
そして楽は十年前の出来事を覚えていないけれど,小野寺さんは覚えていたという設定変更があったのですが,それも良かったと思います。
小野寺さん側から楽への思いはしっかり残す。そんな幼い頃の約束の物語はきちんと残した上で,楽がどのように自分の気持ちを整理していったのか。そこにどう千棘がかかわったのか。小野寺さんがそれをどう感じ取ったのか。
このあたりは再構成がバッチリできていたこと,きちんと小野寺さんが気持ちを伝えることができたこと,三人の演者がうまく演じられていたことが良かったなと思ったり。
そして島崎さんの万里花。
わざわざYさんと一緒に観るくらいですから着目していたわけですが,思っていた以上にDEBANが少なく。まあ短い尺だからお話を広げにくかったのでしょうということと,キャストのスケジュールもあるのかなという点も少し感じました。
演技自体はですね,そのまんまマリーだったと思います。
非常に良く演じられていたと思います。どこかで「千葉県のYさんも絶賛」みたいなことが話題で流れたような気もしますが,今回御本人にお会いした際も「そのまんまマリーでした」とのことでした。さもありなん,というのがぼくの感想でもあります。
ただ出番が少なかったと言いつつも,転校の経緯や恋物語との関わり方,そして最後の楽と千棘の恋の決着に際する「気遣い」など,よく描かれていたと思います。
周辺の人物においても,るりちゃん,集あたりはかなり再現度が高かったと思いますね。鶫についてはお話の尺でしょうがだいぶ設定変更されていて,クロードの補佐として徹底して描写されていました。2時間の尺ではやむを得ないことと思います。
しかしまさか鶫のセリフが一言だけとは...。しかし最後に鶫にああ言わせるからこそ意味があるのかもしれませんね。個人的には鶫のチアやメイド姿がとてもお可愛かったと思います。
そして実写版で割と出番が多かったクロード。
番宣でもなんでクロードかな?と思うくらい取り上げられていたような印象がありますが,DAIGOさんのクロードはいい雰囲気出てましたね。本当にそれっぽいというか。 映画を観てある意味納得した部分であります。
こうして全体的にみると,物語の再構成が上手だったのと,演技者たちの演じ方がうまくマッチングされて,違和感のない「実写版」になっていたと思いますね。
『映画 ニセコイ』を観終えて
全体的によくまとめられていて,面白い映画だったと思います。
初見さんは楽と千棘の物語として純粋に楽しめるでしょうし,原作既読者は物語展開に「ほほう...」「こんなふうに描きますか」的に観ていっても良いと思います。満足度高めに観られると思ったり。
さて,そんな中,今回「千葉県のYさん」ですが銀幕に登場されております。僕は玉顔を拝見しているので一発で分かりました。もっとも他の方には分かりようがないことですが,確かに出演しておられる。すばらしい。二次元からついに三次元まで作品に入られた偉業を褒め称えたい。
エンドクレジットに「千葉県のYさん」とか書いてないかなーとかちょっと期待したのですが,流石にそれはなかったようですけれどね。(なお登場シーンについてはお答えできません...悪しからず)
映画を観終えた後,某焼肉屋(ジャンプに縁のあるあそこです)で打ち上げをした際にはいろんなお話を聞けたのですが,内々のこともあり皆まで書けず。どうして出演することになったのかとかとか...まあ気になるでしょうがお察しください。
なお打ち上げ会場では色々語らせていただきました。
個人的には小野寺ファン筆頭の山田さんがどう感じられたのかなという点が気になったのですが,既に感想にも挙げられているように「面白かった」ということで良かったです。
話は原作ニセコイの話,例のYさんのファン投票の話などニセコイだけで多岐に渡り。例の850冊のジャンプの写真や,万里花の鍵なども改めて見せていただきました。愛が深い。
話はジャンプ漫画やら多岐に渡ったのですが,残念ながら今僕が一押しの「ぼくたちは勉強ができない」と「かぐや様は告らせたい」はYさん読んでいないというのが残念でしたが...。(ぼく勉については完結してから読みたいとのこと)。
そっちの話も少ししてみたかったんですけれどね。それはまたの機会にでも。
なぜか「彼方のアストラ」「ラブデスター」「新・テニスの王子様」と話は広がり大盛り上がりな打ち上げ。なんかYさんにひたすら肉を焼かせてしまったり,山田さんにはいろいろと気を使っていただいたりして申し訳なかったのですが,楽しいひと時でありました。
また皆さんで漫画について語る機会があることを期待しております。というわけでまる。
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*画像は映画公式Twitter https://twitter.com/nisekoi_1221 より引用しました。